フルーツ・ジャーナル vol. 4(後編) 2021SS by fruits of life
冷たい空気に白梅の香りが混じるとき、
自転車に乗って、風がクルクル頬を撫でて吹き抜けていくとき、
春はもう、すぐそこ。
肌寒さの残る初春から酷暑の夏まで、
心地よく、美しさを感じられる毎日にするために。
fruits of lifeの2021春夏シーズンから、着こなしのヒントとエッセンスを
デザイナーの大橋利枝子さんに聞きました。
前編では、意外に振れ幅の大きい春から夏のお天気に対応する重ね着の方法、
そして、オリジナルのベルトをはじめ、小物を使って、
コーディネートの幅を広げる方法についてお話しを伺いました。
〜 Contents 3 〜
買い足す楽しみ。
〜クローゼットに新しい風。コーディネートに今の気分。
買い足すなら? ⇨ 新コンビネゾン
または オリジナルプリントのドットローブ
買い足すなら? ⇨ネイビーのトップスとドットパンツ
または コーデュロイコート
買い足すなら? ⇨ジャケット または
オールインワン
〜 Column 1 〜
〜 Column 2 〜
写真 米谷享
文 松本あかね
〜 Contents 3 〜
買い足す楽しみ。
〜クローゼットに新しい風。コーディネートに今の気分。
大橋さんのもとには、時々こんな声が届きます。
「○○○を持っていて、今度△△△を買いたいと思っているのですが、
この二つは合いますか?」
そういうとき、さっそくアトリエにあるボディに実際に着せてみる。
そして「合うと思いますよ」というメッセージと共に写真を送るのだとか。
こんなふうに、手持ちの“これ”と今年の“あれ”の
コーディネートがしっくり決まるのも、fruits of lifeの魅力の一つ。
クローゼットの扉を開けて、
買い足したいアイテムを想像してみてください。
“過去”と“今”の組み合わせは、
より自由で、より自分らしいコーディネートの秘訣かもしれません。
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買い足すなら? ⇨ 新コンビネゾン
または オリジナルプリントのドットローブット
人気のコンビネゾン。
こちらも人気のドットローブと合わせて、
レイヤースタイルにアレンジ。
① 今年のコンビネゾンは肩幅が少し狭く。共布のリボンで裾を短めにブラウジング。
② ドットローブを羽織るとぐっとこなれて。ロング丈同士なのもポイント。
③ コンビネゾンのリボンをローブの上から結んでみる。
④ ローブのフロントは重ねずに。ドレープが美しいレイヤースタイル。
コンビネゾンの着方を広げる。
—— FLW時代から地方のショップに出張したり、対面で接客する機会を大切にされていましたね。この一年はそんな機会も持てなかったわけですが、メールでのやりとりなどで、変わらずお客様とのコミュニケーションが細やかなのに驚きました。
大橋さん fruits of lifeのオンラインショップなら以前購入されたアイテムがわかるので、「前回、買ってくださったあれと合わせてみてください」とメッセージを添えてお送りすることも。すると、「あ、それとそれ、合うんですね」とお返事をいただいたりして。意外と皆さん、前のシーズンのものと合わせるという発想にはならないみたい。
—— 一着一着を長く着られることもそうなのですが、大橋さんが言うように、買い足したアイテムと合わせてみたら、これまでの服も新しい着方ができたり、「今の気分」に合わせることができますね。
大橋さん 作っている人の趣味が変わらないし(笑)、流行のデザインというわけではないから、基本的にいつのものを合わせても、コーディネートはしやすいと思うんです。
—— このコンビネゾンもドットローブも大人気ですね。今やfruits of lifeの定番アイテムと言ってよさそう。
大橋さん コンビネゾンは肩のデザインをブラッシュアップして、ドットはオリジナルプリントになりました。昨年コンビネゾンを買ってくださった方は、今年のオリジナルプリントのドットローブを合わせてみることも。
—— どちらもいけるんですね! ドットローブと組み合わせると、コンビネゾンの着こなしの幅が広がることが発見できました。
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買い足すなら? ⇨ネイビーのトップスとドットパンツ
または コーデュロイコート
明るいトーンのコートを
シックに着こなすには?
