冷蔵庫のなかって、生活や暮らしぶりがそのままつまっている
じつにプライベートな空間です。
そんな冷蔵庫のなかを収めた写真、そして、冷蔵庫の持ち主のポートレイト。
「人間」と、その人間をつくる「食」を並べて見せることで
「いのち」と「くらし」のありようを象徴的に表現しようという試みです。

第6回 瀬戸口家(日本・東京/2014年・初夏)
しおりさん、和楽くん

家族団欒の場であり、仕事の場でもある。公私かかわらず、自宅のダイニングキッチンは瀬戸口しおりさんの本拠地です。料理中でも旦那さんや息子の和楽くんと顔を突き合わせられるオープンキッチンは、取材を受けやすい設えでもあります。食事前に手を洗える陶器の流しは、ときにはアシスタントやスタイリストがお皿を洗う作業場に早変わり。家族のごはんを取り仕切るお母さんの視点だけでなく、料理家としての仕事のうえでも使い勝手のいいようにつくられたスペースなのです。
そして、ハンモックが吊ってあったり、アンティークの家具が並んでいたり。和楽くんのおもちゃや宿題も置いてあるし、焼きたてのケーキはいいにおいを漂わせていて。思い思いの要素が入り交じるその空間は、でも、不思議と調和しています。

焼きたてのアメリカンチェリーのケーキは、和楽くんと、この日遊びにきていた和楽くんのお友だち(そして私たち取材班も!)のお腹におさまりました。

リビングに手洗いがあるのはかなり便利。洗い物もできる大きさです。

キッチンを2階にしたのは採光のため。大きな窓が太陽光をたっぷり採りこみます。「ふだん過ごす場所を上の階にもってきたんです」としおりさん。

冷蔵庫は買い替えたばかり。
「以前は3台使っていました。それをどうにか減らしたいと思って、いまは2台に。メインで使っているのは家庭用の最大サイズです。撮影が続いたりするとどうしても入れるものが増えてしまいますが、これならすべてを受け止めてくれる(笑)」
冷蔵庫にたくさんものが入っているのは、職業柄ということもあるけれど、しおりさんが“なんでも冷蔵庫に入れたがる”から。「常温でおいておくと酸化して、おいしくなくなっちゃうから。夏とかは特に醤油など、常温でおいておくと酸化して駄目ですよね。おいしくなくなってる!って。その点、冷蔵庫に入れておけば、まちがいない(笑)」

春巻きの皮も、松の実も、味噌も冷凍庫へ! でもスペースをかなり占領していたのは、キャンプで(仕事でも)使う、巨大な保冷剤でした。

だいこんやねぎも長いまま入る大きな野菜室。巻き簾も冷蔵庫で保管するのがいいそうです(本来は布でくるむとのこと)。

サブで使っている冷蔵庫には、粉類や保存食、調味料などをストックしています。

瀬戸口家のごはんは、朝食、昼食、夕食と、時間帯で分けていないのがユニークです。たとえば、一般的には朝食のイメージではないうどんを朝ごはんに食べるなど。反対に、朝食の印象が強いパンを夕食にすることもあります。一日の3食を時間帯ではなく、単にごはんという区切りで捉え、その区切りごとに、重複しないよう組み合わせを考えていくそうです。

つくりおきのおかずたち。きんぴら。下味をつけた手羽先。クレソンと筍を加えたそぼろは、オムレツやスープに入れたり、そうめんにかけたりします。

しおりさんお手製の調味料いろいろ。左から、焼肉のたれ、バジル醤油、めんつゆ、レモンしょうがナムプラー、塩レモン。

小学5年生の和楽くんは、食べることが好き。茹でた茄子がちょっと苦手な以外は、なんでもよく食べます。「お母さんの料理はすごいおいしいからさ、いっぱい食ってばっかりいたら、太った(笑)」。年頃の男の子が「お母さんの料理はすごいおいしい」とさらっと言えるなんて、すばらしく健やかに育っているのだなあと感じずにはいられません。

