子どもを信じること/田中茂樹

子どもを信じること/田中茂樹

子どもが生きることを好きになるために、親ができることとは

不登校や引きこもり、摂食障害など、様々な子育ての悩みを持つ親の話を聞き、またご自身も4人の男の子を育てる親でもある、医師・診療心理士の田中茂樹さん。その経験から導き出した子育ての方針は、「本来子どもが持っている力を信じる」、ということでした。
子どもに小言を言わず、やさしく楽しく接しても大丈夫、と田中さんは言います。子どもが家庭で楽しく過ごせること。子どもが自分を好きになること。生きることを好きになるために大切なそれらのことを、親はどうサポートしてあげられるのか。子どもとの接し方や、また育児の悩みや苦しみが生じるメカニズムを、多くの事例や心理学の概念を引用しながら解説していきます。

「子どもを信じるということは、都合よく考えて放任することではないのはもちろん、見守っていれば失敗しないだろうと信じるのでもありません。そうではなく、失敗するかもしれないけれども、失敗してもまた立ち上がる強さを持っていると信じるのです。自分の子どもは信じるに値する子だ、大事にするのに値する子だと信じるのです。親から信じてもらえることこそが、子どもにとって決定的に大切な勇気の源になります。」(本文より)

目次

はじめに
この本の目的と構成

I 診察や面接で気がついたこと
  1 親にできるのは自分が変わること
  2 目に見えるものに偏りすぎていないか
  3 勉強よりも大切なこと
  4 先んずれば人を制す?
  5 不登校は勇気ある行動である
  6 子どもを信じて愛情を与える
  7 まず好きになる
  8 きちんとすることよりも好きになることを
  9 子どもは導かないと成長しないのか?

II 親子の関係
  10 親と子の別れ
  11 子どもと親の距離 — 近すぎる親、遠すぎる親
  12 近すぎる親の問題 — 子どもの出会う現実を加工する
  13 遠すぎる親の問題 — 子どもの気持ちに無関心
  14 現実を受け容れるということ
  15 叱りすぎることの危険性
  16 母親は子どもに去られるためにそこにいなければならない
  17 空腹の自由、食欲の自由、排泄の自由
  18 頼りないので手放さない
  19 食べ物は毒?
  20 優等生はなぜいじめられやすいのか
  21 自分を守る心の仕組み — 防衛機制について
  22 自分の世界にこもることで自分を守る — 引きこもりの防衛
  23 不快をもたらす現実を受け容れない — 否認の防衛
  24 育児の不安、親の不安 — 置き換えの防衛
  25 自分の思いを相手に映し出す — 投影による防衛
  26 子は親の鏡 — だから親の過去を映すこともある
  27 できたと思って喜ぶとすぐ逆戻り — 打ち消しの防衛
  28 なんでも思い通りになるという感覚 — 万能感による防衛
  29 責められるより責める方が楽 — 攻撃者への同一化
  30 親が子どもを守るということ

III 子どもとのコミュニケーション
  31 先に進まない
  32 小言を控える
  33 指示しない
  34 子どもに起きてくる変化
  35 押しつけないことで伸びるものがある
  36 子どもが失敗した時は愛情を与えるチャンス
  37 おしゃれや化粧は自分を守る
  38 衝動を制御する力はどう育つのか
  39 家ではくつろがせてやる
  40 子どものペースで
  41 子どもは「嬉しい」や「悲しい」をどう学ぶのか
  42 子どもをやる気にさせる
  43 自分の意見を言える子どもはどうやれば育つのか
  44 見守る
  45 アイスクリーム療法

参考文献
おわりに

田中茂樹(たなか・しげき)
1965年、東京都生まれ。4歳から高校卒業まで徳島県で育つ。京都大学医学部卒業。京都大学大学院文学研究科博士後期課程(心理学専攻)修了。文学博士。2010年3月まで仁愛大学人間学部心理学科教授、同大学附属心理臨床センター主任。現在は、医師・臨床心理士として、地域医療、カウンセリングに従事している。2012年3月より佐保川診療所所長(TEL 0742-22-3201)。著書に、『認知科学の新展開 4 イメージと認知』(共著、2001年、岩波書店)、『子どもが幸せになることば』(単著、2019 年、ダイヤモンド社)などがある。

子どもを信じること/田中茂樹

著者:田中茂樹
出版社:さいはて社
ページ数:336ページ

子どもを信じること/田中茂樹
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