ワランワヤン
モロッコとバリのものづくり
───愛する国で、それぞれの「好き」を形に

くらすことが福岡で始動し、そのはじめての展示となるのが7月23日からスタートするワランワヤン展。
モロッコとインドネシア——遠く離れたふたつの国でつくられるワランワヤンの生活雑貨。
竹のかごや、木工の台所道具、革のバブーシュやバレエシューズ……素材にこだわり、信頼できる腕のいい職人を探し出し、
それぞれの国の暮らしに寄り添った仕事の中で、日本のお客さまに届けるために必要な完成度とセンスをプラス。
異国での丁寧なモノ作りについて、ワランワヤンのおふたりに話しを聞きました。

ワランワヤン (warang wayan)
2000年より活動開始。インドネシア在住の土屋由里とモロッコ在住の石田雅美からなるユニットで、それぞれの国の質のいい手仕事にこだわりながら、オリジナル雑貨を作り続ける。 現在はワランワヤンインドネシア、ワランワヤンモロッコと別々に活動しているが、数年に一度二人揃っての展覧会を行っている。
warangwayan-indonesia.com
warangwayan-morocco.com

ワランワヤン展『モノトーン』

2016年7月23日(土)〜7月31日(日)11:30〜18:00(会期中無休)

くらすこと
福岡県福岡市中央区平尾 1-11-21 村田ビル2F kurasukoto base
092-791-9767
ワランワヤン展『モノトーン』

「子どもと一緒のスローな暮らし」と「わたし自身のものさしをみつける」をテーマに、
日々の生活に豊かさと気づきをもたらす提案をしている“くらすこと”が、福岡で新たにスタートします。
そのはじめての展示となるワランワヤン展。遠く離れたインドネシアとモロッコふたつの国で、
それぞれの国の手仕事にこだわりながら、
日本の暮らしに沿う繊細さと完成度をプラスしたオリジナル雑貨を作り続けるユニットです。
今回の展示テーマ「モノトーン」に合わせた、かごや木のカトラリー、バブーシュやバレエシューズなど、
定番商品に加え、今回の展示のために作られた新アイテムが並びます。
九州では初、そして数年に一度しか開催されないワランワヤンの展覧会。ぜひ足をお運びください!

ワランワヤンインタビュー 第1回
warang wayan Indonesia(ワランワヤン インドネシア)
土屋 由里さん

文:編集部
写真提供:ワランワヤン

革のバレエシューズに、竹を使ったかご、台所にぴったりな木の道具
———インドネシア、バリ島から届けられるワランワヤン インドネシアの商品。
厳選された作品は、家族とともにバリ島に暮らす土屋さんの、地に足のついた生活のなかで生まれているものでした。

バリの人たちが昔からつかっている
“暮らしの道具”にヒントを得て

——ワランワヤン インドネシアの商品は、どれも南国の風を感じさせつつ、日本人の「いま」の暮らしのセンスにぴったりくるものばかりです。どのように作っていらっしゃるんですか?

ありがとうございます。
わたしはバリ人の夫と結婚して子どもができて以来、十数年バリに暮らしています。
バリ島のウブドという町から、車で15分くらいのところにある村で、もう、みんなが知り合いのような小さなところです。
そのなかで、昔からの竹製品や鉄製品、木工など、バリの人が日用品としてつかっている道具にヒントを得て、日本人の暮らしの中にあうように、デザインや細部を調整して、商品として作り直すものが多いですね。
たとえば、夏にご好評いただいている、鉄の蚊取り線香入れは、この仕事を始めた15年前から扱っています。

