yuka takayamaのクリスマスボックス 2019

「みなさんが、自然の恵を受け、幸せになってくださったらうれしいです」
と柔らかに笑う、料理家・高山由佳さん。彼女の手で作り出されるパンも、お菓子も、お料理も、そして彼女のいる空間までもが、まるで魔法にかかったみたいに、とめどなく優しい。

人生を変えた、あの日の出来事

高山由佳さんが、yuka takayamaと冠し、アトリエをオープンしたのは今年3月のこと。アトリエでは、時々パンやお菓子、お食事がふるまわれる。
それまでは、中国茶とお料理の教室を運営する、お茶会ユニット“chanowa”のお料理を担当。“chanowaのゆかさん”として2006年から活動。

「chanowaをなおこさんと二人で立ち上げ、お教室やイベントをやってきました。立ち上げてしばらくは児童養護施設でご飯を作る仕事と兼業していたのですが、どちらも手を抜けずにいたので、chanowaの活動だけに集中しようと決めました」と当時を振り返る高山さん。

それからしばらくして、人生を変える予期せぬ出来事が。
2016年4月に起こった熊本地震。
被災した高山さんは、今後について考えることを強いられた。

「お教室として利用していた公民館、パンやお菓子の卸先、それから自宅やその周辺も全部被災しました。そこでふと思ったんです。これまでの自分の人生は、流れに甘えたものだったな、と。今の私には何もない、このままじゃいけないと、今後のことを真剣に考えました」と話す高山さんの顔からは笑顔は消えていた。

「chanowaの活動を少し休んで、自分一人でもできることをやらなければ」と今後についてを模索していた頃。
「できるようになってでいいから」と、全国からパンの注文のメールがたくさん届いた。それは、ファンから被災した高山さんへの応援メッセージだった。

chanowaの活動は一人で生活を成すことができてから。
これまでの“甘え”を断ち切るようにして、被災跡が濃く残る自宅近くに、自分だけのアトリエを構える一大決心をし、定期的なchanowaの活動はしばらく休止することに。

酵母の神さまがいる場所

「アトリエで、パンやお菓子を販売したり、お料理教室をしたりしよう」
「お客さまが思いおもいに過ごせる、テーブル席も準備して、居心地良く過ごしてもらう空間もあったらいいな」と、アトリエができていくに連れて心も少しずつ前向きに。

好きな古家具をいくつか入れて、販売のための陳列棚も、業務用のオーブンも少しずつ運び込まれてきた。
その中でも高山さんが大事に丁寧に育ててきた酵母を運んだ時はどんなに感慨深い瞬間だったことだろう。
高山さんの、とめどなく優しい味のパンに欠かせない、果物や花で起こした酵母。世界に一つだけの酵母は、パンを作る高山さんにとっては我が子のように大切なもの。

そして、また予期せぬ事態が。
アトリエに引っ越してきてすぐに、その酵母がダメになっているのに気づいた。これまで手塩にかけて育ててきた、パンの要となる酵母が、全滅。
「ここでは酵母は育たないのかも」
「アトリエを構えたのも間違いだったのかも」と自分の選択した道をも疑った。

そんな気持ちのまま、一から酵母を仕込んだ途端に、心労やストレスからか、ぎっくり腰に。

「酵母が気になりつつも3週間寝込んだ後、足を引きずりながらアトリエに向かうと、なんと、諦めていた酵母が起きていたんです!ここには酵母の神様がいる!と確信しました」と、ぱっと大輪の花が咲いたような笑顔で話してくれた。

この嘘みたいな本当の出来事で、この場所で、一人でやっていくという決意も固いものになった。

シンプルな古典菓子にヒントを得て

そんなミラクル酵母を使った“yuka takayama”のクリスマスのお菓子・シュトレンは、本場ドイツのシュトレン製造規定に基づいたもの。ドイツではイーストが使用されているけれど、代わりにりんごで起こした酵母を。小麦も日本の小麦にライ麦を少しだけ混ぜて。砂糖も甘すぎないように、本場のものよりも減らした分量で。

「私は古典菓子が好きです。シュトレンもその一つ。時代を経て受け継がれてきたお菓子。うちの定番のお菓子も古典的なものが多いんです。旅先で古本屋に立ち寄って見つけた、小説に出てきた名も無いお菓子を再現してみたり。それがうちの定番商品のショートブレッドのレシピになりました」
たくさんのレシピが書き留められたスケッチブックを大切そうに見せてくれた。

古典菓子はシンプルなものが多い。高山さんのお菓子もパンも、お料理もとてもシンプル。シンプルだからこそ、味をきめるのが難しそうと素人の意見をぶつけると、

「色々混ぜると、味がわからなくなっちゃって。シンプルなものでも、とことん試作して1年かけてできるレシピもあるんです」と、軽やかに高山さん。

この言葉に、初めて高山さんのお菓子をいただいた時のことが頭をよぎった。
とてもシンプルで、素材の美味しさが際立つ栗の古典菓子。和栗を使った、優しい甘さが絶妙のそれは、口に入れた瞬間に心を揺さぶられるほど美味しく、感動したのを覚えている。

食材に感謝し、丁寧に扱う

シンプルだから、簡単なわけじゃない。シンプルだからこそちょっとした配分で全く違う味になってしまうし、シンプルだからこそ作り手の思想や姿勢、人柄が、はっきりと作るものに映し出される。

「お料理に使う食材に感謝して、とても丁寧に扱います。お肉でもお野菜でもお魚でも、命あるものだから。その命をみなさまに喜んでもらうかたちでお届けする。そんな自然の流れに料理人は立っています。食べる人が“美味しい。幸せ”と感じてくれることで食材の命も浮かばれると思うんです。」

日々向き合う食材に対しても、優しさと感謝の心をもって接する高山さん。
食材と食べてくれる人を、美味しく繋ぎ、どこまでも思いやる。この姿勢こそが、美味しさはもちろん、料理を口にした人の心にぽっとあたたかい火を灯す理由なのだ、と腑に落ちた。

1800年代のフランスからやってきた、アトリエのフレンチドアを開くと、今日もにこにこと優しく笑う高山さんが、美味しいパンやお菓子、お料理を作り出している。
またすぐに高山さんに会いに行こう!目を閉じて深呼吸をし、「いただきます」「ごちそうさまでした」と心を込めて丁寧に唱えたくなる、あのお料理にも!

