フルーツ・ジャーナル vol.3 2020AW by fruits of life
ステイホームの期間が長かったせいか、はたまたリモートワークで家にいる時間が増えたせいか、「なんだか季節の変化があいまい」……
そんな呟きが聞こえてきそうなこの秋、『fruits of life』の秋冬のテーマは「触感」。
ベロアのしっとり、カシミアウールのふんわり。
冷たく乾いた季節に、五感に直接訴える素材を取り上げました。
やわらかなニットに包まれると、それだけでほっとした気分になりませんか?
いろんな心配ごともほどけていくよう。
もうすぐ木の葉が落ちて、やがて温もりが何よりのご馳走になる季節が始まる。
時は確かに進んでいるから、私たちも少しずつ前進していけるように。
そんな毎日に寄り添う気持ちを込めて、フルーツ・ジャーナルvol.3をお届けします。
Contents1
今の気分に素直に、フリースタイリング!
いろいろな縛りは脇に置いて、ただ、今季のアイテムを「自由にスタイリングしてみてください」とお願いしました。
外の世界の流行とはまた少し違った、大橋さんの見ている“今”がうかがえるかもしれません。
フリースタイリング! A
〜 異素材ミックスでおしゃれ感
「同素材同士だとのっぺりしがちなコーディネートも、異素材を重ねると立体感が出ます。私の場合、プライベートでも同系色を合わせることが多いのですが、異素材を組み合わせると、色の深みが増す感じが。ここではベロア、ウール、シルクをミックス。ぱっと見たときのこなれ感に差が出る秘訣です」
fruits of life ベロアテーパードパンツ ブラック
fruits of life ニットベスト ネイビー
fruits of life シルクプルオーバー ネイビー
フリースタイリング! B
〜ダークパープルで艶っぽく
「パープルとネイビーの組み合わせをやってみたくて。fruits of life の定番カラーはネイビーだけど、ネイビーはやっぱり、真面目。パープルが入ると艶っぽさが出て、明るくなる。お互いが引き立ち合う感じかな」
fruits of life シルクプルオーバー ダークパープル
fruits of life タックスカート ネイビー
フリースタイリング! C
〜オキーフ・シリーズを重ねてみたら
「ドット柄とコットンシルクのオキーフローブを、カシュクール風に重ねて、ワンピースみたいに着ています。パターンが同じだけにしっくり。インナーに来たローブの薄いグレーがアクセントになって、水玉もより引き立って見えます」
fruits of lifeドットオキーフローブ
fruits of life オキーフローブ 小町鼠(ライトグレー)
fruits of life ベルト
Contents 2
大橋さんが作った初めてのニット。カラーは3色。
fruits of life ニットベスト エクリュ
fruits of life ボウタイブラウス 白鼠(ライトグレー)
fruits of life タックスカート 月白(ライトグレー)
fruits of life ニットベスト チャコールグレー
fruits of life ベロアテーパードパンツ ブラック
fruits of life コットンプルオーバー 白すみれ
fruits of life ニットベスト ネイビー
fruits of life アームウォーマー チャコールグレー
fruits of life オールインワン 紺(ネイビー)
—— fruits of lifeの初めてのニットが登場しました。記念すべき第1号。「あったらいいな」が全部実現したみたいな形ですね。
大橋さん もともとは、ケープみたいな、マントみたいな、体をすぽっと包むようなニットを作りたくて。肩が包まれていて、腕が脇から出てくるような。試行錯誤してこの形になりました。
—— やっぱり、一発で出てきた形ではなさそうな気がしました。
大橋さん 私もニットを作るのが初めてだったから、カシミアで定評のある小金毛繊さんと相談しながら進めて。
—— テキスタイルを使った服作りとはまた違うのでしょうね。一番、難しかったところは?
大橋さん リブ編みの良さを生かしつつ、ざっくりしすぎず、タイトすぎない、ちょうどよいボリューム感はどのあたりなんだろうというところ。
—— このゆったり具合なら、下になんでも着られそうです。
大橋さん そう、シャツでもワンピースでも、オールインワンでも。
—— 今日の撮影前も、大橋さん、オールインワンでしたよね。
大橋さん 着慣れると本当にラクで。アトリエにいるときは大体これ。2色あるから、ほぼ毎日着ていますね。
—— こんなふうに上からベストを重ねると、作業着っぽさがないですね。
大橋さん もともとシャツ用の薄い生地で作っているから、そのままシャツ感覚でニットと合わせてもらえたら。
—— オールインワンをお持ちの方、ぜひ試してみてくださいね。
Contents 3
人気のコンビネゾン、どう着てみる?
