“くらすこと”をはじめたきっかけ

春になると桜の花が咲き誇ります。花が咲く“その時”は、その年の暖かさ、寒さ、 日のあたり具合によって、一本一本それぞれの木の「咲くべき時」にその時を迎えます。 それはとても当たり前のことですが、私にとってこどもを身ごもり産むという体験は、 桜の木と同じく、自分も自然の大いなる流れの一つであるということを意識する きっかけとなりました。

そして子育てがスタートし、始まったおっぱい生活。 お乳が張ってきたなと思うと、子どももちょうどおっぱいが欲しくて泣き出したりする、 それは初めて感じる、とても動物的な感覚でした。 自分のおっぱいだけで日に日に大きくなる子どもを前に、人もやはり動物なんだ、 自然の一部なんだという、頭では知っていたけれど身体では理解していなかったことを、 初めて感じ得ることが出来ました。

そんなきっかけがあり、自分のからだとこころを作る毎日のごはん、自分も子どもも 気持ちよく日々くらすこと、からだのこと、地球のことなどに、自然と興味をもつように なっていきました。 人間のもつ動物的な本能にたくさん触れる妊娠中、子育て中のお母さんたちは、 そのようなナチュラルな生活やオーガニックなくらしをストンとこころと身体で受けとめる ことができる、そんな時期だと思います。

のんびりと流れる子どもとの時間を楽しむくらしかたや自然にこどもを産むことや育てること、 からだの声や自然の声をきくことのすばらしさ、人と繋がることの豊かさなどを、 たくさんの皆さんと共有し、形にできたらと思います。

2005年 春
くらすこと 藤田ゆみ

“くらすこと”の活動テーマ

あたりまえの思いと、「こどもと一緒のスローな暮らし」
「毎日のごはんの大切さ、からだの声や自然の声をきくこと、 自然にこどもを産むことや育てることの素晴らしさ。 そんな気持ちや暮らし方を、多くの人たちと分かち合いたい」そんな思いから始めた、くらすことの活動。 自然に逆らわないシンプルな暮らし方を大事にしつつも、まず大切なのは、 体にも心にも無理なく、心地いい日々を過ごせているかどうか。 頭でっかちになって、その方法自体にこだわるのではないのだと思います。 そしてやはり一番伝えたいのは、 「身近なひと、家族の大切さ、子どもと一緒に暮らす時間の素晴らしさや尊さ、 そして思いやりをもって人と繋がっていくことの大事さ」 そんなあたりまえの思いなのです。

女性として、どんな風に暮らし、生きていくのか
自然界のリズムと自分の身体のリズムとがうまく寄り添うようになると、生き物としての本来の自分を手に入れられるような気がします。些細なことで悩んだり迷ったりせず、ただ、おおらかでニュートラルな気持ちで、穏やかな毎日を過ごせるようになるのではないでしょうか。そこに当たり前にいる鳥たちのように、木々のように。まるで、大きな大きな流れに身をまかせるかのように。

月の満ち欠けと女性の身体は同調するとはよくいわれることですが、いのちを育む女性には本来、宇宙につながるその能力が強く備わっているはずです。
女性として、どう暮らし、どう生きていくのか。私の女性の力を思いだすために、快適になるために、できること。毎日のごはん、子どもと過ごす時間、人とのつながり。心のこと、身体のこと、地球のこと。日々の暮らしに役立ち、これからを歩く道しるべとなる事柄をたくさんの方と共有し、提案していきたいと思います。

人と人が手を繋ぐ方法
様々な人たちが生きていく、人と人との共生を考えたとき、一人一人が主体となって自分の足で立ちながらも、みんなが輪になって生きていくのに、それぞれが生き甲斐 をもって人生を楽しみながら、その手のつなぎ方をいかに自然に、たのしくできるのか。思いを伝えるだけではなく、具体的な方法を実践していきます。

一人で子育てしない、お母さんをあたたかく迎えいれる場所
はじめての子育て。赤ちゃんに慣れていないまま母になり、親も遠く、旦那さんは仕事で帰りが遅い。そんな風に赤ちゃんと二人きりで子育てをスタートするお母さんが 都会には多くいます。今までは、自分ががんばれば乗り越えてこられたことが、子育てはそうはいかない。寝てくれない、泣き止まない、はじめての細切れの睡眠に休みなしの毎日。子どもはかわいいけれど、赤ちゃんのいる暮らしや母となった自分に慣れるのに、時間がかかることも当然あると思います。そんな右往左往する新米おかあさんを、大変だっね、がんばってるねと、あたたかく迎えいれる場をつくりたいと考えます。

“くらすこと”の活動内容

ワークショップ
料理、暮らし、からだのこと、生き方、子育てと自分育て。日々の暮らしに役に立つこと。歩いていく道しるべとなるような事がらなど、アトリエをベースに行っています。
教室

ごはんとおやつ、雑貨の店
ごはんとおやつは、子どもから大人まで、誰もが安心して食べられるおいしいものを。雑貨は、日々の暮らしのなかで気持ちよくずっと使いつづけられるもの を。ご家族やお仲間、ご近所のお年寄りまで、みなさんが気軽に寄ってもらえる場所として、おなかとこころが満たされるような店を目指しています。

雑貨販売
店/オンラインストア
お気に入りのものたちがひとつ増えることで、日々の暮らしが少し豊かになる幸せ。 そんな使い続け暮らしに根付くことで、生活にふくよかな豊かさを与えてくれる雑貨を、暮らしを担うものの視点でセレクトしています。
オンラインストア

出版
子どもと一緒にスローに暮らす おかあさんの本 /藤田ゆみ(アノニマ・スタジオ刊/2012年8月刊)
“くらすこと”の本(2007年11月刊)