撮影:有賀傑
構成・文:松本あかね
台湾写真提供:内田真美
② 子連れの旅の組み立て方、
子どもの外食事情
子どもにやさしく、おいしくて体にやさしい食べ物がたくさんあって、親子でゆったり過ごせる台湾。
「私自身がそうだったように、育児中のお母さんに、台湾でほっとしてチャージしてほしい」。
ご自身が娘さんと幾度も訪ねた経験をもとにこの春「私的台湾食記帖」を上梓した料理家・内田真美さんに伺う、
台湾への子連れ旅と、日本の親子を取り巻く環境に対して、皆で今すぐできることについてのお話。
第二回は旅の組み立て方と台湾の食事情について。
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旅の準備
——ご著書にありましたが、日本からお店を予約したり、事前準備をきっちりしていかれていますね。
子どもがいると、いろいろ目を配らないといけないですからね。
慣れない外国でお母さんも緊張もするでしょうし、スケジュールがスムーズに行くように、なるべく済むことは済ませていくといいと思いますよ。
空港からホテルまでの送迎の車を頼んでおいたり、レストランの予約もできるところはしてしまうとか。私は保険にも必ず入ることにしています。
——言葉についてはいかがでしょう。
困っていると誰かが声をかけてくれますね。
若い方も日本語を喋れる方が多いので、道に迷って、地図を見ていたりすると、どこからか「日本人ですか」って日本語を話せる人が(笑)。
それに甘えてまるっきり中国語がしゃべれないまま・・英語の片言と日本語で済んでしまいますね。
あとメニューは漢字を見れば、だいたいわかったりしますので。
友達とチームで行く
——台湾へはいつもお友達と行かれるのですか。
はい。だいたい一回いけば皆「すごく楽しかった」、「また行きたい」となるので(笑)、だんだん旅仲間が増えてきました。
全員の予定を合わせるのは大変なので、日程を組んでその中で3日行ける人、1週間行ける人、という感じにしています。
台湾、子どもの外食事情
——ご本には食べ物屋さんがたくさん紹介されていましたが、どんな基準で選ばれたのですか。
本では初心者の方と子連れの方が心配なく行けるところで、はずれなくおいしいところを選んでいます。
間違いのない定番ルートという感じです。
私がずっと通っているお店、古くからあるお店が多くなっています。
——おいしさのほかに、子連れでいくお店を選ぶ際、どんなことを気をつけていらっしゃいますか。
子連れで食事をする場合、まず、衛生面の良さですね。
それときちんと座って食べさせたいので、昼と夜は基本的にレストランや、広さのある食堂などで食事をします。
ベビーカーもありますし、ご迷惑にならないようにと思いますので、広いお店で着席できて、というのが条件ですね。
それと辛くない料理のあるお店で。
——屋台で食べるということはないんですね?
ないですね、子ども達がいっしょのときは。
屋台は席も狭いですし、周りがざわざわと落ち着かないことも多いので。
月齢にもよりますけれど、小さい子がいるときだと、前掛けやお椀、スプーンも子ども用のものが必要だったりしますし、そういうものはレストランへ行くと、たいてい準備してありますから。
——子どもたちが食事を落ち着いてとれるように、気をつけていらっしゃるんですね。
夜市(※夕方から夜に開かれる市場)も行きますが、食べに行くというより遊びに行く感覚ですね。
台湾はレストランが閉まる時間が早いんです。だいたい9時には閉まってしまうし、おいしいお店って予約しないと入れないことが多いので、だいたい早い時間に予約をして行きます。
レストランではデザートに果物や甘味が少量出るくらいなので、ご飯を食べた後に、ジュースを飲んだり、果物やデザートを食べに行きます。
昔ながらの縁日のように、球を投げて穴に入ったら景品をもらえるみたいなお店が必ずあるのでそこで遊んだり。
夜市は台湾全土に大小様々にあります。一度は行ってみたい所だと思いますので、ご飯の後のお散歩コースとして行かれるといいと思います。
——外国への旅行中、小さな子どもに食べられるものがあるかどうか、心配になる方も多いかもしれません。
台湾では中華八大料理が全て味わえるといわれていますが、全般的な傾向として、糖分と塩分が穏やかなので、
日本のように外食は味が濃いから薄めて食べさせるというようなことはしなくても大丈夫ですよ。
——お子さん達は、どんなものをよく召し上がりますか。
米と麺のメニューが豊富にあるのは助かります。子ども達はどちらかを必ず食べてくれますので。
チャーハンなり、魯肉飯(ルーローハン)のような煮たお肉をかけた丼ものだったり、子どもに食べやすいものがたくさんあります。
麺もいろんな種類がありますし。
娘は小籠包、焼売みたいな皮で包まれたものが好きで。
あれも冷めてしまえば、中身はひき肉なので柔らかくて食べやすく、餡が野菜だけでできたものも、喜んで食べましたね。
ただ辛いものも多いので、大人が先に食べて確認した方がいいです。
目に見えない辛さがあったりするので。
それだけ注意していれば、基本的に食事に関しては、お子さん連れで行きやすい国だと思います。
——子どもにおやつは欠かせませんが、どんなものが食べられますか。
まず、トロピカルフルーツをはじめ果物が豊富。
街角にカットフルーツやフルーツジュースを飲ませてくれるいろんな果物屋さんがありますから、市販のお菓子を買わなくて済むんですね。