fruits of life コンビネゾン(ベルト付)
※ベルトなしで着用。
fruits of life コンビネゾン(ベルト付)
fruits of life ノーカラージャケット 墨色(ブラック)
—— コンビネゾンも、今回初めてですよね。
大橋さん そうなんです。flw時代からずっと作りたかったの。
—— すとーんとストレートな形なんですね。
大橋さん 一見そう見えるかも。でもシルエットにはこだわっています。大柄な人も小柄な人も、誰が着てもすっきりするように、ゆったりしているけれど、ダボッと見えないように工夫しました。
—— 大きな主張はないからシンプルに見える。でも小さな主張はいっぱい。大橋さんの作る服は、シンプルだけど芯があります。このコンビネゾンはファッション関係の方にも人気ですね。展示会でお見かけしたスタイリストの方が、ベルトなしでさらりと着ていたのも印象的でした。
大橋さん 楽ちんだけど、おしゃれに見えるから便利よと周りにもすすめているの。
—— コーディネートいらずですものね。
大橋さん そう、激しい主張がない分、コーディネートもしやすいんですよ。人に合わせるということができる子なんです。ただ150㎝台の人はお手数ですが、裾上げしてくださいね。私も3㎝から5㎝、裾上げする予定。
—— ジャケットと合わせたコーディネートも。
大橋さん リネンのジャケットも、今は季節に関係なく着てもいいので。これは裏地もついてしっかりしているし。ベルトでたっぷり目にブラウジングして、くるぶしを見せてカジュアルに着てみて。
—— このベルトもこだわりがあると聞きましたよ。
大橋さん 「木馬」のベルベットのリボンで作りました。
—— リボンの世界では有名なところだそうですね。
大橋さん そう、他も見たけれど、どうしても「木馬」のがいいと思って……だから、このベルトは日頃の感謝を込めて、皆さんへ、私からのプレゼント。
—— このコンビネゾンの着こなしに欠かせない、上品なアクセントになっていますね。あ、でもひょっとしてリボン代は??
大橋さん プレスのスタッフには怒られたけど……プレゼントです。ぜひ、着こなしに生かして下さいね。
Contents 4
ローブとワンピース、秋冬の着こなし方
fruits of life ドットオキーフローブ
fruits of life シルクプルオーバー ネイビー
fruits of life タックスカート ネイビー
—— 日頃の感謝を込めてと言えば、水玉シリーズの人気もそうですね。
大橋さん おかげさまでシャツ、スカート、ローブと展開して、今回は春夏で好評だったオキーフローブのパターンで作りました。
—— コットンシルクの生地とは違う、ボリューム感がありますね。きれいなAラインが出ています。
大橋さん サイドにフレアが入っているんです。
—— それできれいに見えるのですね。
大橋さん 薄いから、コートの下に重ね着しても。水玉がちらりと見えると華やぐじゃない?
—— 冬のコートを重く感じるときに、気分が変わっていいですね。ところで、大橋さんがベレー帽をかぶっていると、なんだか嬉しくなってしまいます……。かぶり方のコツ、教えてくださいな。
大橋さん ベレー帽のコツは深くかぶること。よく、ちょっと載っける感じの人を見かけるけれど、それよりは深くかぶった方がいいと思う。
—— こなれて見えるのは、だからですね。覚えておきます!
fruits of life ワンピース ネイビー
fruits of life コットンプルオーバー オフホワイト
fruits of life サイドボタンパンツ 卯の花色(オフホワイト)
fruits of life ワンピース ネイビー
fruits of life ベルト
大橋さん このスタンドカラーのワンピースは、最初から前でも後ろでも着られるようにデザインしました。
—— 前でも、後ろでも。そのスタイル、flwの頃から、時々提案されていましたね!
大橋さん ネックラインとアームホールのパターンを工夫しました。ギャザーがたっぷり入っているので、どんな体型の方も着やすいと思います。
—— とても軽やかな生地なんですね。
大橋さん そうなの! コットンシルクだから。こういうデザインのものは、コットンだとカジュアルになるけれど、コットンシルクは軽やかで、落ち感もあるから、雰囲気が出ます。前で着るときは、ボタンを開けてさっと羽織るのもおすすめ。
—— 袖を折り返したときのカフスの白が効いていますね。白と濃紺の取り合わせが、修道院のシスターみたい。
大橋さん 後ろで着るときは、ベルトできゅっとブラウジングしてください。これは『que』にお願いして作ってもらったオリジナルのベルト。
—— リング式でシンプル。ウエストマークするのにちょうど良さそうですね。
あとがきのようなコラム〜
スタイリスト目線で、アーカイブミックス!
かねてより、「コーディネートを思い浮かべながら、デザインしています」と話していた大橋さん。まさにスタイリスト目線のデザインといえそう。そしてそのコーディネートのお相手はといえば、これまでのシーズンのアイテムももちろん想定内。
メンズスタイリストの草分け、祐真朋樹さんも、自著でこう語ります。
《自分のアーカイブが意外にも最近購入した服と合うということ、しかも全部新しいコレクションで合わせるよりも、もっとオリジナリティがあって奥深い面白さが出るということ》(『祐真朋樹の衣装部屋へようこそ』集英社より)
つまり、自分の衣装部屋を改めて見直したことで、それが分かったのだと言います。
その精神はfruits of lifeの洋服にも通じること。毎日のコーディネートがより充実するヒントになればと、今回、大橋さんにアーカイブをミックスをしたコーディネートをお願いすることにしました。お手持ちのfruits of life のアイテムがあったら、ぜひ参考にしてみて下さい。