
脳内ってすごい言葉が出てきているんですが、嫌なこと、苦手なことは脳内ではありません。断言しちゃいましたね。
なぜなら今日、昼間も観察の会をやったんですけれど、カメムシっていう虫がいて、みなさん苦手でしょう? 好きなひとはあんまりいないと思うんですけど、なんで苦手かっていうと強い匂いがある。でも、それによってカメムシは今まで生き延びてきてるんです。「生理的に苦手」っていう反応をちゃんとひとの体が持ってるからですね。だからカメムシ同士は苦手にならない。いい匂いなんですから。
だからこの部分で言うと、嫌なこと、苦手なことは自分をわかるきっかけになると思ってください。
ほんとに生理的なことなので。これは“脳内”ではなく、“反応”です。こどもの時にそういう反応がある場合もあるし、わたしの場合は小さい時に嫌なものへの反応が激しかった。過剰とまではいきませんけど、苦手なものを大きく捉える感覚がありました。ところがちっちゃい頃はそれを親には言えない。もしくは言ってもやめてくれない。
本当に服ひとつでもね、苦痛なことがありました。「これを着なさい」って言われるだけでも落ち込む。でも感覚は主体的なことだから伝わらない。「自分でなんとかしていかなきゃいけないな」っていうふうになっていきますから、脳内よりは、嫌なこと、苦手なことは後回しにしてあたりまえと思っていただいて。
その上で、「嫌だな」っていうのが頭に残るということなので、これは忘れる稽古をするしかないんですね。わたしもそういう感覚があるので、なかなか難しいところもあるとは思いますけれども、そこらへんを覚えていく。
そのためにはどうすればいいかですけど、違うことをたくさん覚えていくことです。嫌なことは放っておいて後回しにして、同時に自分のやりたいこと、楽しいことの経験を増やすと嫌なことを忘れるから。
もちろん、たまに思い出しますよ。でも楽しいことが増えれば、忘れる回数が増えていくっていう経験があるおかげで、みなさん大人になれてるから。これはちょっとやってもらうと、直感についての話と一緒で、経験でだいぶなんとかなります。
と、もういっこありましたね。すぐに行動できるようになるためのアドバイス。これはすぐに行動できるのではなくて、行動してしまうことが大事です。普段の生活の中でもみなさん、いろんな動作をやってると思うんだけど、ちょっと思い浮かべてーー毎日やってること、そして好んでやってる習慣があると思います。それはどうしてやっているのか。
習慣?あんまりない。わからないですね。食べたりとか、そういうこと以外ですよね。
今言った中にありましたね(笑)。
食べたり寝たり、歩いたりとか。
そうですね。気がついたらやってしまってるってことです。それは好ましいから習慣になってるってことですね。嫌なら続かないですよね。(別のひとに)ありますか?習慣。
ぼーっとするとか。「別のところに行ってて、なんかわからない」ー―みたいなのが習慣になってます。
そうですね。それはやっちゃいけないことじゃなくて、ぼーっとしてるから今がある。そしてそれが好ましいからやっていて、習慣になりつつあって、今を支えてるっていうのが大事なことですから。ここは「すぐに」をやめることですね。
もうやっちゃってることは「すぐに」じゃなくて、ただそうしていればいいっていうことです。みなさん、なんでも「すぐやろう」とか「もっとやろう」ってところに負荷をかけたがりますけど、もうすでにやってる中に大事な習慣があったら、それを「楽しいから続けてるのかな」って。
そこはご自身の生活習慣を見ていて、やってしまってることの中に自分の心地よさがある場合があるので、それでいいかなと。
例があった方がいいかな。わたしのことでいいですか?わたしの習慣は、どんなに疲れてても、朝、お湯を入れてやかんでお湯を沸かしてしまうっていう。
(笑)
笑われたー(笑)。やかんが好きなんですね、こどもの時から。お湯を沸かすっていう、それが楽しいんですね。お湯が沸いてシューって湯気が出るのを見るのがたのしかったり、音を聞くのが楽しい。だから、どんなに疲れてても朝起きたら「あぁ〜」って思いながら、お水を入れて、カチャッて蓋をして。ただぼーっとしてるとですね。「あ、沸かしてた」ってなります(笑)。
洗濯機のお水が流れる音とか、みなさんの中にもあるはずです。そういうサイズの話をしてます。たいそうな習慣のことは言ってません。毎日、自分を整えて、自分を「あぁ、また自分だ」って安心させてくれる。そういうものが習慣ですから。みなさんにもきっとあると思うので、見つけていただくといいかと思います。
