JUNICHI OGAWA

季節のレクチュール #1・冬 その3
Lecture des Saisons #1 – Hiver – 03

構成・文 松本 あかね
写真 有賀 傑

※レクチュールlecture:(仏)古くはレッスン、講話という意味を持つ言葉

「季節のなかのわたし」をテーマに、セラピストの小川純一さんが3回にわたり、
毎日のなかにとりいれたい、心と体のためのひとときを提案します。

季節のひとさら

朝はちゃんと料理をつくることで、リズムが整います。
温かくて軽い、朝食にぴったりのスープをご紹介します。

冬の朝は温かいひとさらを

寒さの続く毎日の朝食、どんなものをいただいていますか?
あらためて、いつもの朝食メニューを見直してみましょう。

冬の朝は乳製品を控えると、体が軽くなります。
朝はヨーグルトという方も多いかもしれませんが、
冬の朝に冷たい乳製品を摂ると、体を冷やしてしまいます。

人気のグラノラは、この季節は温めた牛乳や豆乳を注いでみてください。
冷たいのとはまたちがったおいしさで楽しめます。

冬の朝のスムージーも生野菜や果物が体を冷やしてしまうので、
温かいスープなどのほうが消化にはよいと思います。

日本人は欧米人に比べると、消化力が強くありません。
特に代謝と消化力が落ちている冬の朝は、お腹に優しいものを。
自分の体質にあったメニューをみつけておくと、朝食がより楽しめると思います。

体質にあった食事をみつける

それには、一つ一つ試していくしかありません。
食事にとどまらず、自分の体質に合った生活習慣をみつけようと思ったら、その答えは自分で探さなくては。

どこかに答えがあったらいいけれど、自分のことを丸ごと一冊記した本はないし、結局、自分と向き合うことしかないのだけれど、でもね、それをしないから外に答えを求めてしまうし、もし違ったらその答えに「なんで?」って責任を問いたくもなってしまう。

自分との向き合いって、面倒くさいし、時間もかかるし、しんどいのだけれど、そうやることでしか、自分自身って癒されないし、改善していかないんだと思います。

それができなくなると、薬に頼ってしまったりとか、インスタントの食品に頼ってしまったりとか、外の情報に振り回されたりするから。

僕も一つ一つ試した結果、僕にはちょっとスムージーも冷えるし、なんか朝からチーズとかだめだな、ヨーグルトも合わなかったな、ということがわかってきました。

一つでも変えてみたら、体が楽になる。こっちのほうがよかったんだ、とわかってくる。そのくりかえしなのです。

かぶとクミンのポタージュスープ

僕の朝食の定番は野菜のポタージュスープです。
ほんの少しのスパイスを効かせて、代謝を上げて体に負担のないようなレシピを心がけています。

乳製品は使わず、昆布だしにほんの少しの白味噌で味を整えたら、野菜だけで十分おいしく体も軽い。

このかぶのスープには生姜を加えてもよく、じゃがいもの代わりにリンゴを加えても、甘みが増しておいしいです。
それでは短時間でできる朝のスープレシピをご紹介します。

かぶとクミンのポタージュ(2人分)

かぶ(中) 2個
玉ねぎ 1/4個
じゃがいも 1/4個
長ねぎ(白い部分) 1/2本
クミンシード 小さじ1
ローリエ 1枚
昆布出汁 300cc
白みそ 大さじ1
オリーブオイル 適量
塩 適量

(1)かぶ、玉ねぎ、じゃがいも、長ねぎを薄めにスライスする(じゃがいもは水にさらしておく)。
(2)鍋にオリーブオイル、クミンシード、ローリエを入れて弱火で熱し、香りが立ってきたら(1)を加え、フタをして中火で蒸すように炒める。
(3)火が通って全体的にしんなりしたら、昆布出汁を加えて強火に。沸騰したら弱火にして10分〜15分ほど、ことこと煮る。
(4)火を止めて、粗熱を取ったら白みそを溶かし、滑らかになるまでミキサーにかける。
(5)再び熱し、塩で味を整え、器に盛る。お好みでサワークリーム、オリーブオイルを落とし、黒こしょうを挽いて召し上がれ。

