JUNICHI OGAWA
季節のレクチュール #3・夏 その3
Lecture des Saisons #3 – été – 03
構成・文 松本 あかね
写真 有賀 傑
※レクチュールlecture:(仏)古くはレッスン、講話という意味を持つ言葉
「大人の夏休み」—— 森へ
夏の森
夕暮れが近づくにつれ、あんなに眩しかった太陽も陽射しが和らぎ、山や森に涼しい風が吹き始めます。そろそろ「大人の夏休み」も終わりに近づいてきました。明日から始まる日々に向けて、心と体に準備の時間をもてたら安心。そこで夕暮れ前のひとときを森へ。なぜなら夏の森には特別な力があるからです。
夏の森は涙が出そうになります。
木々はやさしく佇み、ずっといい香りがして、空気が濃い。そして動物たちの気配。
森の中のオーケストラのような調和を感じます。
静かだけれど、生命力のワッサワッサとした躍動が伝わってきて、呼吸するたびに、身体中が入れ替わっていくようです。
夏は、人間や動物が「夏バテ」する一方で、植物はすこぶる元気なとき。果実や野菜にも勢いがあります。食べることによって栄養をもらえるのはもちろん、じつは植物は目に見えないものもたくさん私たちに与えてくれているのです。
植物と交感
360度木に囲まれた場所で、目を閉じ、蝉の声を聞く。すると
いろんな音が聞こえ始めます。風の音、葉のこすれる音。耳を済ましていると、やがていろんなメッセージが入ってきます。
大きな木は、どしっとしてあまり物を言いません。
若い木の方がよくしゃべる。
だから若い木を見ると心がウキウキするし、大きな木を見ると、心がスーッと鎮まる。声が聞こえてくるのかといわれるとそうではないのです。子どもを見るとウキウキする、お年寄りを見ると静かな気持ちになることと、似た感覚だと思います。
僕は公園や森へ行くと必ず木に触れるんです。木に触れて、大きく深呼吸するとなんだか体の底からパワーが湧き上がってくる気がします。森へ行き、植物の中に埋もれていると、たくさんのものを受け取ることができるのです。
自分がパワーダウンしたと感じたときも、森へ行ってたくさんの木に触れて、声をかけます。「立派な木だね」、「君はいつからここにいるの」。
そしてピカピカの葉に触れて、ピカピカのエネルギーをもらうのです。
植物はいつでも愛のパワーに満ちています。
愛のパワーを分けてもらうようなつもりでそっと木に触れる。それだけで心は静かに、体も元気になっていくのです。
愛の存在
夏の山は植物の愛にあふれています。
植物は、僕たちが吐く二酸化炭素を吸って、僕たちが吸う酸素を出してくれる。
果実や野菜として、僕たちの体のための栄養にもなってくれる。
消費者である人間や動物に対して、植物はただひたすらに生産者。
植物がすごいのはギブ&ギブなところです。
いつもオープンで、僕たちが意識さえ向ければ、いろいろなものを分け与えてくれます。
そういうことって、言ってみれば愛のしくみではないかと思うんです。
僕はこれまでで一番辛かった時期を山に助けてもらいました。
本来の自分に目覚めて、いろんなことに向き合わざるを得なかった時で、その頃住んでいた葉山の山には、ほんとうに救われました。
植物って思っている以上に僕たちを助けてくれる。意識を向けさえすれば与えてくれる「愛の存在」なのです。
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精霊たちのこと
夏の山の湧き立つような緑の勢いからは、目に見えない者たちの元気な気配が伝わってきます。森にはもともと目に見えない精霊という住人がいて、植物からの愛を僕たちに運んできてくれます。精霊のいる森が居心地よく、行くと元気になれるのは、植物たちからの愛がふりまかれている場所だから。感覚的なものだけれど、森へ行くとそういう存在が、確かに僕たちを助けてくれているのを感じます。
精霊は、山や海、森などのきれいな場所、心地よい場所にいます。家の中にも、庭、寝室、お風呂場、トイレなど、人が癒される場にはたくさんいます。特に植物の周りは精霊でいっぱい。僕の感覚では「見えない蝶々」みたい。
ケルトなど古くから妖精や精霊の存在を信じてきた民族には、民話の中で目に見える存在としてその存在が描かれています。
現代でも、好奇心いっぱいでいたずら好きなティンカーベルなど、よくそのあり方を伝えていると思います。人の周りを飛び回って、楽しませようとしてくれて、そのおかげで元気になれたり幸せになれたり。『もののけ姫』のこだまも精霊の一つの形だと思います。そうやって、目に見えない世界の生き物の存在は、現代にも伝えられているのだなと思うのです。