初めて日本で取引きをさせてもらっていた方から、バリにこういう蚊取り線香入れがあるらしいので、探してほしいと言われて。
バリに帰って調べてみると、確かに同じような蚊取り線香入れが、バリ在住の日本人の方のお店においてありました。
はじめはそのお店にオーダーしていたのですが、そのうちに、その方が他の仕事を始めることになり、自分はもうこれを辞めようと思っていると。
職人さんがたくさん作れないし、納期も守れないし、不良品も多くて、これ以上取り扱いできないとおっしゃるんです(笑)。
そこで私が引き取って、デザインを少しかえて、村の近くに職人を探し出して、作りはじめました。
それでもやっぱり、商品として質や量が安定するまで5年くらいはかかりましたね。
その間、黒い丸型だったのから四角ができて、ブリキのものをつくったりと、種類を少しずつ増やしていきました。
すごく思い入れのある製品のひとつです。

——日本ではワランワヤンさんのかごなどの竹製品もとても人気です。

竹製品も、昔からバリでつくられていたものです。
ただ、バリでお土産物屋などに売っているようなものは、わりと色などをつけてかごに加工をしてあります。
バリの雨期は湿気がほんとうにすごくて、すぐにかびてしまったりするのでその対処なのだと思います。
でも、わたしは天然の素材のよさ、長い間使っていくうちに変化する風合いをそのままお届けしたくて、あまり色の加工はしません。
一度かびが生えるともちろん、もうその製品はだめになってしまうのですが、そのリスクを負ってもやっぱり、そのままの良さをお届けするために、天気のいい日は日干しなどをし、なるべく早く日本に出荷するように、と心がけています。

バリの人を人前で怒るのは絶対だめ
尊重して、信頼する。

——言葉も文化も違う職人さんに思いを伝えたり、意思疎通を図ったりすることにご苦労はありますか?

そうですね。
やっぱりそこは、してほしいことははっきりと伝えるしかないと思っています。
バリの人はどちらかというと、新しいものを作りたがらないところがあって。
昔からの伝統を大切にしているからか、同じものをこれまでと同じようにつくりたいという思いがあるみたいなんです。
たとえば、デザインの細かい変更やバリエーションなんかも、サンプルをいくつも作ってほしいというと、必ずいやな顔をされちゃいますよ(笑)。

——そういうとき、どう対応されるんですか?

「でも見てみたいから。つくって」って笑顔で(笑)。
あとバリの人に対しては、人前で怒ったりというのは絶対NGなんですね。
仕事を始めた頃は、ビックリするぐらい違うものができたり、納期が遅れた時は、職人さんに強く言ったこともあったのですが、今は数々のビックリを乗り越えて、何があっても驚かなくなりました。
そして、作ってもらったサンプルはもちろん、不良品があったとしても、なおせるところまでなおしたら全部買い取るようにしています。
そこは職人さんとの良い関係を保つのにとても大切なことだと考えています。

——旦那さまとも一緒にお仕事をされていますよね。

夫との関係も同じで。
バリ人の彼がつくるものでケンカをするということはあまりないですね。
もちろん、彼の感覚がわたしと合うということも大きいです。
彼はもともと木工の職人で、わたしと結婚してから、ワランワヤンの木工製品を作ってくれるようになったのですが、
最初に作ったのは、木のスプーンでした。
でもバリの人はごはんを手で食べるので、スプーンを使う習慣がない。
それなのに、彼がつくったものは、形も使い勝手もすごくよかったんです。これはすごいな、って。
今、彼は木工の職人さんをまとめてくれています。
木の道具については彼にほとんど任せていますが、それで、何か違うな、ということはほとんどないですね。

家族、親戚、きょうだい、村の人…
感謝を伝えたくて一緒に仕事をしています

私たち家族は、いま夫の実家に同居しています。
親戚もたくさん住んでいて、大家族です。
お昼ごはんは義理の母と一緒につくったバリごはんを食べて、敷地の中に小さなアトリエがあり、そこで木製品をつくり、バスケットなどの最終仕上げは、村の職人さんに集まってもらって作業しています。
やっぱり外から来た人間として、「ここに住まわせてもらっている」という意識は常に持っているので、できるだけ、その感謝を還元していきたくて、村の中のいろいろな年齢の人たちと一緒に、仕事をしたいと思っています。
今、家に出入りしてくれている職人さんは男女あわせて、6〜7人くらいでしょうか。
一人、最近赤ちゃんが生まれたばかりの女の子の職人さんがいて、赤ちゃんを連れてきてもらって、みんなで面倒をみながら仕事をしてもらっています。

