第2回 藤田家(日本・東京/2013年・夏)
文吾さん、奈々子さん、照太呂くん、ミン太、ポチ太
昨年の春まで、代々木八幡でカレー屋を営んでいた奈々子さん。息子・照太呂くんの誕生を機に店をたたみ、いまは家族のために食事をつくる毎日です。照太呂くんのアトピーにはスパイスがあまりよくないということから、カレーが食卓にのぼる回数はだいぶ減り、ふだんの食事は和食が中心になっています。
藤田家の第二の冷蔵庫は、お勝手の床下収納。常備しているたくさんの野菜は、近所のスーパーで購入のほかに、高知から取り寄せています。「キセツノオヤサイ葉屋っていうんですけど、ご夫婦で無農薬、無科学肥料の野菜をつくっていて、すごい応援したい人たち。おいしい野菜で、届くたびに同封されているお手紙も嬉しい」。
塩麹をベースに手づくりした調味料各種。左から、梅酢の塩麹漬け、青唐辛子と生姜の醤油麹、黒酢と梅酢の麹漬け、穂じそとしその醤油麹漬け、ニンニク醤油麹。
冷蔵庫には、旦那さんのお弁当のおかずと息子さんが食べる蒸し野菜が常備されている。写真は塩麹に漬けたシャケ、塩漬けにした蕪の葉、蒸したカボチャ。
それでも、文吾さんと奈々子さんを語るのにカレーはやはり欠かせない存在。カレー屋となるべく修業中の奈々子さんがバイト先の店で出していたカレーに、一般客として来店した文吾さんが一目惚れ(?)したのです。店に通うようになり、奈々子さんと知り合いました。ふたりをつなげた愛のキューピットは、じつは奈々子さんのカレーだったというわけ。
「つきあうようになってからカレーをくれるようになって、辛いカレーは最初は食えなかったけど、そのころひとり暮らししてたからすごい助かっちゃって。それで毎日のように食べてたから、ついには辛いのも平気になってしまいました」と文吾さん。
この日のミン太とポチ太のごはんは、ごはん、かつお節、豆腐、ボイルした鶏肉、昆布と煮干しの出汁で、猫まんま風に。野菜や牛乳、ちくわなど適当にいろいろ加えることも。
梅と白砂糖を発酵させてつくった梅酵素シロップは、豆乳や牛乳で割るととろみが出てラッシーみたいになっておいしい。「白砂糖が分解されてブドウ糖になってるから、身体にもすごくいいらしいですよ」。
毎日の食事によって、嗜好も変われば、体質も変わる。猫のごはんを手づくりに変えたことも、それを証明するエピソードのひとつです。「猫アレルギーってキャットフードの添加物が原因のこともあるという話を聞いたんです。フードを食べた猫が毛繕いして、その唾液がついた毛でアレルギーになるって。人間が食べているのと同じものをエサにすればアレルギーも治るというので、手づくり食に変えたんです」。
驚くなかれ、照太呂くんのアレルギーは改善、猫たちも健康になったそう。
奈々子さんが台所に立つと、照太呂くん、ミン太、ポチ太が集まってくる。
藤田奈々子さんオリジナル にんじんキーマカレー
店で出していたカレーのレパートリーのひとつ。「キーマカレーって好きな人、多いですよね」。
材料(つくりやすい分量/約6人前)
鶏ひき肉 600〜700g
ココナッツミルク缶 400ml
にんじん 2本
玉ねぎ 中2個
プレーンヨーグルト 200ml
ホールトマト 1缶
しょうが、にんにく 各1片
サラダ油 大さじ2
塩 適量
○ホールスパイス
レッドペッパー 2本
シナモン 3片
クローブ 8粒
カルダモン 6粒
ベイリーフ 3枚
マスタードシード 小さじ2
○パウダースパイス
レッドペッパー 小さじ2
ターメリック 小さじ4
コリアンダー 小さじ8
ブラックペッパー 小さじ2
つくりかた
1. サラダ油を大きめのフライパン鍋で熱し、ホールスパイスを炒める。まず弱火でマスタードシードがパチパチ音を立てるまで静かに待つ。音を立てはじめたら、レッドペッパー、カルダモン、クローブ、シナモン、ベイリーフの順に入れ、焦げないようよくかき混ぜながら炒める。
2. 1.に粗みじん切りにした玉ねぎ、塩ひとつまみ、みじん切りのしょうがとにんにくを入れ、強火でよく炒める。
3. 玉ねぎが透き通ってしんなりしたら、みじん切りにしたにんじん(フードプロセッサーを使うと楽)を入れ、さらに炒める。
4. にんじんに火が通ったら、ヨーグルト、ココナッツミルク、ホールトマトをつぶしながら加え、よくかき混ぜながら5分ほど炒める。
5. なじんでとろみがついたらパウダースパイスを加え、よくかき混ぜる。塩で味をととのえて10分ほどかき混ぜながら炒める。
6. ひき肉を加え、よくほぐしながらなじむよう炒める。
7. ひき肉の色が変わって汁気がなくなるまで炒めたら、ガラムマサラを小さじ2ほど加え(分量外。なくてもよい)、必要であれば塩で味をととのえて完成。
※トッピングにスライスした生の玉ねぎ、せん切りのしょうが、パクチーなどがよく合います。