どうして本という形にしたかったのか

いよいよ本日校了ということで、本ができてくるまであともう少しになりました。

この本がほんとに形にできそうになった頃から、いつも思い描いている絵がありました。

それは、木陰でお母さんがこの本を読んでくれていて、
こどもたちは目の前の広い芝生で思い思いに遊んでいる。
そしてお母さんが本を読み終えたあとに、そこに広がるこどもたちとの日常は
なんら変わらないのだけど、
小さな子どもたちといる私たちは、かけがえのない愛おしむべき時間のまっただ中に
いるんだということを、一緒に思いだしてくれたらいいな。
そんな気持ちを多くのお母さんと共有できたらいいなという思いで、
書きました。

子どもと共に暮らす中で、大事にしたい思い。

いつだって、心が子どものそばにあること。

自分が人生で大切にしたいと思うことを、ほんとに毎日の人生で大切にした生き方をすること。

親がしてやれることはそう多くはないけれど、子ども自身が自分の力で乗り越えていくのを信じ、
いつだって子どもを100%信じていること。

そんないろいろなことを、私が常にそんな風に思えているから
みなさんにその思いを伝えたいから、皆さんに教えてあげますよ、と思って
本を作りたいと思ったのではなく、
私自身が、そんな風に今を大事にしたいと思いながらも
毎日、毎日の日常生活の中では、そう思えない場面が多いからこそ、
自分のためにも形にしたかったんです。

毎日の家事や洗濯や細々とした家の仕事や、そしてしたい放題!の
子どもたちとの暮らしの中で、そんな慌ただしい日常にのまれてしまって
つい、こどもたちとのかけがえのない今の大事さを
忘れてしまうことや、そう思えない場面がわたしは多々あります。
つい、キーって怒ってしまったり。

だからこそ、自分を一番に含めて、
多くの子どもと暮らすお母さんと、そんな大事にしたいことを
ほんとに大事にできるようにあれたらいいな、そんな気持ちを
一緒におもいだせたらいいなという思いで、
どうしても本という形にしたかったんです。

正直、本の形が見えてきて、
自分の語彙の少なさや文章の下手さに落ち込みました。

けれど、わたしは文章を書くプロではないし、
文のうまさを表現したいから書いているのではなく
多くのお母さんと思いを共有したいからこうして本にさせてもらったんだと思い直し
その気持ちを大事に、まとめてきました。

だから多くのお母さんの元へ届いていくのを、
今は、心から願っています。

『子どもと一緒にスローに暮らす おかあさんの本』
アノニマ・スタジオ刊
7月30日発売です。

(2012年7月12日)