冬のスピリチュアル・ハーブティ

寒くて気持ちが沈みがちな朝に、
太陽のようなあたたかなパワーを与えてくれるお茶をご紹介します。

※妊娠の可能性のある方は必ずお控えください。

朝、きちんと目覚めたいとき
ローズマリー&生姜

生姜=心と体を温める

寒い冬の朝は生姜がおすすめ。
火のエネルギーが強く、体を温めて、代謝を上げてくれます。
生姜をスライスして天日干ししてハーブと混ぜて飲むと、美味しい上にデトックス効果も。

生姜は、不安や心配ごとがあるときにもよいのです。
そういうときは心が冷え切っているもの。
心を温めるためにも、生姜のお茶を飲むと活き活きした気持ちを取り戻せます。

寒い季節は気持ちがゆらぎやすいときでもあります。
そんなときに根っこの植物のエネルギーがピシッと効くのです。
地に足をつけ、本来の自分自身でいることを助けてくれます。

ローズマリー=頭と体を活性化する

「覚醒のハーブ」といわれるローズマリー。
集中力を高めるので、コーヒーの代わりとしてもおすすめしたいです。

ローズマリーは「太陽のエネルギー」を持つともいわれます。
体が冷えてだるいときや、冷え性の人は、太陽のエネルギーをもつハーブで体を活性化してバランスをとることが大切です。

ローズマリーと生姜のお茶は、目覚めを促し、冷え切った心や体もぐっとあげてくれる。
冬にぴったりのハーブティーだと思います。

タイム=生きる活力をくれる

タイムは「活動と勇気のハーブ」といわれていています。
人生に光を与え、物事を進めていくときの、恐怖心をなくしてくれる。
そういう意味合いを持つハーブです。

気分が沈みがちな冬の朝、起きたくない、仕事へ行きたくない、という日もあるかもしれませんね。
そんなときはタイムのお茶を淹れると、しゃきんとして「さあがんばろう」という気持ちになります。
一日の始まりの活力を与えてくれるのです。

何よりすごくしゃれた香りがするから、それだけで気分がいいので、僕はちょっと元気がないなというときに飲むようにしています。

ただ、タイムは発汗作用が強く、体にこもった熱を外に出す働きもあります。
風邪をひいたときに良いハーブですが、元気な場合は毎日飲む必要はありません。
冬の朝、いまいち調子が出ないというときに、体を温める生姜と合わせて飲むようにしましょう。

タイムと生姜のお茶は循環をよくし、調子の悪いときに底力を与えてくれる。
長い冬に向けて覚えておいてもらいたいハーブティです。

ここでご紹介するハーブティについて

ハーブはヨーロッパでは医療用として長い歴史を持ちます。
僕も心と体に深く働きかけるものとして、慎重にとりあつかうよう、心がけています。
ここでは、改めてハーブについて心に留めおいていただきたいことをお話します。

寒い季節にタイムティーは常用しない
本文でも触れましたが、タイムは体の熱をとる強い作用を持ちます。冬に毎日飲むお茶としてはお勧めしません。

お茶はうすめに
ハーブティは薄いほど体に浸透するように感じています。
衣服でも肌ざわりのよいものは、シルクのように薄くひらひらとして肌によくなじみます。
それと同じように、薄めに淹れたものほどエネルギーが繊細になり、体にやわらかな影響を及ぼします。
小さなカップでちょこちょこと飲むことが効果的です。

こんなときはお控えください
妊娠の可能性のある方、産前産後はお控えください。
体に少しでも違和感が現れたら、飲用を中止し、お医者さまにご相談ください。

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