recit

古道具“recit” 古いものの、ある暮らし
〈第二十三回〉

西荻窪の外れに、ひっそりと佇む古道具屋、“recit”(レシ)。
様々な国や場所、時代からやってきた古いものたち。
ひとつひとつの物には、それぞれの物語があって、
またここから新たな物語を刻み始めるため
静かにその時を待っている。

そんな“recit” の店主 川上美保子さんにセレクトいただいたものたちと、
川上さんが写真と言葉で綴る、読み物「この場所から見える風景」。
"くらすこと"の店にて、月に一度、ご紹介していきます。

レシのホームページができました。

recit、2年ぶりの企画展が開催
「北フランス ベルギー オランダ 古道具展」

10月22日(土)〜11月13日(日)
11:30〜19:30  定休日:火曜日

recit(レシ)
東京都杉並区西荻北 5-26-17

“recit”店主 川上美保子さんの連載
『この場所から見える、風景』

『冬の骨董市』

今朝は、神社の境内で行われている骨董市を見に行きました。
みじかい秋が過ぎて、気温が下がり、指先がかじかむほど寒い朝でしたが、
葉の散った木々の枝が薄墨で描いたように空にのびている様子がきれいで
冬景色の骨董市もいいものです。

そういえば数年前、雪の日に骨董市に出掛けると、駅前広場は一面真白でした。
そんな日でも、来る人は来るのが骨董市で、ぽつりぽつりとテントが立ち、少ないながらも
朝早くから、人が集まってきます。 寒さにじっとしていられず足踏みしながら白い息をはいて、器や道具にまたたく間に降り積もる雪を横目に、こんな日に来るなんておかしいよね、とお互いに顔を見合わせ、笑っていました。

屋外で行われることの多い骨董市なので、冬は相当寒いです。
雪はさすがにつらいのですが、はじめて行った骨董市が真冬の日だったせいか、思い浮かぶ骨董市のイメージはなんとなく冬で、空気の冷たく澄んだ冬の朝の骨董市は、今も結構すきなのです。
布、道具、家具、器、はじめての日はなにを見ても珍しく、これは何だろう?と首をかしげる物がいくつもあり、高いのか廉いのかはまったく判断がつかないし、汚れて埃まみれのものも、壊れているものも売られていました。わからないなりに、沢山の物を無心に見つめて愉しく、心の底にとって置きたいいい思い出なのですが、その日も寒くて寒くて、駅までの帰り道、缶珈琲で手を暖めながら、震えて歩いたことを記憶しています。

その日見付けたソルト&ペッパーは、今でもひきだしの奥にひっそり転がっていますが、
赤いポストの形をしていて7センチ程とちいさく、実用というよりはオブジェ。
コルク栓と底に書かれた「JAPAN」の文字の入り方がいいなと思い、手に取ると、
「1960年代に作られたもの」と説明されました。もうひとつ、米国製の実験室で使われていた硝子壜を買いましたが、それはもう手元には残っていません。

守旧的な骨董市の風景は、あの日も今も、それほど変わっていないような気がします。
ソルト&ペッパーの売主のおじさんも硝子瓶の売主のおじいさんも、
今日行った骨董市で、同じように荷物を広げて、商いをしていました。

recit(レシ)
東京都杉並区西荻北 5-26-17 Tel:03-3397-6136
営業時間:11:30 〜 19:30 火曜定休