——それは素敵ですね。特に初めての子育てのときは、たくさんの人に近くで見てもらえるだけで、ずいぶん子育てのプレッシャーが減る気がします。

そうなんですよ。わたし自身、最初の子供をバリで出産した時は何もわからず、子育てと仕事とでてんてこ舞いでした。
でもバリの大家族に助けてもらい、私自身仕事があったほうがいいと思ったので、
出産した後もそのまま仕事ができる環境にしたいと思っています。
やっぱり大人の目がたくさんあるのとないのとは全然違いますよね。
その女の子がうちに働きにくるときに、「村の人からもらったいいのがあるんですよ!」といって、
赤ちゃんを寝かせておくバウンサーを持ってきたんです。
でもそれって、私が日本で使っていたのを村の人にずいぶん前に譲ったものでした(笑)。
村中をまわりまわって、破れたところは布でつぎはぎがしてあって、それでうちに戻ってきたんですね。 

シンプルに生きている強さが、
バリにはあると思う

今でこそスマホが入ってきて情報もたくさん入ってきたのですが、バリの人は日本人よりずっとシンプルに暮らしています。
家族や村で使えるものをまわして使ったり、情報もやっぱりすごく限られています。
でもそれが強さでもあると思います。
情報があるとつい、「これはこういうものだろう」という固定概念ができますが、それがないから、いいと思うものはいい、ということになる。
職人の手仕事は、とても地味な仕事です。
でも、昔から続く伝統工芸をていねいにつないでいく力もあります。
夫を見ていても思いますが、生き方自体が原始的でシンプルです。

——生き方が原始的でシンプル、というのは今の日本でも、多くの人が憧れを抱いているように思います。その源はどこにあると思いますか?

ひとつは、やっぱり宗教です。
インドネシア人の多くはイスラム教徒ですが、バリ島にはバリ・ヒンドゥーと呼ばれるヒンドゥー教が根付いています。
バリ人にはいつも、宗教があるんです。
宗教に生きている、といってもいいと思います。
朝夕の食事の前に、お祈りをするのはもちろん、満月や新月の日はお供え物をし、祭事もすごく多いです。もう、お祭りばっかり(笑)。
半年に一度は大きなお盆のような祭りがあって、1年に一度は外に出てはいけないといわれている日もあり、そうなると当然、職人さんたちも仕事の休みは多く。
はじめは驚きましたけれど、郷に入れば郷に従えで、私もそういうリズムに慣れていきましたね。

——宗教に生きている、というのはどんなところで感じられますか?

わたし自身は、バリ人のように宗教に生きているとは全く言えません。
でも、時々義母のお手伝いをしたり、バイクで山道を走っているとき、道沿いでお供えをしている女性の姿をみたり、深い緑に包まれているだけで、リセットできるというか、自分に戻ることができる気がします。
日本に戻ってくると、自分の想像したように一日が過ぎることが多いですよね。
たとえば、朝「今日は何時にあそこにいって、あの人にあって、その後移動して打ち合わせをして…」って、考えたら、だいたいその通りに運びますよね。
電車も本当に時間通りにきてくれますし。
すごく便利だし、いいなって思うんですけれど、バリにいると思い通りにいかないのが普通なんです。
天候ひとつとっても、雨期にスコールがあると、出かけたくても出かけられないし、かびは生えるし(笑)。
でも、そういうハプニングも含めた上で暮らしや仕事があると思います。

等身大の自分の暮らしと
目が届く範囲でのものづくり

——そんなバリでの暮らしのなかで、生まれた商品はありますか?

