どんぐり倶楽部・糸山泰造さんインタビュー
その1

速さや回数を競わせ、丸暗記させるだけの小学校の勉強。
子どもたちには、自分の頭で考えるような勉強をさせたいけれど、その方法がわからない。
くらすこと主宰の藤田ゆみがひとりの親として迷っていたとき偶然に出会った勉強法、
「どんぐり倶楽部」とはなにか?

うちの子どもたちは、小学5年生の男子を筆頭に、小1女の子、年少の男の子の3人兄弟です。
長男は卒園まで、長女は年少の1年間だけでしたが、シュタイナー教育をベースとした園に通わせました。
文字や数字を教えず、知的な部分を目覚めさせないようにし、目の前の「いま」だけを感じることのできた幼児期。
自分で経験したことの積み重ねを大事に、子ども自身の成長に寄り添うその環境は、子どもにとってよいものだったといまでも感じています。

ただ、公立の小学校へ進み、勉強が始まってからが迷いの日々。
宿題はほぼ、反復練習の計算ドリルとマスを埋めるだけの漢字の書き取り。速さや回数を競わせるようなやりかたも正直、疑問。
「学校の勉強は暗記だ」って、大多数の大人は自分の経験から言うわけですが、自分の頭で考える余地のない勉強ってどうなんだろうか。
けれど、じゃあどんな方法で勉強をさせるの?といっても、それがわからない。
わからない? わからない! わからない!! そして、気がつけば長男は5年生になってしまっていました。
いいかげん、肚を据えて子どもの勉強について取り組まなくてはあとがないと思いだしたころのある日、
インターネットでなんとなく「拾ってきたどんぐりの保存方法」について調べていました。
そのとき、「どんぐり倶楽部」という小学生のための勉強法を偶然知ることになったのです。

そのサイトのトップページにはこのようなことが書かれていました。

どんぐり倶楽部憲章

1 子供達の力を信じる
2 無理なく無駄なく効果的な学習指導をする
3 <考える力>を身につけさせる

~健全な子育てと教育のヒント・人生を楽しむ力を育てるために~
子育ては「慌てず騒がず穏やかに」 教育は「ゆっくり・ジックリ・丁寧に」

どんぐり倶楽部とは、おもに絵図を書いて考える算数の文章題で、「考える力」を身につけさせるためにある。
そしてそれをやる目的は、「人生を楽しむ力を育てる」ためなのだと。

ピンとくるものがあり、ひとつやらせてみようと問題集を注文したのが、長男5年生の秋の始まりごろでした。

答えが出なくても、間違ってもOK

いまうちに来ている子でいちばん多いのは、シュタイナー系です。あと、モンテッソーリ系も。
幼児期はよかったけれど、小学校に入ってどう転換したらいいのかわからず、勉強法を探しだして、
どんぐり倶楽部にたどり着くというのが多いんですね。
シュタイナーもモンテッソーリも「ていねいに、ゆっくり、大人を模倣する」という初歩の段階は似ているんです。
そのあたりまでは理論はいらないから、5歳ごろまではうまくいく。
ところが、そこから先の転換がない。
そのまま大事に、大事にってだけでは駄目なので、その切り替えを5~7歳あたりできちんとやってあげると、
すごくいいつながりができるんですね。そうじゃないと、どうしても感情過多になるし、対応できなくなるし、理論が弱くなる。
なんとなくの感情をもって、それを表現力っていうけれども、「自分」が確立する中学生になる前に「出力」に力を入れるのは、
じつはすごくマイナスのことが多いんです。
「自分」ができるまでは、「味わう」、「感じる」で、終わり。
シュタイナー教育で、本国と同じようにオイリュトミーとかやっていますけども、日本の四季を味わうほうがどれだけ意味のあることか。
あれ自体、少なくとも日本ではまったく必要がないんです。
だから、入力で終わり。「出力」は、「入力」がきちんと貯まったらあふれだしてくるものですからね。

