かえる食堂・松本朱希子さんの子育てと手づくりのたのしみ「ゆずちゃんのおやつ その1」

お話・おやつ かえる食堂・松本朱希子

季節の食材を使って丁寧につくる料理やお菓子が人気のかえる食堂・松本朱希子さん。2016年の秋におかあさんになりました。
「仕事でやりたことをひと通りしたあとの子育ては、はじめてで大変なこともあるけれど、たのしい」と言います。
この連載では、松本さんが娘さんのために、そして自分のたのしみのために、手づくりしたものを紹介します。

ゆずちゃんのおやつ —その1—

 

おかあさんになったかえるちゃん

おかあさんになった“かえるちゃん”こと、かえる食堂・松本朱希子さん。
久しぶりに訪ねたお宅には、小さな麦わら帽子やおもちゃ、絵本……1歳11ヶ月になる、娘のゆずちゃんのものがそこここにあって、明るさにあふれています。

最初は人見知りをしていたゆずちゃんも、追いかけっこをしたり、ベランダでアリを見つけてにっこりしたり、のびのびとして、すっかり打ちとけたようです。

「子どもが生まれてしばらくは、いろいろと手をかけていたのですが、気づくといっぱいいっぱいになってしまっていました。そこからは、少しずつ引き算するようになって肩の力が抜けていきました。いい意味での“いい加減さ”も大切ですね」と松本さん。

「これまで、仕事でやりたいことをやらせてもらってきたので、いまは子育てをたのしもうと思っているんです。娘を家でみているので、仕事はできる範囲でマイペースにしています」

おやつにはほんのりした甘みを

かぞくが増えて、“食”まわりにも変化が生まれました。そのひとつが、ゆずちゃんのおやつづくりです。

「おやつは出先で休憩をするときに食べることが多いです。持ち運びしやすくて、娘が手で食べやすいものをつくります」

ゆずちゃんはからだを動かすことが大好き。親子で近所の公園に出かけたり、体操教室に通ったり、外出することが多いのだと言います。
くだものに目がないゆずちゃんのおやつは、季節のくだものを使ったものや、おなかを満たす軽食がメインです。

「ほんのりした甘みがあると、よろこんで食べてくれますね。安心してあげられる自然なやさしい甘さの甘味料を使っています」

愛用のやさしい甘味料

ふだんのおやつづくりに使う甘味料は、子どもが生まれてから、常備するようになりました。

◎自家製・甘酒

「地元の広島に里帰りしていたときに、近所の方におしえていただいて、炊飯器でつくるようになりました。離乳食の頃によく使っていましたね。水分を多めにしてつくるので、水で薄めずそのまま飲めます」

〈材料〉(つくりやすい分量)

米 1合
甘酒用麹 200g

〈下準備〉

麹が塊の場合は、手で細かくほぐしておく。

〈つくり方〉

  1. 米を研ぎ、水4合を加えて炊飯器でおかゆをつくる。
  2. お釜を取り出し、水650ccを加えて混ぜ、50度以下になるまで冷ます。
  3. 2に麹を加えて混ぜ、お釜を炊飯器に戻して保温にする。炊飯器の蓋に菜箸を1本かませ、蓋が開かないように蓋の上に重しをして、9~10時間そのまま置く。ときどき混ぜて温度計で測り、55度前後に保つ(*1)。
  4. お釜を取り出し、粗熱が取れたら中身を清潔な容器に移して冷蔵庫で保存する。

*1 50〜60度の間に保つと酵素がよく働く。なお、菜箸をかませるのは、温度が上がりすぎないようにするため。70℃以上になると、酵素が壊れてうまく発酵しない。
*冷蔵庫で5~6日保存可能

◎ライスミルク

米を米麹と水だけを使って、糖化発酵させたドリンク。

「昨年の夏に、福光屋さんのイベントをきっかけに、このライスミルクをおしえていただきました。なめらかでコクがあって、寒天などつるんとした冷やし固めるおやつをつくるときに使っています。離乳食の時期には、牛乳や豆乳にこのライスミルクをプラスして、スープやホワイトソースもつくっていました。アミノ酸がたっぷりで栄養があって、ほどよく甘みがつくのが気に入っています。 ちなみに、福光屋のみりんも気に入っていてカステラづくりにもぴったりでした」

プレミアム ライスミルク/福光屋

◎甜菜糖

甜菜糖はミネラルのほか、腸内環境を整えるオリゴ糖を含みます。

「砂糖大根(甜菜)からつくられているので、安心だなと思って。溶けやすい粉タイプを常備しています。料理やおやつなど、おもに娘の食べるものの甘みづけで使うようになりました」

てんさい含蜜糖 粉末 500g/ムソー 

◎ドライフルーツ

保存がきいて、持ち運びしやすいドライフルーツは、ゆずちゃんのおやつに欠かせません。天日干したバナナとドライいちじくはかえるちゃんのお手製です(つくり方は次回、ご紹介します)。

「食物繊維を含んだプルーンとグリーンレーズンをよく使います。グリーンレーズンは鉄分と食物繊維がプルーンよりも豊富なのだそうです」

ゆずちゃんの好きな豆乳寒天

あかちゃんの頃からくり返つくってきたのが「豆乳寒天」です。

「とくに離乳食の頃、よくつくっていました。ライスミルクとプルーンのほんのりとした甘さのおやつですが、娘は気に入っていてよく食べてくれますね」

豆乳寒天をあっという間にたいらげたゆずちゃんは、からっぽのお皿を前に「もっと!」とおかわりをアピール。そのようすに、松本さんも思わずほほえみます。

松本さんのおやつは、栄養はもちろん、体調に合わせたレシピでもあります。

「寒天は腸の掃除をしてくれますし、食物繊維のあるプルーンはおなかにいいんです」

「プルーンの豆乳寒天」

〈材料〉

A ドライプルーン(種抜き)2個
    豆乳 1/2カップ
    ライスミルク 1/2カップ
水 1/4カップ
粉寒天 1g

〈下準備〉

ドライプルーンは包丁で粗く刻んでおく

〈つくり方〉

  1. 小鍋に水と粉寒天を入れ、中弱火にかける。ゴムべらで鍋底から混ぜながら、沸いたらふきこぼれない火加減で3分ほど煮る。
  2. Aを加えてよく混ぜ、再び沸いたら火からおろす。
  3. 2を耐熱容器に入れ、ひとまわり大きいバットにのせて氷水をはる。粗熱が取れたら冷蔵庫で1時間以上冷やし固める。

食べることを好きになってほしい

「私たち夫婦が食べることが大好きなので、娘にも食べることが好きになってほしいと思っています。家で手づくりするときは、安心して娘にあげられる食材を選んでいますね。いろいろな味を知ってほしいしから、自分もつくることをたのしみながら、いろいろなものを食べさせてあげたいです」

松本朱希子
料理家。京都の大学在学中に料理研究家のアシスタントを経験し、モーネ工房で暮らしまわりについて学ぶ。工房でランチをつくったことがきっかけとなり「かえる食堂」をスタート。広島の実家から届く野菜や食材を使い、季節を感じる料理を提案している。
http://www.kaeru-shokudou.com

次回は「ゆずちゃんのおやつ —その2—」です。

撮影・森本菜穂子
編集・天田 泉