例えば、バレーシューズはわたしが個人的に欲しいと思ってつくったものです。
バリは暑いので、タイル張りの家が多く、ひんやりして気持ちがいいんですが、ずっと暮らしているとだんだん足下が寒くなってきて。
自分が履きたいルームシューズがなかったので、つくってしまおうと、革を扱える職人さんを色々探して、今の職人さんに出会いました。
そのときも「ドット模様をつけてみて」なんて言ったら、嫌な顔をされましたけど(笑)。
できあがってみたら、思った以上によく出来ていて気に入っています。
ベビーシューズも、自分の子供に履かせてあげたいものをつくれたらいいな、と思って生まれた物です。
そんなふうに、ワランワヤンの製品には、バリの人たちの日用品からヒントを得て日本に合うようにつくりかえたものと、
私がバリで暮らしていくうちに「あったらいいな」と生まれたものと、2通りがあります。

シューズ類を作っているのは、家のアトリエとは別の工房にお願いしているのですが、
ここにもよく出かけていって、職人さんと話をしたり、工程をチェックしたりしています。
自分の目が届く範囲で仕事をするというのを大切にしています。
日本から、たくさんのご注文をいただいて、もっとたくさんの商品を日本にお届けできたらいいというジレンマもありますが、
私もモロッコの石田もとても不器用なので少しずつできる範囲が広がりつつこの先もやっていくのだと思います。
悩ましいけれど、それはきっと石田も同じじゃないかな、と思うんです。

モロッコとバリ
これまでとこれからのワランワヤン

石田との出会いは、美大を出た後に働いたギャラリーでした。
私は、織物が好きだったので、インドネシアの島ごとに異なる織物を見るために、たびたびインドネシアに足を運んでいました。
石田はアフリカに惹かれていて。
お互い、その資金を貯めるために働いていたんですね。
いよいよ自分で何かを始めようとなったときには、自然とふたりで始めることになりました。
それぞれが自分の縁ある国に移住して、家族ができて。
ずっと遠くにいるのですが、それでもやっぱり心強いですよね。同じような境遇にいる仲間がいる。
ひとりじゃないというのは。お互いの「好き」と思う物も、ふたりはよく似ていて。
だからモロッコで作られるものも、こっちで作る物も違っているけれど、ワランワヤンとして、何の違和感もないです。

また初心にかえって、ふたりでまったく違う国に行ってもいいね、私はもともと好きだった布製品も扱いたい、
なんてそんな話も時々していますが、無理せず欲張らず、ひとつひとつ今のことを続けながら進んでいくのでしょうね。
どうぞ日本のみなさまも、モロッコ時間、バリ時間でゆっくりお待ちいただけたらうれしいです。

——今回の展示のテーマは「モノトーン」。どのような展示になりそうですか?

今までの展示は、その時、その時で私達二人が気になる色を入れながら展示をしてきましたが、
今回は、素材の色、そして定番である白と黒と、限られた色を使うことで、
素材と形と向き合い基本に戻るような新鮮な気持ちで、ものづくりができました。
アジアの繊細な手仕事とアフリカの大らかな手仕事がひきたてあって、
今まで以上に、よりワランワヤンのぐっとつまった1つの空間ができるのではないかと、今から楽しみです。

——展覧会に向けて、一言お願いします。

今回くらすことが新たにはじまる大切な展示をお受けすることになり、九州での展示は、私達もはじめてでもあり、
旅をする前のようなドキドキワクワクな気持ちでいっぱいです。
モロッコ、バリとそれぞれの国の空気を感じて頂ければ幸いです。

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バスケットやかご、木工製品、バブーシュにバレーシューズ。バリとモロッコ2つの国から届けられる、ワランワヤンならではのこだわりとセンスがつまった雑貨たち。
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第2回へつづく

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