ノーベル賞の授賞式で、「小さいときにたくさん遊んだことがよかった」って
受賞者がよく言うでしょ。
思考回路は遊びのなかでできていくわけだから、あの言葉は真実なんです。
それがいまほとんどない状況で、遊びの絶対量がどうしても少ない。
学校、宿題、習い事と、本当に時間が足りないんですよ。
それを補うためには、意識して味わうとか、感じるとか、意識をもたせないと駄目なんですね。
僕らの時代は四六時中、山のなかに入って隠れ家をつくり、川に行って魚を釣り、
毎日やることのなかで自然と思考回路をつくっていたわけなんです。
学校では、その回路を使って整理学習をしてくれていた。
いろんなことの経験があったうえで、すでにできた回路を使い、「それはこういうことだね」と学校でまとめてくれていたんですね。
だからかつては、偶然、いっぱい遊んでいて、偶然、そのなかで回路をつくり、それが偶然、学校の整理学習とマッチしていた。
つまり、偶然、うまく事が運んでいたんですね。
ところが現在の学校の教育方法というのは、「理論は理論でがっちり勉強しましょう」、「感情は感情で豊かに育てましょう」と、
分かれている。ばらばらに教えたら、子どもってばらばらに育つんです。
ではどうすればいいかというと、理論と感情を一緒に教えればいい。
それを小さいときからやるためにつくったのが、どんぐりなんです。
どんぐりの文章題で、意識的に味わえるようなベースをつくったうえで、理論的なこともていねいに解きほぐしていく。
その子の個人的な深い体験、原体験みたいなものに必ずリンクさせて、感情を再現してあげるんです。
すると、すごく難しい算数の問題をやっているのに感情もきちんと動くという状況が生まれ、
理論というタイヤと感情というタイヤをつなぐ芯ができる。
そのシャフトを大きくすることが、いちばん大事なんですね。
答えが出なくても間違ってもOKなのは、それ自体が思考回路になるから。
遊びが少ない現代の生活においても、ちゃんと回路ができるんです。

どんぐり倶楽部
独自に開発された算数文章問題を年長~小学校6年生の7年間で継続的に解いていくことで人生を楽しむための「考える力」を身につけさせようとする「むりなくむだなく効果的な学習方法」。子どもが自分なりの絵図を描きながら答えを導きだすことを目的とするのが特徴。「考える力」の育成には問題を解く過程が重要なのであり、問題の答えが出なくても、出した答えが間違っていてもよしとする。傍の大人は問題を解こうとする子どもを口を出さずにただ見守り、子どもの思考力育成の妨げになるならば、ときには学校の宿題も代行する。問題集を購入あるいはホームページからダウンロードしての家庭学習が基本だが、全国に教室もある。
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<1年生の問題>
あかい はなと しろい はなが あります。あわせると みんなで 8本あります。また、あかい はなは しろい はなより 2ほん おおいです。では、あかい はなは なんぼん あるのでしょう。

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<4年生の問題>
サンタさんが、子ども3人に、それぞれ同じ値段のお菓子を3個ずつと、そのお菓子1個の4倍の値段がする玩具を1つずつと玩具の半額の絵本を1冊買ってあげようと思っています。サンタさんが使えるお金は全部で14175円です。1個何円のお菓子と1つ何円の玩具と1冊何円の絵本を買ってあげればいいでしょう。

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※シュタイナー教育
オーストリアの思想家、ルドルフ・シュタイナーが提唱する教育理論、方法。魂は意志、感情、思考の3つから構成され、幼児期には自分の周囲にあるすべてについて経験と模倣をとおして学ぶという考えかたから、創造的遊び、歌やリズム、お絵描きや手芸などを取り入れた芸術行為としての教育をおこなう。頭で考える理屈ではなく、意志、身体、動きを重視した宇宙の一部としての自分を優先させる。本来は7年ごとに区切った21歳までの一貫教育。

※モンテッソーリ教育
イタリア人医師、マリア・モンテッソーリが実践した知的障害児への感覚教育法がもとになっている。自発性を尊重し、独立心と知的好奇心を育むために、子どもに自由な環境を与える。オリジナルの教具は数多く、知的活動の基礎となる五感を育てるべく、サイズは縮小しているものの本物であることや、美しさと清潔感を兼ね備えていることなどが特徴。本来は24歳で教育終了となるが、日本では早期教育として捉えられることが多い。

糸山泰造(いとやま たいぞう)
1959年、佐賀県生まれ。明治大学商学部卒。コンピュータプログラマー、システムエンジニア、バーテンダー、シナリオライターなどさまざまな職業を経験しつつ、進学塾講師および塾講師の指導に携わる。85年より「どんぐり倶楽部」運営。オリジナルテキストや教材の開発から添削や保護者の教育相談まで、教育を子育ての一部という信念のもとに指導にあたる。著書に『絶対学力』『新・絶対学力』(文藝春秋)、『子育てと教育の大原則』(エクスナレッジ)、『絵で解く算数』(朝日新聞社)など。
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