親としても気が楽ですし、何しろ子どもが喜んで食べてくれますので。
あとは中華圏なので豆、芋を使った甘味がいろいろあります。
おしるこやぜんざいは向こうのものはさらっと煮てあって糖分も低いせいか、小さい子がよく食べますね。
あとオーガニック系のスーパーもあるので、そこで台湾産のお菓子を買っておいてバッグに入れておいて、お腹すいたと言われたらあげたりということもありますね。
暮らすように滞在する——公園を組み込む
——1日の行程に上手に子どもの遊ぶ時間が組み込まれていると思いました。
特に動き回れるようになった子ども達が一緒のときは、遊具のある公園が必須です。
台湾はそういうところが街中にいっぱいあります。
大人たちもお腹を空かせるために、必死になって一緒に遊んだりするんですよ(笑)。
公園の遊具でさんざん遊ぶと、子どもたちもすっきりするので。
そうしたら「喉乾いたね、おやつを食べにいこうか」って声かけて、お茶に行って。
たっぷり身体を動かしてから行くと、お店で子どもたちが寝てくれるんです(笑)。
そうすると、大人たちはおしゃべりしながらゆっくりできます。
起きてくる頃には、夕飯の時間になっているので。じゃ、ご飯食べにいこう、って。
——いわゆるリゾートや遊園地のような所へ連れて行かなくても、子どもたちも楽しく過ごすことができるんですね。
そうですね、きっとそういう所では雰囲気やアトラクションを楽しむのだと思いますが、
そういう人工的な場所って、各国どこへ行っても同じという気がするんです。
せっかく外国に来ているので、違う種族の人たちがどのように暮らして、
どんなものを食べているのか知りたいという気持ちがありますね。
旅行者なりにその土地の営みを体験することを大事に思っているので、
子ども達の楽しみとしては公園へ行くくらいで、大人といっしょに行動するようにしています。
娘さんの旅支度。子ども用バックパックと折りたためる自然繊維の帽子。
——娘さんはどう感じているようですか?
娘が初めて行ったのは2歳半でしたが、そのときのことを覚えていましたね。
「あそこでプリン食べたじゃない」、なんの話? と思ったら、「上にお芋とか載ってた白いの食べたじゃない」、と。
「豆花(トーファ。豆乳を固めたもの)ね、あれね、美味しかったわよね、といったら「すごく美味しかった」。
——それは台湾に行かなかったら残らなかった記憶ですね。
そうですね。
言葉が違う人がしゃべっていた、ということも記憶に残っているみたいです。
今は現地の子と公園で普通に遊んでいたりしますね。
先ほどもお話しましたけれど、台湾の街にはいろんな年代の、いろんな人がいます。
車椅子のご老人、それに身障者の方も、ちっちゃなくじのようなものを売ることを職業として推奨されていらっしゃるのでしょうか、街角によくいらっしゃるんですよ。
だから娘が「なぜあの人は車椅子に乗って、足がないの、手がないの」と普通に聞く。
日本にいると希薄になりがちな、世の中にはいろんな人がいるという事実を目の当たりにして、親子で話をすることができるのは、貴重な機会だと思っています。
つづく。
次回は「台湾伝説」ならぬ「東京伝説」は果たして可能なのかについて、内田さんといっしょに考えます。
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内田真美
料理研究家。長崎県生まれ。夫と7歳女児との3人家族。主に、雑誌、書籍、広告などで活動している。
台湾の食、人々、土地に魅了され、15年以上通い続けている。
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真美さん教えて!台湾子連れ旅
これからはじめての台湾旅行を考えていらっしゃるお母さん。何度か台湾を訪れているけれど、こういうときはどうしたら?など、子連れ台湾旅行の困った!や疑問質問に、内田真美さんが答えてくれます。
メールにて、真美さんに伺いたい疑問質問を、ぜひお送りください。内田真美さんのインタビュー掲載終了後、まとめてくらすことウェブマガジンにて、ご紹介させていただきます。
台湾子連れ旅の達人、内田真美さんにお聞きになりたいことを、この機会にぜひ!
<送り先>
メールの件名を「真美さん教えて!台湾子連れ旅」とし、office@kurasukoto.comまで質問とお名前(ペンネームも可)、お子さんの年齢と性別をお書き添えの上、お送りください。お送り頂いた質問のすべてにお答えできかねますが、なるべく対応できるようしたいと思っておりますので、あらかじめご了承くださいませ。
『私的台湾食記帖』
内田真美
出版社:アノニマスタジオ 1,600円(税抜)
台湾に15年以上通い続けているという内田真美さんによる、台湾の食ガイドブック。はじめて台湾に行かれる方や、子どもと一緒に台湾の街歩きを楽しみたい方に、オーガニックなどのこだわりの素材を使って調理していたり、子どもと安心して一緒に食事出来るお店を中心にご紹介しています。子連れ旅に助かる宿泊や公園など遊び場の情報も掲載していて、なかなか得られない子連れ旅ならではの、役立つ情報も満載です。
- ① お母さんと子どもにやさしい、台湾の街
- ② 子連れの旅の組み立て方、子どもの外食事情
- ③「台湾伝説」ならぬ「東京伝説」は果たして可能?