① シルクのプルオーバーにドットプリントのパンツを合わせて。
② ちょっと肌寒いな、というとき、鳥の子色のコートを羽織ると……
③ ネイビーとライトベージュの相性よし!「私の好きな組み合わせ」と大橋さん。
④ 足元は新色グレージュのミュールで、軽やかにまとめて。
コーデュロイコート 鳥の子色(ライトベージュ)
シルクドルマンスリーブシャツ ネイビー
ドットワイドパンツ 水玉
ミュール グレージュ
ネイビー×ベージュが好き。
—— コートの鳥の子色、オリジナルのネイビーとドットプリント。この3つのアイテムは、どれも大橋さんこだわりの色ですね。鳥の子というのは卵のことで、つまり卵の殻の色。明るい、黄色に近いベージュといったらいいでしょうか。
大橋さん そう、ありそうで、あまりないベージュ。もし、どんな色と合わせたらいいかわからなかったら、暗めの色と合わせると、しっくりくると思います。
—— このコーディネートでいうと、中に着たネイビーで締めているわけですね。春のコートは薄い色が多いから、参考になります。
大橋さん ネイビーとベージュの組み合わせが好きなんです。コートはごく細めのコーデュロイで、色もそうだけれど軽やかさがあっていいなと思っています。
—— ミュールは、新色のグレージュですね! 前回の「小物の使いこなし」(http:// )にもありましたが、「ダークトーンのボトムスに合わせると足元が明るくなる」って、まさにこんな感じですね。
大橋さん グレージュはグレーとベージュを合わせた色なので、コートの色とも自然に馴染んで、春らしいコーディネートになりました。
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買い足すなら? ⇨ジャケット
または オールインワン
「らくちん」だけで終わってはもったいない。
オールインワンをおしゃれに着るコツ。
① オールインワンでお出かけしたいときは……
② ジャケットを羽織るのがおすすめ。
③ ワークスタイルの新作ジャケットです。
④ 中には同じスタンドカラーのブラウスを合わせて。
⑤ 上質なスピーマコットン製。まるでシャツワンピースのような軽い着心地。
⑥ きちんと見せるには、革靴をチョイスするのが正解。
「オールインワンで外出できるか問題」
—— 昨年秋まで3シーズン連続で作ったオールインワン、ご愛用くださっている方も多いのでは?
大橋さん よく「外にも着て行きたいのですが」というご相談があって。
—— ラクだし、かわいいからそのまま外へ行きたくなる気持ち、わかる気がします。
大橋さん とはいえ、そのままだと作業着感があるので、何か上に一枚着るといいですよ、というお話は以前にもしたと思うのですが。
—— ちょうど一年前のフルーツ・ジャーナルでも、ニットやワークジャケットと合わせたコーディネートを見せていただきました。改めて見てもかわいかった!
大橋さん 今回、初めてジャケットを作ったので、これと合わせてもらえたらいいかなと。ジャケットといっても、かっちりはしていなくて、ワークジャケットをイメージしたものなので、相性がいいと思います。
—— オールインワンの中は、コットンシルクのブラウスを着ているんですね。ワークウェアとのギャップがいいな。皆さん、オールインワンの下には何を着ているんでしょうね?
大橋さん Tシャツやシャツが多いと思うのだけど。スカーフやストールを巻くのも、おしゃれな感じになると思う。ワークマン、っていう感じにならない。
—— 確かに。ちょっとしたアクセントをつけていくのが、かわいさのコツですね。革靴を合わせるのもポイントですか?
