
整体の中での手当てというのは、自分で行なって、自分であたためる方法です。できるだけ行なえることは自分で考えてやることです。手当てに関しても、手があればまずご自分に当てていただいて、その結果を体でしっかり受け止めるっていうことですね。今、この人数なので、座りながら簡単に行なえることをちょっとお伝えしたいと思います。
まずは手をゆるめてあげるっていうことから、自分の観察をしていきましょう。右利きのひとは右手。特に手首を触ってみてください。それでちょっと前後に動かしたり……もしここで、かたかた音がするぐらいならいいんですけど、動かして「ちょっと硬いな」と感じるひと、あと握るのも大変だなっていうひといますか?大丈夫かな。
右の手首が硬くなると、ひとの話が聞こえなくなってきます。特に親指が曲がらない、人差し指が硬い、そうやって強張ってくると、ひとの話が聞けなくなっちゃう。ですので、右の手首が柔らかくなっているかはよく気にしてください。そしたら、手をぶらぶら振ってください。できるだけ水滴がついた手を振るみたいに、振って振って、ぐるぐるまわす。
とにかくあたためる方法の中に、振るっていう動作があって、力を入れることよりも抜く動作の方が容易にできるようになってるんです。
(みなさん手を振る)
振りましたね。じゃあ、今度は左です。左の場合も、左利きの方はさっきみたいに振っていただければいいんですけど、ちょっと手首を触ってみたり、あとは指を引っ張っていただいて。特に指と指のあいだの水かきの部分がとても大事ですから、ここをよくほぐしてください。痛いよねー(笑)。
これならどこでもできると思います。オフィスでやっても「なんだろう、あのひと」と思われないですから。水かきを広げて、よく揉んであげるだけでも、頭の疲労、腕の疲労が抜けてきて、一回やると、さっき話したお湯を沸かす習慣みたいになって、「あ、やってた!」っていうことが起きてきます。気がついたらやってますから、やりたくなってきたらやってあげてください。ここまでが準備です。
その状態で初めて体に触れてみます。頑張っちゃわない手になりましたので、これでどこに手を当てるかですけれども、今、みなさんがいちばん疲れているのはお目めなので。実感もしやすいですから、それをやってみましょう。
両手をカップのように丸くして……手のひらにふわふわのマシュマロがのってると思って、そのままお目めに当ててみましょう。空をみあげる感じで、手のなかでマシュマロが溶けてくところを想像してみると、呼吸がゆっくりになっていきます。ここで大事なのは、お外の音を聞くこと。目は開いてても閉じてても平気です。やってる間に首に負担があれば、自分で楽なところを見つけてください。
(みなさんやってみる)
こうやって少しずつですけれども、目に手を当てておく熱だけでも十分、目は「今、保護してくれてるんだな」っていうふうになります。そうすると、お耳の方に意識がいくようになります。目を休めると、耳が働くように体はできているので、できるだけお外の音を聞いている状態で過ごす。
そしてもうひとつ行なえるのが呼吸です。吸った息を、お手手から吐くつもりになって目に置いてみてください。ふーっと吐いていく。手から入った息がお目目の中にしっかり入るぐらいまで感じたら手を離してください。
そうすると、ちょっと気持ちが落ち着いてきます。まずは準備で手をゆるめること、そのあとにどこでもいいので体に触れてあげて、ちょっと待ってから呼吸を合わせてみる。その次に、手がそうやりたくなったら、やってください。これがいちばん最初に行なえる簡単な手当てです。
どうですか?見方が変わりましたか?
