フルーツ・ジャーナル vol.2 2020SS by fruits of life

大橋さんのアトリエには大きな窓があります。
「曇りの日は薄いグレー、夜明けや夕焼けの頃には、
いちばんいろいろな色が混じってきれい」
さまざまな表情を見せてくれる空のパレットから、
ひとつひとつの色を拾って、
今シーズンのコレクションが生まれました。

今回は淡色のグラデーションを楽しむ春のコーディネート、
さらに人気アイテムをとことん着倒す
オケージョン別コーディネートなど、
大橋さんならではのスタイリスト目線で、
たくさんの着こなしをご紹介します。

〜 Contents 2 〜
ノーカラージャケットをオケージョン別に着こなすには?

1st シーズンに登場した「クルーネックジャケット」、覚えていますか?
今季、ヘリンボーンのリネン素材で「ノーカラージャケット」として再び登場。
袖はゆったり、手首がちらりとのぞく短めの丈になって、
Aラインのシルエットがより前面に出るデザインにリニューアル。
fruits of lifeのシグニチャーデザインともいえるこちらは、ジャケット入門編としてもおすすめ。
フォーマル、カジュアルのオケージョン別にコーディネートをご紹介。

Step1  +ワンピース
自分らしいフォーマルスタイルを探して

fruits of life ノーカラージャケット 墨色(ブラック)

お手持ちのワンピース、パールのネックレスと合わせて。入学式や保護者会などの学校行事に。子どもたちと一緒に行く観劇などの際にも。ママ自身の心の華やぎは、いつのまにか子どもたちにも伝わるもの。

Step2 +水玉のセットアップ
カーディガン感覚で着る

fruits of life ノーカラージャケット 墨色(ブラック)
fruits of life バンドカラーシャツ 水玉
fruits of life ギャザースカート 水玉

昨シーズン、大人気だった水玉のセットアップの上にさらりと羽織って。カーディガン感覚でコーディネートに取り入れてみるのも、このジャケットならではの着方の1つ。キャスケットもプラスして、大人のカジュアルの仕上げを。

Step3  +ボーダーシャツ
1つ上のカジュアル

fruits of life ノーカラージャケット 墨色(ブラック)
fruits of life サイドボタンパンツ 卯の花色(オフホワイト)

大好きなボーダーやデニムだけれど、オケージョンによっては少しカジュアルすぎと感じることも。そんなときはこのジャケットの出番。着心地はらくちんなまま、きちんとした印象になるから、ばったり知り合いと会ったりしてもソワソワしないで済みます。

自分の好きな服を着てきちんと見えたら、
それがいちばんいい

大橋さん この間、メールで「水玉のスカート、もう作らないんですか?」と問い合わせがきたんです。

—— 秋冬のラインナップの中でも人気で、あっというまに完売でしたもんねえ。

大橋さん 1月にまた販売しようと思います、とお返事したら、「2月に娘のピアノの発表会があるので、それに着ていきたいと思っています」って。

—— 間に合った!!

大橋さん 作ったらすぐ送りますってお返事したの。

—— それはぜひ着ていただきたい。

大橋さん 水玉シリーズは手に入らなかったという声を多くいただいたので、今季に追加生産しました。水玉のスカートやシャツを欲しいという方も、もうお持ちの方も、このジャケットと合わせて着ていただけたらと思います。

—— 大橋さんは、デザインの段階からコーディネートを考えて作っているとお話しされていましたが、シーズンを超えたアイテム同士のコーディネートもありなんですね。少し前に有名ブランドの売れ残った服の大量廃棄が問題になり、「いいものを少しだけ」というfruits of lifeのコンセプトが改めて響きました。気に入った服なら、シーズンや流行を超えて着続けたって、全然いいわけなんですね。

大橋さん この水玉シリーズで入学式とかもいいものね?

