シュタイナーのお手当て
その2 〜レモンのお手当て

開催日:2015年2月18日
教えてくれる人:アントロポゾフィー看護スペシャリスト 村上典子

シュタイナーのお手当て もくじ

アントロポゾフィー看護スペシャリスト・村上典子さんに習う「シュタイナーのお手当て」の2回目。
のどの痛み、発熱にはレモンの湿布が大活躍。
実践編はスーッとして気持ちの良い「レモンのお手当」をご紹介します。

レモンの湿布、3つのヴァリエーション
   のどが痛いときの湿布

この日、まず典子さんがご紹介くださったのは、レモンの湿布の3つのヴァリエーション。
そのうちの2つは、のどが痛いときの湿布法。
「のどが痛いときの、温かいレモンの湿布」は、半分に切ったレモンをお湯の中でぎゅっとつぶし、
そのレモン湯にガーゼを浸して絞りのどに巻く方法。
「すごい、一気に汗が出てきました!」とは体験した方の驚きの声。
それと同時に「さわやかな香りが心地良いです」、 体のダイレクトな反応と、香り両方の効用を体感された様子でした。

それより手軽なお手当として紹介されたのが「のどが痛いときの、レモンの輪切りの湿布」。
レモンを輪切りにしてガーゼに挟んでつぶし、 そのままのどに巻くと、すーっとのど元の違和感が和らぎます。
気分がすぐれないとき、レモンの香りだけでスッキリできる点も嬉しいおまけです。

「お母さんが忙しくて、でも自分のために何かしたいなと思うときにおすすめです」と典子さん。
薬の使えない妊娠中にも使えるのも大切なポイント。
また、疲れたとき、足の裏にピタッと貼って、靴下を履いて湿布すると1日の疲れがすっととれるのだそう。

いずれも水分がしみてこないようにと保温のため、上からウール100%のマフラーを巻きます。
調子がいまひとつというとき、こんなふうに湿布しながら子どもの相手をしたり家事をするのも、
心身の調子を上々に保つ知恵かもしれませんね。
レモンは、皮膚に刺激を与えることがあります。かゆみが出たら早めに終えて下さい。傷があるときには行ないません。
また、レモン湿布をした部分が直接日光にあたらないようにしましょう。

発熱したときの、冷たいレモンの湿布

次に「発熱(38.5度以上)したときの、冷たいレモンの湿布」。
これは、ぬるま湯の中でレモンをつぶし、そこに縦半分に切ったさらしを浸して絞り、 つま先からひざ下まで巻くという方法。
熱を下げるというよりも、熱の調和をはかるということが目的です。
発熱時の体温より少し低いくらいのぬるま湯の中でレモンをつぶします。
レモンの収れん作用で頭の熱を足にひきおろすのが狙いです。

お湯やぬるま湯の中でつぶすのは、皮からプシュッと飛び散るオイルを余さず使うため。
レモンは皮ごと使うのでできれば有機、無農薬栽培のものを。そうでないものを使う場合は、皮を熱湯でよく洗って使いましょう。

子どもの場合は、 縦半分に切った手ぬぐいを用いたり、木綿の靴下を濡らして履かせても。
小さい子どもは、くるぶしまで巻くので十分です。
ガーゼハンカチ、手ぬぐい、靴下など、子どもは体が小さい分、日常用品を使い回せばより手軽に取り組めそうです。

ここで質問がありました。
「頭寒足熱というので、足は冷やしてはいけないと思っていました。足を冷やすのはどうしてですか?」
「頭寒足熱というのはその通りです。熱が出ているときは頭が熱くなっていて、頭寒足熱が逆転している状態。
そこでレモンの収れん作用に助けてもらって足を冷やすことによって、頭の方にある熱をひきおろしてくる、というイメージです。
ここでいう、発熱は、38.5°C以上です。熱が出て手足の先まで熱いとき、
解熱剤を使いたいけれどどうしよう、と思うようなときに試してみてください。
決して熱がないときや、高熱でも手足の先が冷たいとき、悪寒がするときには行なわないでくださいね。
そして、傍にいてようすをしっかりみていてあげてください。
すぐに布が乾くようなら、もう一度布をぬらしてまき直します。(3回まで)
30分で 0.5°C下がっていたら順調です。1時間、あるいは 1°C下がったところで終了。
濡れた布は外して掛け物をしてあげてくださいね。