久々に再開したというぬか漬けの、琺瑯の箱がかわいい。ラディッシュやズッキーニを漬けるのが最近の好み。でも和楽くんはきゅうりとにんじんがあればいいそうです。

去年つくったひよこ豆の味噌と、今年つくった大豆の味噌。熟成されて、こんなに色が変わりました。

1~3年ものの梅干し。今年のは、これから。毎年2kg漬けるそうだけれど、残ってる量がみんな同じですね。

おうちのごはんづくりにあたって心がけていることを訊くと、「つくってるときの気持ちが料理にはけっこう出ちゃうから、楽しんでつくるようにしています」という応えが。でも毎日のことだから、そう毎度毎度、楽しくもできないのでは? 「そんなときは、おいしいものを、食べにいっちゃいます!」。しおりさんのそんな大らかさが、しおりさんと和楽くんの屈託ない笑顔をつくっているのにちがいありません。

瀬戸口しおりさんオリジナル 調味料と料理

レモンで風味をつけて、しょうがでさっぱりと仕上げた
レモンしょうがナムプラーは、瀬戸口家でただいま流行中。
特製調味料を使った展開料理も教えてもらいました。

レモンしょうがナムプラー

材料

ナムプラー 80ml
レモン汁 50ml(約1個分)
しょうが 1片
香菜の根(あれば) 1本

つくりかた

保存瓶にナムプラー、レモン汁、すりおろしたしょうが、香菜の根を加えて混ぜる。

※ナムプラーの代わりにしょっつるなどの魚醤を使っても可。
※レモンの代わりにかぼすやすだち、ライムでもおいしくつくれます。

ベトナム風和え麺

材料(2人分)

レモンしょうがナムプラー 大さじ2強
ベトナムの平米麺 120g
豚バラ薄切り肉 100g
香菜 2株
セロリの葉の部分 1/2本分
大葉 5枚
みょうが 2個
万能ねぎ 8本
アーモンド 5粒
ごま油 大さじ1

つくりかた

1. 米麺をボウルに入れ、ぬるめのお湯を麺がかぶるくらい加えて、30分ほど漬けておく。

2. アーモンドはすり鉢とすりこぎを使って砕いておく(または包丁で刻む)。香菜、セロリの葉、大葉、みょうがは食べやすい大きさに切る。豚バラ薄切り肉と万能ねぎは4cm長さに切る。

3. 大きめの鍋にお湯を沸かし、1.の麺を茹でる。柔らかくなったら豚バラ肉も入れて茹でる。ザルにあげて流水で洗い、よく水気をきっておく。

4. ボウルに入れて2.の野菜、レモンしょうがナムプラー、ごま油を加え、よく和える。

5. 器に盛りつけ、アーモンドをかける。

海藻と木綿豆腐のサラダ

ひと晩水切りした木綿豆腐を食べやすい大きさにして、水で戻した海藻ミックスと混ぜ、
レモンしょうがナムプラーを適量かける。

瀬戸口家
しおりさん、和楽くん
旦那さんと和楽くんと3人家族のしおりさんは、セツ・モードセミナー在学中に「諸国空想料理店 KUU KUU」に入り料理の道へ。料理家高山なおみさんのアシスタントを経て料理家に。素敵なおばあさんを目指して日々修業中。著書に『私の手料理』(アノニマスタジオ刊)ほか。

《あのひとの、冷蔵庫》の記事

  • 家族団欒の場であり、仕事の場でもある。公私かかわらず、キッチンは瀬戸口さんの本拠地です。

  • “持ち込まず、持ち出さず”の自然農の精神を人生そのもので実現しようとする村上さんの暮らし。

  • エネルギー、食べ物、仕事の自給がテーマ。そして食べてばっかりの、仲よしシェアハウス。

  • お子さんの誕生直前、最後のツーショット(?)の堀家を取材。おふたりによると、堀家の冷蔵庫のウリは3Dマグネット!ということですが…。

  • 文吾さんが一目惚れしたのは奈々子さんのカレーでした。愛のキューピットは食べ物だったのです。

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