—— 学校の雰囲気にもよると思いますが、いいと思います、全然。

大橋さん 皆さん、学校へはどのくらいきちんとした格好でいくのかしら。

—— 公立だと入学式や卒業式以外は全然カジュアル。私立の女子校では保護者会でもきちんとしたワンピースなどで行くと聞きました。

大橋さん よく電車で見かける、制服姿の小学生に付き添っているお母さんがしている格好ということね。

—— 紺色のワンピースで。いらっしゃいますね。卒業式の頃はまだ寒くて、体育館には暖房がないから皆さんきっちりコートを着ていて。実は下に何を着ていてもわからないんじゃないかと、この前はたと思ったんです。それはさておき、卒業式は濃い色のワンピースやスーツが多くて、入学式だと少し明るい色というイメージでしょうか。でも、いいですよね。こんなセットアップを着て入学式へ行けたら。

大橋さん 自分の好きなものできちんと見えたら、それがいちばんいいですよね。

—— たしかにそれが理想的な境地ですね。

〜 Column 〜
コラム

ワンピース感覚で着るオールインワン

fruits of life オールインワン錫色(ライトグレー)

① ゆったりした身幅のニットのベストを着てみました。カラーがある分、襟元もしっくり。

② リネンのワークウェア風ジャケットを羽織って。裾のロールアップは全体のバランスを見ながら。
fruits of life オールインワン紺(ネイビー)

秋冬でこちらも大人気だったオールインワン。春夏では第2弾が登場!
ワークウェアとしてのアイデンティティを尊重しつつ、友人のフォトグラファー、高橋ヨーコさんのオーダーをきめ細かに盛り込んだのが前作だとしたら、今回はオールインワンをもっと身近に、「ワンピースみたいに着られたら」という思いつきから生まれたもの。

生地には上質なスーピマコットンを使い、軽くしなやかに。スタンドカラーを付けてよりシャツライクに。ウエストの背中側にはギャザーを入れて、のっぺりしがちなバックスタイルにアクセントが加わりました。
さて着こなしのポイントは?

「オールインワンの上になにか着ることですね。なにも着ないと、どうしても作業着感が。皆さんそこを気にされるみたい。なにか作業してたの? みたいな感じが出てしまうと」

その解決策として、たとえばカーディガン、ベスト、コートなどを羽織ってみる。「ワンピースの上に着るもの」という感覚でイメージしてみたら、意外と簡単なはず。オールインワンを着てみたいけれど、どう着こなしたら良いかわからなかったという方も、ぜひトライしてみて。ちなみに靴はショートブーツがおすすめ。
「足元が重いほうが締まるので」

色の名前のお話

1つ1つ微妙なニュアンスを持つ淡色を前に「淡い色を表現するのにちょうどいい色の名前がない」、はたと困ったという大橋さん。

「薄いグレーにも、赤みがかったグレー、オフホワイトに近いグレー、いろいろあるのにふだん使っている色の名前でいうと全部『ライトグレー』になってしまうんですよね」

そこで役立ったのが和の色事典。
「もともと着物の反物を染めるときのために買ったもの。それで日本の色の名前っていろいろあってきれいだなと思ったのがきっかけ」

和の色は、日本の自然や季節の移り変わりの中から生まれたもの。色の名前からイメージをふくらませてみるのも楽しい。
「誰が考えたんだろう? と想像しながら、かわいい名前を選びました」

卯の花色
卯の花とは、初夏の頃、ウツギの木に咲く小さな白い花。卯の花色は平安時代からの由緒ある伝統色の1つで、かすかに黄色を帯びた白を表します。やさしいオフホワイト。

小町鼠(こまちねず)
日本の伝統色には「鼠色」はたくさんあります。ほんのりと赤みを帯び、ライトグレーとライトベージュの中間のような色。「小町」は小野小町から。江戸時代の流行色です。 今季のfruits of lifeの展示会では、合わせる色によってグレーにもベージュにも見える! と一番人気。

甕覗(かめのぞき)
甕は藍甕のこと。藍染をするとき、藍を素にした染料の入った甕に糸や布を浸けます。それを繰り返して色濃く染めてゆくのですが、「覗(のぞき)」とは、甕をちょっとのぞく程度に浸しただけ、という意味。ごく薄い緑がかった水色は「覗き色」とも呼ばれる。

<参考文献>
『日本の傳統色 その色名と色調』長崎盛輝著(京都書院)
伝統色のいろは https://irocore.com

フルーツ・ジャーナル vol.2 2020 SS
Contents 1:春の淡色グラデーション。重ねて生まれるニュアンスに注目!

大橋利枝子

スタイリスト/デザイナー。雑誌『オリーブ』を経て雑誌、広告のスタイリストとして活躍。2012年『FLW』デザイナーに就任。2018年、衣服と暮らしまわりのものを扱うブランド『fruits of life』をスタート。著書に『おしゃれっていいもの』『FLWのソーイングとスタイル』(いずれも文化出版局)など。