ものをつくる、表現する、あの人に聞いてみました。

あの人のものさし
from ギャラリーグレープフルーツジュース

こころとからだ、食べるもの。
自然とともにあること、宇宙の一部であること。
「わたし自身のものさし」を見つける “くらすこと”

2005年から、そんなテーマのもと活動を続けて18年目を迎えるくらすこと。2023年6月にスタートした「ギャラリー グレープフルーツジュース」では、古今東西で時間をかけて作りあげられたアートや器、洋服などの展示と、生活や生きる上でのヒントになるようなワークショップを企画しています。

ギャラリーを通して出会う、ものを作ったり、表現したり、さまざまな活動をされているみなさんにお尋ねした、大切にされているものや言葉、迷ったときはどうする?など、そのものさしが垣間見えるようなQ&Aのコーナーです。

第11回  岡本果倫 さん


photo by shinichiro oroku

岡本果倫さん
ペインター・イラストレーター。1983年生まれ。多摩美術大学絵画学科版画科卒。近年は水彩画を切り抜き、壁に自由に配置した物語性のあるインスタレーションや、それにまつわるオブジェクトを制作し展覧会にて発表している。その他、クライアントワークとしてパッケージ、ロゴ、挿絵などのイラストを手がけるほか、アルミのオーナメントの制作や、子どもたちや大人に向けたワークショップを不定期に開催。
instagram

▷展示情報 
岡本果倫 個展
“Moist light, Sleeping cat”

2023年9月16日- 23日開催
at ギャラリーグレープフルーツジュース

Q 1

お気に入りの道具や愛用品を教えてください。

・「おかあさん」と「おとうさん」

食器棚の壁に貼り付けている「おかあさん」と「おとうさん」です。(食器を積みすぎているのは置いておいて)コースターのような丸くひらぺったい形とサイズで、陶器でできていて、つるんとしていて、女性と男性の顔が描かれています。昔、大好きな鎌倉のDahliaというお店で購入したのですが、毎日欠かさず使う食器たちの奥からにこやかに朗らかな変な顔でこちらを見ていてくれるので安心します。近ごろ、お父さんだけ落下するので大丈夫〜?とよく救出しています。

・手作りのヨモギバーム

そしてもうひとつ。自分でヨモギを摘んできてオイルで煮出して蜜蝋と合わせて作ったヨモギバーム。我が家では欠かせない魔法のようなバーム。火傷に傷に、虫刺されや肌荒れによく効きますし、筋肉痛にも。髪につけたり肌につけたり、うちには9歳と4歳の子がいるのですがとにかく家族全員しょっちゅうお世話になっている、ありがたい自然の恵みです。

Q 2

「この本はずっと本棚に置いておきたい」と思う
お気に入りの本を教えてください。

A. 『わたしとあそんで』(マリー・ホール・エッツ 文・絵/与田 凖一 訳 福音館書店)

たくさんありますが、いつでも手にとるとホッとする絵本があって、それは、マリー・ホール・エッツの『わたしとあそんで』という絵本です。主人公の女の子が、晴れた気持ちの良い日に原っぱへ出かけると、いろいろな生き物に遭遇して、出会う度に遊びにお誘いするのですが、ことごとく断られて(正確には、逃げられて)しまいます。仕方なく池のほとりで静かに座っていると、先ほどの生き物たちがすこしずつ集まって来て、じっと静かにしていたら、、さっきはいなかったご褒美みたいな可愛い赤ちゃん鹿までやって来て、頬をペロリとなめてくれて、とってもうれしい幸せな気持ちで終わります。小さな頃から家にあった絵本で、クリーム色のベースに、シンプルに鉛筆のようなかすれた線でさらさらと描かれた絵が大好きで、なんだか見てると安心します。もはや、ページをめくらずとも、手にとらなくても、そこにあるだけでホッとするというわたしにとって特別な本かもしれません。

Q 3

迷ったときや選択をしなければならないとき、
どのようにして決めていますか?

わたしはすごくいろいろなことに迷うのですが、決断を迫られた時は、夜に考えだすと大抵まちがえるので、天気の良い、晴れた気持ちの良い朝に直感的に決めるとよいぞ、と何年か前に気づきました。

Q 4

日々をご機嫌で過ごすために
心がけていることを教えてください。

家では大好きな音楽を流して、時におどって、友達とお酒を飲んだり甘いものを食べにサクッと近所のカフェに行ったり。近所のカフェって、ありがたい場所です。近所の友達が気まぐれに集っておしゃべりできる場所があるって、最高です。寝れる時は好きなだけ寝る、昼間は日に当たるとげんきがでます。時間に縛られるのが苦手なので、時間を気にしない日を確保する。日々好きなものを作り出すこと。あとは、朝床を掃除する。足の裏がすこし敏感なので、そうすると1日何となくハッピーです。