fruits of lifeは「生活の実り」という意味。
私自身のパーソナルなエッセンスと今の気分を調合して、
衣服と暮らし周りのものを提案していくブランドです。

たくさんのものはつくりません。
心から大切に思えるものを、少しだけ。

fruits of lifeがこれからお届けしていくものが
みなさまの生活に、たわわな実りをもたらしますように。

text by Rieko Ohashi

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気分の変わる１枚

人は衣服によって、見た目が変わり、その日の気分も変わります。
それによって、心が落ち着いたり、自信を持てたり、笑顔になったり……

text by Rieko Ohashi

今クローゼットにある服は、どんな顔をしていますか。
もし、恥ずかしそうだったり、ためらいがちだったりしていたら、
今の気分とぴったりくる、素敵な相棒と出会えていないせいなのかも。

肌に馴染んだカットソーの上にさらりと羽織ったり、
シルエットのきれいなボトムと合わせたり。ほら、
お馴染みの服たちが新しい顔に。そして、
新しく来たこのひとは、クローゼットにずっといたみたいな顔をしている。

ローブ：fruits of life ウールローブ ネイビー／ウール100%

いつものボーダーの上に羽織ると、自然と物腰が柔らかくなるみたい。家で一人でいるときも、ラフすぎる格好はちょっと、と思うようになった。袖口のベルベットリボンがひそかなアクセント。

ローブ：fruits of life ウールローブ ネイビー／ウール100%

フロントで閉じてベルトでウエストマークすると、同じローブが大人顔に。柔らかなウール生地「ソフトビエラ」は美しいドレープを描く。中にはシンプルなワンピースを着て。

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ドビーツイードという毛織生地を使った、ボタンレスのジャケット。
小物をプラスした幾通りものアレンジを見せてもらいました。

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トップス：fruits of life ボタンブラウス ホワイト／コットン100%

ドリップが始まったら、空気が凛とした。上質なコットンを使ったロールカラーのシャツを着て、クラシカルな珈琲店のマスターみたい。袖をまくったり、襟のくるみボタンを外しても表情が生まれる。

スカート：fruits of life タックスカート ネイビー／ウール100%

ティーンエイジャーの頃、お世話になったプリーツスカート。今はくならタックスカート。幅広のタックにさりげなくエッジを感じる。トップスはコンパクトに、落ち感の美しいスカートを際立たせて。

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トップス：fruits of life ボタンブラウス ホワイト／コットン100%

ボタンブラウスにワイドパンツを合わせて。カジュアルすぎない、ちょっとそこまでのお買い物スタイル。

コート：fruits of life アンゴラコート キャメル／アンゴラ60%、ウール40%

軽くて包まれるようなコート。心地よい贅沢さ。ラフに羽織ってヒールのあるシューズを合わせる。マニッシュな気分をまとって。

トップス：fruits of life ウールプルオーバー／ウール100%
スカート：fruits of life タックスカート ネイビー／ウール100%

同じソフトビエラの生地を使ったトップスとスカートを、ワンピース風のセットアップに。
スカートのベルトはフロントで一回だけ結ぶ。

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『dosa』のチャイナブラウスとフランスの『ワークマン』みたいなお店で買った農作業用の上着。「農家のおじいさんも同じものを着ていました」

変わらず好きなもの。

ブランドを始めるにあたって「自分の本質は何だろう」と改めて考えました。
自分の好きなものは？　と突き詰めていったとき、20代の頃から好きなものはそんなに変わらないんだということがわかったんです。

たとえば、ボートネック、ネイビー、チャイナカラー、ワークコート。
私はボートネックが好きなんだなって、改めて思いました。セントジェームスのボーダー、あれが刷り込まれているんですね（笑）。だからボートネックのものはずっと作っていくだろうなと。ただそうではあるのだけれど、年齢を重ねて、昔と同じデザインのものを着てもどこかしっくりこないということにも気がついていました。

例えば今、ボーダーやヘインズのTシャツにデニムだけで出かけるのはちょっと躊躇しますよね。それなら上にロングカーディガンを羽織ったり、何か雰囲気をプラスしてくれるものがあった方がいいし、アイテム自体も素材、ディテール、パターンを工夫して、今の年齢や時代にフィットする、素敵に着られるデザインでなくてはと。

チャイナカラーの服もずっと好きだったもの。この頃、東洋の女性は美しいと思うようになりました。以前は西洋に憧れがありましたが、今は映画を観ていても中国の女優さんの黒髪やしっとりした肌に目が留まる。だからどんな服を作るかというとき、それを着る人物像としてアジアの女性が浮かびました。そういう理想の女性像を思い浮かべてデザインしているというのは、ありますね。

鏡を見たとき「あ、今日の私、素敵に見える」と思ってもらえるような服を作りたいと思っています。全身で揃えるというより、いつもの服に一枚プラスして、その人自身のセンスで組み合わせてもらったとき、こういう着方もあるんだ、と新鮮に感じてもらえるような。

友人でいつもオーバーオールを着ている人がいるのですが、彼女も着こなしていたので我ながらびっくり（笑）。自分のスタイルの中で着こなしてもらえるのがいいと思うし、そうやっていつものコーディネートが広がったり、1日を過ごす気分がちょっとでも変わったら嬉しいなと思うんです。

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大橋利枝子
スタイリスト。『fruits of life』デザイナー。雑誌『オリーブ』で活躍ののち、スタイリストとして多方面で活動。2012年『FLW』デザイナーに就任。2018年秋より自らのブランド『fruits of life』をスタート。
http://www.fruitsoflife.jp

写真　米谷享
文　松本あかね