アーユルヴェーダが教えてくれる新しい親子関係

教えてくれる人 池田早紀
構成・文 松本あかね
イラスト SAITOE

その④
子どものドーシャを知る

アーユルヴェーダが教えてくれる、新しい親子関係。
ここからは子どもの体質、持って生まれた個性について、アーユルヴェーダの視点を借りて、新しい角度からみつめなおしてみましょう。

“ドーシャ“ってなに?

前回にみたような、人それぞれが持つ自然界の風・火・水の要素を、アーユルヴェーダでは「ドーシャ」といいます。アーユルヴェーダにおける体質とはもともと「ドーシャの偏り」を意味する言葉。人は誰でも心と体にこの3つの要素を持っていますが、そのうち多く持っている要素を、その人のドーシャとして捉えます。ドーシャは季節、食べ物、行動などの影響によって増えたり減ったりしますが、ひとつの要素が増えすぎると体調を崩したり、病気になったりすると考えられています。そのバランスをとっていくことがアーユルヴェーダの療法の基本の考え方です。

ここではまず、子どもの内なる自然、つまり「生まれながらの個性 」ともいえるドーシャを知り、その上でその偏りのバランスをとる具体的なポイントを学んでゆきます。

ドーシャは受精の瞬間に決定する

「赤ちゃんの個性ってわかるの?」と思う方もいらっしゃるでしょう。実は、ドーシャは生まれたばかりの0歳児の頃の方が、おとなになってからよりもはるかにわかりやすいのです。というのも、ドーシャは受精の瞬間に決定すると言われており、両親のそのときのドーシャのバランスなどの影響を受けています。そして前回、プラクリティ(持って生まれたドーシャ)について少し触れましたが(連載③「子どもだったころのわたしを知るープラクリティ・チェック」参照)、赤ちゃんのドーシャはおとなに比べ、食生活、ストレスなど環境条件による影響が少ないため、最もプラクリティに近いといわれます。

赤ちゃんのドーシャも変わっていく

連載①の「現在のわたしを知る」でも述べたように、実際には赤ちゃんでも、風と火、火と水など2つのドーシャに多くの比重がかかっている方がほとんど。また、子どもの成長や環境によっても変化していきます。あくまでも目の前の子どもの状態を把握するための一つの方法として、毎日に取り入れてみて下さい。

赤ちゃんのドーシャの見つけ方

あなたのお子さんは小さく生まれましたか? 大きく生まれましたか?

生まれた時に髪の毛は生えていましたか? まったく生えていなかったですか? 黒々としたふさふさの髪で周りは驚いていましたか?

ミルク(母乳)をなかなか飲まなくて、苦労はありませんでしたか? それともどんどん飲んで、どんどん体重が増える赤ちゃんでしたか?

これらは皆、ドーシャを推し量る大切なポイントです。ドーシャの個性は特に肉体面においてわかりやすく現れてきます。

ヴァータ(風)の赤ちゃん
「軽性」という属性をもつヴァータ(風)の赤ちゃんは体重が軽く、平均より小さく生まれることが多いです。食が細いため体が大きくなるのはゆっくり、風邪をひいたり体調を崩しやすいので、お母さんをハラハラ心配させることがあるかもしれません。音に敏感で少しの物音でも目を覚ましてしまうのは、実は耳が風の要素の司る感覚器官であるためといわれます。眠りも浅く夜泣きをすることもよくあります。

ただし、ハイハイなどが始まる月齢になると、常に動き回っていて、一瞬たりともじっとしていない、何事にも好奇心旺盛という活動的な一面も。体型は頭がキュッと小さかったり、手足や首が長い子どもが多いのが特徴です

 

カファ(水)の赤ちゃん
どちらかというと華奢な体格のヴァータの赤ちゃんに対し、生まれたときから身体が大きく、髪の毛も黒々と、ミルク(母乳)をよく飲んでどんどん成長する赤ちゃんもいます。これは「重性」という属性を持つ、カファ(水)の要素を多く持つ赤ちゃん。カファは「鈍性」という属性も持っているため、眠っている間も多少の刺激では起きません。とにかくよく食べてよく眠る、いわゆる育てやすいといわれる赤ちゃんは、アーユルヴェーダでいうとカファの要素を多く持っている赤ちゃんといえます。

ただしカファが増えすぎると喘息や鼻づまりなどの症状が。また身体はすくすく大きくなるのですが、ハイハイやつかまり立ち、歩き始めなど行動面の発達はゆっくりというのも、カファ体質の特徴です。眼がパッチリと大きく、二重まぶたの赤ちゃんも。

ピッタ(火)の赤ちゃん
体格や身体の発達面でヴァータ(風)、カファ(水)の赤ちゃんのちょうど中間にあたるのがピッタ(火)体質の赤ちゃん。「温性」という属性をもつピッタの赤ちゃんは、小さなころから暑がりで汗っかき。あせもなど、肌に赤い湿疹が出やすいです。泣くときはまさに火がついたよう。赤ちゃんのころから意志の強さを感じさせるエピソードをたくさんもっているのが、この体質の赤ちゃんたち。

また「鋭性」という属性の影響で0歳児ながらに視線がしっかりしていて、「目力があるねえ」なんて周りから言われることも多いかもしれません。消化力があるので、ミルク(母乳)を飲んでもすぐにお腹が減り、空腹になったときの機嫌の悪さはピカイチです。

いかがでしたか?
ご自身のお子さんの0歳児のころの様子を思い出して、「ああうちの子こうだったわ」、と思い当たる箇所はあったでしょうか?

同じ環境に育っているはずなのに、兄弟姉妹で体格や性格が似ていなかったり、
同じ年の子どもなのに発達のスピードが違ったりするのは、よくあること。
その理由のひとつに「体質(ドーシャバランス)の違い」があるかもしれない、ということを頭の隅に置いておくと、
子どもへの接し方や、何かあったときの対応の方法も変わってくるのではないでしょうか。

子どもたちのよき理解者として

また心に留め置いていただきたいのは、このように導き出された「生まれながらの個性」に良い悪いという基準はないということ。
持って生まれた体質、性質を知ることは、その子どもの本来のあり方に気づくきっかけになります。
「持って生まれた個性を生かす」ことは、人生の土台となり、土台がしっかりすることで、
成長につれさらに広いステージに立つことができます。
まだ小さいけれども、大きな可能性を秘めた子どもたちは、
同時に自分に起こっていること、今の気持ちを上手に説明できない非力な存在でもあります。
いちばんそばにいるお母さんが、良い悪いという基準からでなく、子ども本来のあり方に気づくことは、
その成長の大きな助けとなることと思います。

子どものドーシャの特徴がわかったら、次はドーシャのバランスを調和させる方法についてのお話です。
次回は子どもの体質に沿った、バランスをとる方法をお伝えしたいと思います。

profile池田早紀(いけださき)
2002年、心理学を勉強中に南インドでアーユルヴェーダに出会い、その体にも心にも快適な治療法に衝撃を受ける。2006年よりアーユルヴェーダ・カウンセラーとして国内外のさまざまなクリニックや医療施設で研修・施術の経験を積み、トリートメント、カウンセリングを行う。イベント、セミナーなども多数開催。現在は一児の母。

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