りんご酵母が心に染み入るシュトレン

本場ドイツのシュトレンには、レシピ規定があります。そのレシピに少しだけアレンジを加えて作られる、ベーシックだけど、どこにもない絶妙バランスのyuka takayamaのシュトレン。イーストの代わりに自家製のりんご酵母を使用しているので、優しい酸味をかすかに感じます。国産小麦には、噛めば噛むほど味の出るライ麦を少しだけ混ぜて。グリューワインでしっとり煮たイチジクのプチプチとした食感と、パンのような噛みごたえのある食感がおもしろい一本。
お酒を含んだドライフルーツが、日を置くごとに生地になじんでいく変化も楽しんで。甜菜糖や発酵バターが控えめで、上品な味わい。甘いのが苦手な男性にもおすすめです。
「毎日薄く切った一枚のシュトレンを、クリスマスを待ちながら食べる時間が、しあわせなものであってほしい。そんな想いも込めてます。シュトレンにはスパイスを入れているので、厚めに切ったスライスにブリーなどのマイルドなチーズをのせて食べるのもおいしいですよ。ホットワインにぴったりです。」

一度食べると、また来年も!と食べたくなるほどおいしい、大人のシュトレン。伝統と食材に敬意を払った高山さんらしいシュトレンを食べながら、クリスマスを待ちわびて。

シュトレンと合わせて、高山さんにお選びいただいたクリスマスボックス。シュトレンと一緒に楽しみたい紅茶のセットと、クリスマス限定商品をセットにした、クリスマスらしい2種類をご用意しました。

yuka takayama
クリスマスボックス A

yuka takayamaのシュトレン、Price & Kensington ティーポット、Campbell’s Perfect Tea 250gをセットにして。

紅茶の国からやってきた、
ぽってりかわいいティーポット

高山さんが愛用する、イギリスのトラディションを感じるPrice & Kensingtonの陶器のティーポット。

茶葉がジャンピングしやすいように丸く整ったその佇まいは、さすが“紅茶の国ブランド”のもの。ポットにサイズがぴったりなHighlandのティーコージーをかぶせてお使いください。

ぽってりとしたかわいらしく温かみのある見た目が、お茶の時間のテーブルをブリティッシュムードに。

渋みはないけどコクはある
アイルランドの紅茶

アッサム種を改良した、しっかりとコクのある豊かな味わいなので、ミルクティーにもぴったり。濃いめに淹れた紅茶にたっぷりのミルクを入れて、焼き菓子と一緒に。

「初めて一口飲んだ瞬間から大好きに。渋みのないスモーキーな紅茶で、ストレートティーで、シュトレンにもよくあいます。」と、高山さん一押しの紅茶。

一日の終わりに、クリスマスツリーを眺めながら、ヨーロッパ発祥のお菓子と飲み物を楽しんでみては?そんなスローなクリスマスの迎え方もいいですね。

yuka takayama
クリスマスボックス B

yuka takayamaのシュトレン、CANTUS CD“NOEL”、float Solid Perfume 練香がセットのクリスマス限定アイテムセット。

祝福と安息に満ちた、音の世界

教会音楽をレパートリーする女子聖歌隊CANTUSの、はじめてのクリスマスアルバム。「もろびとこぞりて」「きよしこの夜」など定番のクリスマスソングに加えて、聖歌を歌い続けてきたCANTUSだからこそ知り得る、古くから協会で歌い継がれてきたクリスマス・キャロルなど、20曲を収録。声だけで奏でる美しいハーモニーに耳を傾けながら、クリスマスを楽しみに待つ時間にぴったりのアルバムです。

この香りをかぐと
今年のクリスマスを思い出す

華やかで、上品なフローラルな香りの中に、フランキンセンスのオリエンタルで神秘的な雰囲気を感じ、少し時間が経つとサンダルウッドとパチュリが丁度いい練香。土のような、墨汁のような深い香りが全ての香りをひとつにまとめてくれます。リップのようなスティック状になっているので、手首に、耳の後ろに直接さっと塗って香りを楽しんで。

アーシーな重めの香りを纏い、クリスマス・キャロルを聴きながら、感謝に満ちたシュトレンを大切な人たちと少しずついただき、お互いに「今年もありがとう」を伝え合う。そんなクリスマスがyuka takayamaのお菓子にはよく似合います。

yuka takayama(ユカ タカヤマ)
高山由佳さん主宰。2019年、熊本市にアトリエをオープン。果物・花から起こした天然の酵母で作ったパンやシンプルで優しいお菓子を焼く。保存料・添加物は一切使わず、安心・良質な素材を使ったパンやお菓子のオンライン販売も人気。
chanowa.net
アトリエOPEN DAYやイベントのお知らせはInstagram(@yuka_takayama_atelier) で。

Photo:Haruki Anami