*原則として、無理はせず、医師の相談を仰ぎましょう。

「お母さんのお手当て」がもたらすもの

小さい頃、熱を出して寝ていると、お母さんがタオルを絞っておでこに載せてくれた、そんな経験のある方もいらっしゃるでしょう。
「お母さんが何回も見に来てくれる、気にかけてくれるというのは、子どもにとって何よりの助けになること」と典子さんは言います。
お母さんのそういう行為自体の効用は実はとても大きいのだと。
「レモンやカモミールを使ったお手当てというのは、手間もかかりますが、子どもにしてみれば、
なんだかいい香りもするし、お母さん、いつもと違う珍しいことしてくれてるな、と思うでしょ。
そういうことも子どもにはとてもいいことなんですね」

おそらく、そうしたことをしてもらって大きくなった子どもたちは、自分は大事にされてここまで育ってきた、
それに熱も自分で乗り越えることができたという、無意識の自信のようなものが身についているのではないかしら、と典子さん。
「熱が出て大変だけれど、助けてくれる人がそばにいるという体験が、子どもたちが生きていく上で本当に支えになると思うのです」

講座を通し、参加されたお母さんたちの置かれた立場、思うところはそれぞれでした。
市販の薬はなるべく使いたくない、という声がある一方で、高熱を出したり、気管支が弱かったり、
症状が重篤化しやすいので、薬で対応する大切さも実感しているという声も。
ただそれぞれの立場を超えて、お母さんたちの胸に届いたのは、
「薬を飲ませるときもそうでないときも、こういうお手当てが共にあることは、
子どもたちの自分を肯定する力、 生きる力というものを大きく育ててくれるような気がします」という、典子さんの言葉でした。

レモンの足湯

最後は、「レモンの足湯」のデモンストレーション。
「とても気持ちの良いレモンの足湯、 どなたか一人体験していただきましょう」と声をかけるとさっそく手が挙がりました。

甲斐甲斐しく立ち働く典子さんのそばで、すっかり身を委ねて、温かなレモン湯に足を浸した体験者の方は、
「ほーっ」とため息をついた後、「温かいような、スーッとするような・・」とひと言。
たっぷりした大判のブランケットでバケツごと腰までくるまれると、「守られているような感じがします」と、
小さな女の子に還ったかのような表情が印象的でした。

典子さん曰く、レモンの足湯は疲れているときに良く、一日忙しくて興奮しているとき、
自分の体からまるで意識が飛び出してしまったように感じるときに行なうと意識が収まっていくのだそうです。

この「レモンの足湯」は「のどが痛いときの、レモンの輪切りの湿布」同様、
お母さんが自分のためにしてあげるケアとしてもおすすめです。
「皆さん、子育てで大忙しだから、ちょっとした時間を自分のために使うというのは大事なこと。
できればそばにいる人にやってもらうのが一番いいんですけど、
自分自身でご自分を労わるようなことも、どんどんされたら良いと思いますよ。
ご主人やご家族の方にしてあげてもいいですね。疲れたときとか、ほっとしたいときにね。
家庭の中で大人同士で労わり合うことも大事なことですから」。

実践編

レモンの足湯

講座中は部屋いっぱいにレモンのいい香りが立ち籠めていました。
そんなレモンづくしだった講座の中で、今回は「レモンの足湯」の実践編をお届けしたいと思います。

【適応】
忙しくて疲れすぎてしまったとき
自分の中に戻ってきたいとき

【用意するもの】
無農薬栽培のレモン 1~2個
バスタオルもしくは膝掛け用毛布
お湯、バケツ、ナイフ

【手順】
①バケツにお湯を張り、半分に切ったレモンを断面を下にして置いて、ナイフで放射状に切れ目を入れ、しっかり絞る。お湯の温度は39度くらいが目安。でもご自身の心地よく感じられる温度で大丈夫。

②膝にバスタオルもしくは毛布をかけて、バケツごと覆い、冷めたら差し湯をしても。時間は15分くらいを目安に。
終わった後は、足を指の間までよく拭きましょう。

村上典子
大学病院で看護師として勤務後、家族と共に渡米。シュタイナー教育基礎を学ぶ。帰国後、シュタイナー美術教育を学び、現在は子どものためのクラスや児童精神科、認知症デイサービスなどで絵のクラスを持つ。2004-08年 IPMT、2009-13年国際アントロポゾフィー看護ゼミナールに参加し、アントロポゾフィー看護スペシャリスト取得。ほりクリニックに勤務。アントロポゾフィー看護を学ぶ看護職の会 会員。
共著『シュタイナーのアントロポゾフィー医学』(2017年2月刊/ビイング・ネット・プレス)では「看護」の章を執筆

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