そういう目で世界を見てみると面白いと思います。蝶々ってみつけると嬉しいでしょう? ぜひ「ここの場所には精霊いるかな…?」と探してみてください。
大人の夏休みのしめくくり
山のスコレーにいらっしゃった方は、皆さん「落ち着く」と言ってくださるのですが、
それには空間の力だけでなく、見えない力も働いているからだと思います。
都会でも部屋の風通しをよくし、植物を育てたり、いつも自然体でいるよう自分を整えたりしていると、
精霊たちがやってきて、家を居心地よくしてくれるのです。
精霊が苦手なものは、野鳥や虫と一緒で機械やその大きな音。一度庭で草刈機を使ったら、精霊たちがあっという間にいなくなってしまったことがありました。精霊がいなくなった庭は、閑散として、湧き立つようなエネルギーの感じられない、別の庭のようで。
また戻ってきてくれましたが、それからは「刈りますね」と声をかけてからするようにしています。空間って、見えないものの力が入って完成されるのだなと実感した出来事でした。
夏の森は、植物という愛の存在、そして植物からの愛を運んできてくれる精霊たちのエネルギーでいっぱいです。大人の夏休みの1日の終わり、森の中に身を置いて深呼吸したら、さあ明日からもがんばろうと、思える。それが大人の夏休みのしめくくりにふさわしいひとときかもしれないと思います。
夏のスピリチュアル・ハーブティ
南国のハーブ、レモングラスを使った
夏においしいアイスハーブティをご紹介します。
今回取り上げたいのはレモングラス。
南国のハーブであるレモングラスは体を適度に冷やしてくれるのはもちろん、
「リラックス、解放」というエネルギーのテーマももち、夏の休日にほっと一息ついて飲むのにピッタリのハーブです。
頑張りすぎてしまうとき、緊張しているとき、肩の力をすっと抜いてくれます。
レモングラスは水出しでもいろいろな飲み方を楽しめます。
夏もおいしくハーブティを飲んでほしいから、ちょっと趣向を変えて、
冷たいハーブティの楽しみ方をお伝えします。
レモングラスウォーター
夏でも体が冷えている人が多いから、本来ならば通年、体を温めることを意識してほしいけれど、たまにならこんな楽しみ方を取り入れるのもいいでしょう。
一晩置くだけの簡単な水だしハーブティです。
レシピ:
水 1ℓ
レモングラス(ドライ)6g
お茶パックに詰めたレモングラスを水に浸し、一晩置いてできあがり。
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レモングラスウォーターの2つの楽しみ方
シトラス(柑橘類)+レモングラスウォーター
夏、お客さんに出すととても喜ばれます。レモンでもよいのですが、和の柑橘類、すだちなども案外合います。
レシピ:
できあがったレモングラスウォーターにお好みの柑橘の輪切りを浮かべる。今回はすだちを使っています。見た目も香りも涼やかに。
カルダモン+レモングラスウォーター
スパイシーで爽やかな香りが特徴のカルダモンは、ほのかな甘みもあります。
レシピ:
レモングラスウォーターを作る際にカルダモン8粒程を一緒に入れる。
爽やかな香りが、カレーに相性ピッタリです。
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レモングラスグラニテ
ハーブティをグラニテにしました。夏ならではのこんな楽しみ方も…。
レシピ:
お湯 400cc
レモングラス 3g
砂糖 15g
①レモングラスにお湯を注ぎ、20分置く。
②①を漉して鍋に移し、砂糖を入れ弱火にかけ、砂糖が完全に溶けたら火を止める。
③そのまま自然に冷まし、冷凍庫へ。約1時間おきにフォークでサクサクと氷を崩すように混ぜ、シャーベット状になったらできあがり。
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こんなときはお控えください
妊娠の可能性のある方、産前産後はお控えください。
体に少しでも違和感が現れたら、飲用を中止し、お医者さまにご相談ください。
MEME
「本当の私と出会う」をテーマに、スピリチュアルな感性をもっと身近に感じるスピリット&ライフマガジン『MEME(ミーム)』。カウンセラーであり、アーティストである小川純一さんが自ら編集長になって立ち上げた小さな冊子です。
MEME spirit&life magazine issue #01
MEME spirit&life magazine issue #02
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