日々のごはん作りって、正直、たいへん!
「実際のところ、みんな、何食べているの〜??」
おしゃれじゃなくてもいい。映えなくてもいい。
知りたいのは、着飾っていない、毎日のふつうのごはん。
そこで、くらすことが気になっている方々に、ごはん日記をつけていただくことに。
後日届いた日記には、気になる献立はもちろん、作る人、食べる人の思いや、真似してみたいアイディアがぎゅっと詰まっていたのでした。
今回は、関東から福岡へ移住して2年。畑仕事を手伝いながら、夫と子ども2人と4人で暮らす料理家の和田麻紀子さんの第2回目 冬から春の日記です。
神奈川県生まれ。4歳と8歳の姉妹の母。学生時代、旅先で訪れた国の日常食に興味を持つ。世界のお母さんの味と古くから伝わる保存食をテーマにフードユニットTORiを主宰し、中目黒でカフェとケータリング、社員食堂やレシピ開発など2021年まで東京で活動。2022年、土に近い生活を、と福岡県那珂川市に移住し、無農薬野菜を育てる畑で働く。2024年食の新たな拠点として屋号をaeruとして始動。
文・写真:和田麻紀子
編集:神武春菜
魚をおろしたい気分って
どんな気分?
お昼に近所の公園で行われていた正月飾りの焚き上げ「ほんげんきょう」へ。つきたてのお餅が振るまわれて、焼き芋食べたり、大人はお酒飲んだり、のんびりいい時間。
帰りに買い物へ行くと、「魚をおろしたい気分」という長女。気分屋なので、そんな気分が変わらないうちにイワシをフライにしよう!一緒に魚をさばいたのは数回だけだし、内臓や血にビビったりしそうなものなのに、お手伝いブームの次女もやってきて二人で頭をおろし、内臓を取って洗ってくれた。子どもとすると片付けが面倒だけど、たまにはいい。
イワシのお腹にジャガイモとチーズを混ぜて詰めた。牡蠣が大好きな次女は殻付きの牡蠣をカゴに入れていて、ついでにフライにしようと剥いたら小さくて、フライ向きじゃなかったね。揚げ物を喜ばない夫はセルフで鶏肉とネギを焼いて。
この連載の第一回目の初日も魚のフライだったな。
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遅れてきたお正月
年末年始はインフルエンザになってまったくお正月感がなかった。珍しく早起きできて、お餅使いたいし、思い立ってお雑煮を作る。福岡はあご(トビウオ)だしで丸餅。長女は喜んで食べていたけど、次女はあまり進まなかった。
次女は汁物が苦手なイメージがついてしまっている。お味噌汁パクパク食べるって子になってほしいが、汁物だけ「食べるの手伝ってー」と言ってくる。上の子もそうだったけど今はしっかり食べるから、これからこれからと自分を励ます。どんな食卓であれ、とりあえず味噌汁があればいい。
夜は鯛をオーブン任せで塩焼き。特別な日に食べるものと思っていた鯛がいつも安いので日常的に食べているという贅沢。そういえば朝のお雑煮といい、遅れてきたお正月に。
余っていた餃子の皮にエビとネギとチーズを混ぜたのを包んで揚げる。揚げ物を減らしたいけど、ついつい揚げてしまう。
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姉妹ナポリタン
自分の仕事用のキッチン兼店舗を構えるため福岡市内にある古いアパートを改装中。本当は家の近くで古民家でなんて思っていたけど出会えず、縁あって友達が繋げてくれた場所に。
その図面を引いてくれた建築士の青田くんが八女杉の工場を見に行こうと誘ってくれた。建材の工場に行く機会なんてなかなかないので、木がゴロゴロおいてあるのを見るだけでとても新鮮。丸太が木材に製材されていく行程は驚きにあふれていた。
帰り道にアスパラ農家サカイさんのところへ行ってひょこひょこと出てきたアスパラを見せてもらって、貴重な出たてのアスパラを頂く。
帰ってきて何もしたくない。ダメ元で「食べたいもの作ってよー」と長女に言ってみたら、観ていたドラマに出てきたナポリタンを作るということに。次女も切るのを手伝ってくれた。アスパラは茹でて焼いたら一瞬でなくなった。とにかく甘くて、主役張れる野菜。
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節分は大豆?落花生?
生クリームとイチゴがあるから朝からフルーツサンド。こんな日もたまにはいい。
友達(この連載の編集担当神武さん)が声をかけてくれて住吉神社の節分へ。食べ物投げるってやっちゃいけないことをしている感が小さいころから好きで、大切に思っている行事。終わってから、朝作った恵方巻きを持っておうちへお邪魔する。年末年始会えていなかったので、遅れてきた新年会に。子どもたちは平和に遊び、大人はお酒を飲んで。
九州の南では大豆ではなく殻ごと落花生をまくという。落花生好きだし、そっちの方がまいたあとかき集めて食べるならいいな、と思ったのに、家では結局大豆をまいた。
夜はワタワタと肉味噌でチャーハン。肉屋のコロッケ買って帰ったら「最高!」って食べつくし、私の分はなかった。
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母娘の放課後金継ぎ部
小学校がICT教育に力を入れていて、タブレットを使った授業が主となっている。そのため、今週はノーメディアを意識しようという期間。いつもは帰ってすぐテレビを観ているから暇でしょうがない長女。なので家で金継ぎをしてみた。
金継ぎのワークショップに数回参加して、家でもできるよと教えてもらったけど、欠けたり割れたりした器が溜まっていくばかりだった。でも先日、新しく買ったお皿を落としてヒビが入ってしまい、いよいよ腰を上げて簡易金継ぎキットをポチり。
長女は細かい作業が好き。欠けは取っておくけど、パキッと割れてしまったお皿は処分しようとすると「これ直せるんじゃ」と言ってきて捨てづらい。
最初から最後までやりきった。もちろん昔から伝わる本当の漆を使った金継ぎに憧れながらも、子どもとするなら特に合成うるしを使った金継ぎで十分かな。こういう集中する時間なんて久しぶり。
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思い立って味噌作り
福岡の朝は東京より30分遅く太陽が昇る。寝坊癖を改善しようと多少早寝になったけど、今度は暗くて寒くて布団から出られない。
長女からずっと味噌を作ろうよと言われていた。金継ぎに続き、やっていなかった宿題を片付けるかのように、圧力鍋で大豆を茹でる。
福岡へ越してきて驚いたのが、味噌作りに使う麹が麦麹であることが多く、熟成の期間も短く3ヶ月で食べられると。白味噌ともまた違う甘みがあり、麦の粒々がしっかり残っている。私は祖母が長野にルーツがあり信州のしょっぱい米味噌で育ったこともあり、米味噌と麦味噌を保存容器に半分ずつ入れてお味噌汁などに使っている。
大豆をつぶし終わったら麹と塩を混ぜ、空気を抜くために味噌玉にして容器に投げ入れていくのだが、次女がなぜか遠くに投げてしまって部屋の真ん中に味噌玉がポツリ……。何やかんやあって、私から始めたのになぜかイライラ。やっぱり友達とお休みにワイワイ作るのが楽しい。
最近「ゴールデンカムイ」のアニメを見ているのでお味噌というだけで笑っちゃう。
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