大橋さん そうなんです。外へ着て行くなら、絶対革靴がおすすめ。作業するならスニーカーだけど。
—— そこはかなり重要なポイントですね。ワークマンにならないために、皆さん、参考にしてくださいね。
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〜 Colum 1 〜
オリジナル生地のお話。
今回、fruits of lifeに初めてオリジナルの生地が登場しました。
素材はシルクとコットンシルク、カラーはネイビーと水玉のプリント。
シグニチャーともいえるネイビー、そして水玉に対する大橋さんのこだわりはどこに?
シックな水玉
生地選び、デザイン、縫製工場とのやりとりから販売まで、大橋さんの一日は忙しい。fruits of lifeが始まって今年で3年目。毎日が新しい挑戦だったようです。
「最初は手探り状態だったなと思います。でも今はいつも楽しみに待ってくださるお客様がいらっしゃって、それが自信にもなっています。私がいいと思ったものを、同じように感じてくださる方がいるんだということが嬉しくて。『こういう服が美しいんじゃないかな』『こういう服を着たら美しく見えるんじゃないかな』と思いながら作っているので、それをわかっていただけることが本当に嬉しい」
そうした「美しさ」を追求した結果、たくさんの人の心を射止めたのが水玉シリーズ。そのオリジナルプリントが登場したとあっては、気にならずにはいられません。
「水玉の大きさや間隔は同じですし、紺色に白い水玉というのも変わっていないのですが、爽やかすぎず、シックな水玉になるように工夫しました」
コットンシルクの生地を濃紺に染めた上から小さなドットをプリント。よく見ると少しだけグレーが混じったようなニュアンスのあるドットです。軽い、上質なコットンシルクの生地の上で、小さな水玉が弾けている。どんな世代の女性も着てみたくなる、シックでかわいい水玉プリントが出来上がりました。
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私の紺色
fruits of lifeのベースカラーといえば、なんといってもネイビー。これまでにも大橋さんが「紺色が好きだから」と言うのを幾度となく耳にしてきました。だからこそ、オリジナルのネイビーができたと聞いて、ワクワクしたのです。
「ひと言で言うと、ブルーを感じさせるネイビーです」
日本の色で言うなら「鉄紺色」が近いかな、とも。
「ネイビーにはいろいろなネイビーがあります。例えば、ヨーロッパ、特にアメリカのネイビーは明るい。テレビや映画でダークスーツ姿の人を見ても、もともとの生地の色が明るいことがわかります。一方で黒に近いようなダークネイビーも。オリジナルのネイビーをと考えたとき、明るすぎず、暗すぎない、青さを残したネイビーに行き着きました」
サンプルで確認しつつも、仕上がりを見るまではドキドキしたそう。ご縁があって石川県小松のシルク専門の生地店と出会い、染めは京都の染物屋さんが担当。
そうしたプロセスを経て、思い描いた通りのfruits of lifeのネイビーが染め上がりました。
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〜 Colum 2 〜
最近のお気に入り。
『日々是薬膳』の薬膳茶
アトリエにお邪魔すると、いつも香りのよいお茶を淹れてくれる大橋さん。
「最近気に入っているお茶はありますか?」
と聞いてみたところ、「これこれ!」と教えてくれたのがこちら。
「滅脂」というパワフルなネーミングに思わず目が釘づけ。薬膳料理家栫英子さんが監修する薬膳茶のシリーズの一つで、他にも「巡気」「排毒」など気になるラインナップが勢ぞろい。
「漢方もハーブティーも、味が苦手だと続かないんだけれど、ここのはどれもおいしいの」
「滅脂」はプーアール茶をベースに山査子のほのかな甘み。消化を促すほか、代謝をあげて脂肪を燃やしてくれる効能が。スッとした余韻で飲みやすく、体のためもさることながら、普段の気分転換やティータイムにそのまま取り入れられそう。
心も体も揺れやすい春だから、ほっとしたいひとときのためにぜひお試しあれ。