JUNICHI OGAWA
季節のレクチュール #1・冬 その2
Lecture des Saisons #1 – Hiver – 02
構成・文 松本 あかね
写真 有賀 傑
※レクチュールlecture:(仏)古くはレッスン、講話という意味を持つ言葉
「季節のなかのわたし」をテーマに、セラピストの小川純一さんが3回にわたり、
毎日のなかにとりいれたい、心と体のためのひとときを提案します。
朝のレクチュール
matin au naturel — 自然とともに迎える朝 —
目覚めから順を追って、自然とともに迎える朝のすごし方を提案します。
「朝いちばんの換気」
新しい空気を吸い込んで、体の中の空気を入れ替えます
人は寝ている間、1日の疲れを呼吸と共に吐き出します。
閉め切った朝の寝室は、空気がしっとり、というかとろん、
としているのを感じるかもしれません。
それは、昨日の疲れた「気」が充満しているから。
いつも気分が晴れない、疲れが取れない、というのは、
家の中の換気や気の巡りが十分ではないのかも。
寒くても、朝起きたらまずは家中の窓を全開にして、
昨日の「気」を風とともに外へ送り出し、
新しい一日にふさわしい「気」を取り込む。
それだけで、目覚めはすっきりするはずです。
仕上げに僕は、ネイティブアメリカンの方法にならって、
場を浄化する力があるといわれるセージの葉を燻して、
家の中の空気をきれいにします。
さあ、新しい一日の始まりです。
「朝いちばんの水やり」
植物とコミュニケーションして、一日をスタート
わが家はたくさんの植物であふれています。
水をやるときは、心の中で言葉をかけてあげます。
「水いる?」って。
ちゃんと意識を向けるということが、水やりには大切な気がしています。
植物にも意識があるから、声をかけてあげるとパワーをくれる。
まるで愛情の交換をしているようで、植物と波動がリンクして穏やかな気持ちになります。
育てたい心を満たす
人にとって「育てる」ことはテーマの一つ。
ペットを飼うこともそうで、とにかく何かを育てたい生きものなのです。
植物を育てると、心がとても安定します。
毎朝、植物からのメッセージをちゃんと聞いてあげると、自分のリズムも整ってきます。
何かを育てるということが、地に足をつけてくれるのです。
朝の水やりは、今日も一日が始まるなと感じると同時に、植物たちの一日も始まるんだな、と実感するひとときでもあるのです。
「朝いちばんの白湯飲み」
ごく薄い塩白湯は、海の浄化作用と同じ効果をもたらします
水やりが終わると、ちょうどお白湯ができあがる頃。
お白湯のつくり方は蓋をしないで10分から15分、ぐらぐらと煮立たせるだけ。
起きてすぐに沸かし始めれば、朝のあれこれをしているうちにすぐできあがると思います。
お白湯は朝いちばんに浴びる体内のシャワー。
何かを口にする前、朝起きて早い段階で飲みましょう。
朝は排出しやすいように排出物が消化管の表面に浮き上がっている状態です。
それを流さないでいると、排出物が再び体内に戻ってしまうといわれています。
塩白湯は太古の海の味
減塩という言葉をよく耳にしますが、質の良い天然の塩なら、摂りすぎなければ体に良い効果をもたらします。
お白湯に耳かき一杯程度のごく少量の塩を加えると、体の代謝をさらに上げてくれます。
塩だけでもしっかり体に働きかけてくれますが、まだ体が重いと感じる人は巡りを良くするレモン汁も一緒に搾って飲むとシャキッと目覚めるはずです。
塩白湯は口当たりもまろやかになり、とても美味しいのですが、お腹がゆるくなりやすい方は毎朝飲むことは控えてくださいね。
現代の海水の塩分濃度は3%程度だそうですが、太古の海では1パーセント弱くらいだったといいます。
僕らの源は、この薄い海水のときに生まれた命なのだとか。
海は浄化作用が強く、どれだけ嵐で荒れた海でも、2,3日したら青く戻る。
悲しいことがあると海に行きたくなるのは、海が全てを洗い流してくれるから。
ほんの微量の塩をいれたお白湯は海のようなエネルギーになると、僕は思っています。
それを体内に入れることで、もともと持っている、そのひとの自然のリズムが戻るのだろうと思うのです。
「朝食。1日でいちばん大切な時間」
「朝食のためのテーブル」を庭を眺められる特等席に置いています
朝食は1日の中でいちばん大切な時間。
朝食がよりおいしくいただけるように、庭を眺められるお気に入りの場所を決めました。
北欧のデザイナー、アルヴァ・アアルトが大好きなのですが、それを知った友人が譲ってくれた半円形のテーブルを、朝食専用のテーブルにしています。
朝食のための場所があるだけで、いつもの朝が特別になりました。
テレビのないわが家ですが、朝食の間は音楽もかけず、携帯もそばに置かないようにして、食べることだけに意識を傾けていただきます。
朝食は、静かにいただくことで、瞑想のような、一日のリズムが整う感覚をもたらしてくれます。
忙しい朝ほど、朝食の時間は静かに大切に。
「朝の散歩」
朝の光を目にすると、心が光で満たされます
もしも食後に眠くなるという人がいたら、それは消化力が落ちているのかもしれません。
消化の力は火と同じで、ちょっと動きをもたせてあげると燃えやすくなります。
つまり、体を動かすとよいということ。
朝食後の散歩が、僕の毎日の習慣です。
散歩のために歩く
散歩ということでいうと、いちばんいいのは、散歩するために歩くこと。
何かのついででなく、散歩のために歩くと、気持ちがすっと落ち着く。
散歩も瞑想だといわれていますが、ちゃんと散歩をすると、ちゃんと自分と向き合う時間になるのです。
歩くとき、目線はできるだけ上をみるようにしています。
悩んでいるときやくよくよしているときというのは、目線が下へいきがち。
そして考えごとをしているときに目線が下にいくと、思考がマイナスな方向にいってしまうもの。
でも目線を上げると、ちょっと明るくなる。
背筋を少しまっすぐにして、上を見ると「まあいっか」って。
顔を上げて、朝の光を目で見ながら歩くと、歩幅も大きくなるし、たったそれだけだけど、元気になれる。
こんなちょっとしたことで、一日のはじまりの気持ちが光の方へ向いてくれるのです。
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