イイホシユミコさんインタビュー2
イイホシユミコさんの新しいシリーズ
冬の日に温かいスープをのむための器“Fuyu no hi”と、
カレーの店「OXYMORON—オクシモロン—のための食器」をコンセプトにした“OXYMORON”。
そして、旅に持って行く器がテーマの“bon voyage”には新たなアイテムが加わりました。
昨年、3シリーズが形となったイイホシユミコさんのプロダクトシリーズ。
それぞれのシリーズのこと今後について、お話しを伺いました。
冬の日に温かいスープをのむための器
“Fuyu no hi”
“Fuyu no hi”のサイズは2種類。けれど、どちらも一般的なスープ皿の形「浅いお皿」とは随分形が違います。
「いわゆるスープ皿は冷めて食べやすいように、浅いものが多いんですが、私がほしかったものは、この大きな方の形なんですね。元々、私、スープがすごく好きなんです。野菜もたくさん摂りやすいし、のむと何だかほっとする。冬の日にスープボウルひとつを抱え込んで食べて温まる……そんな風景が浮かぶような器を作りたかったんです」。
大きなサイズは、作り手の工房も初めその形に驚き、本当にこれでいいんですか?と、念を押されたのだとか。
「smallサイズは、朝食につけてと思い考えました。今も、カップのスープ皿や浅い形のものなど、いろいろと想像しています。スープの器は、これからもいろいろと作り続けていきたいんです」。
このシリーズには、伝統的な“いっちん”という技法が用いられています。それは化粧土を絞り出し、一本一本書き加えられていく職人の熟練された技術。プロダクトでありながらも、職人さんの手仕事が加わる器の形。「こういうものが作りたかった」とイイホシさんは話します。
「プロダクトのシリーズを重ねる中で、工房の方から『こんなこともできますよ』という提案もして頂けるようになってきたんですね。その一つがこの”いっちん”という技法で、量産品だけれども、そこに職人さんの技術が入る。こういう仕事をしたいという思いがあったんです」。
イイホシさんが手で作られている器を、量産にする。ここをこうしたいという様々な要望を出し、細かなやりとりをしていく中で、「できること、できないこと」を、それぞれが確認し合う作業。
「人の手で作ってもらうものなので、あまり職人さんに無理やストレスのかかるものはよくないと思うんですね。スムーズにできて、いいものが出来れば一番理想的だと思っています」。
旅に持って行く器“bon voyage”と、
お店のイメージで作るシリーズのはじまり“OXYMORON”
旅先の市場に並ぶおいしいもの。咲く花。
その土地の空気を感じる。
そんな旅の情景を思い浮かべ作られたシリーズ
「bon voyage」。
新たに加わったのは花器。
「旅先の部屋でその土地の花を一輪生ける情景をイメージして、花器を作りました。くるみの木でできたケースは、北海道にいらっしゃる木工の職人さんが一本の木をくりぬき、ひとつひとつ作って頂いています。ボリュームのある花を飾るときなどは、このケースに入れると安定するんです」。
そして今回新たに加わった、カレーの店「OXYMORON—オクシモロン—のための食器」をコンセプトにした“OXYMORON”。お店のコンセプトやイメージを聞き、意見を出し合いイイホシさんが形にするという新しい試みが始まりました。
「OXYMORONは2008年の10月に鎌倉に新しくできたカレー屋さんなんですが、お店のイメージと要望を聞いて作りました。まず『かわいい』という印象がないものを作って下さいということで、私のハンドメイドの作品にあるようなカクカクとしたラインのものではなく、突飛でないあたりまえのものがほしいとのお話しだったんですね」。
OXYMORONは、さっぱりとした男っぽい印象のお店。実際できあがってみていかがでしたか?
「今回のシリーズは、より手作りに近いものができたように思います。お店のコンセプトに沿って想像することも面白いですし、そして、実際毎日使ってもらう現場があるということが何よりいい経験になったと思います」。
yumiko iihoshi porcelainのラインと並行し、今後も、”店のために作るシリーズ”もいろいろと展開していきたいというイイホシさん。
「去年3シリーズを作ったので、また今年もさらにそれらを繋げていきたいと思っています」。
それぞれのコンセプトで展開されるシリーズに、ひとつひとつ増えていくアイテム。イイホシさんのイメージはますます広がります。次は何が形になるのか?とても楽しみです。
藤田ゆみ(くらすこと)
