イラストレーター・川原真由美さん その後のインタビュー
その1

2013年10月26日〜11月3日、
くらすことのアトリエで開催された
「川原真由美{仕事の原画}展」は
十数年の間に描きためたイラストを一斉に眠りから起こし
陽の光にさらした、熱い9日間でした。
初の原画展を大盛況のうちに終えた川原さんに
原画展のこと、これからのことを訊きました。
原画展前におこなったインタビューと合わせてお楽しみください。

「これでいいのだ」!

——準備のときから含めて、濃密な原画展が終わりました。おつかれさまでした。

あんなにたくさんの方が来てくださると思わなかったから、びっくりしました。ギャラリ—での展示では、展覧会に興味をもってる人か知人という限定された層のお客さんになってしまいがちだけど、今回はそうではなくて、くらすことの店にごはんを食べにいらした方がそのまま流れてアトリエへ来てくださったりしたのが新鮮でした。

——川原さんのことを全然知らない方に「これ全部、あなたが描いたの?」って驚かれたりしてましたよね(笑)。何回も見にきてくれた方もいたし、ファンの方が地方からわざわざ足を運んでくれたりも。

はい、嬉しかったです。

——お客さんから、どんな感想をもらいましたか?

たくさんの方から、いろんな言葉をいただきました。それを思いだそうとするんだけど、具体的には憶えてないんです(笑)。でも、たしかに味わった感覚としては、これでいいんだっていうこと。

——バカボンのパパみたいですけども(笑)。

そう! もっとバカボンのパパになるっていうか、もっともっとそっちの方向に振らなければって思いました。躊躇している場合じゃないって。自分のままに、自分の方向にどんどん突き進もうって。脳みそをゆるませて、もっと失敗したり、体験したり。済んだことをあれこれ考えずに、すべて忘れて、また進むっていうか。忘れてしまいたいぐらい失敗してしまったことと同じように、成功したことでさえも忘れる。よかったことを握りしめちゃうと、それをまた求めていってしまうから。忘れても、身体には染みついていると思うし。だから、人が言ってくれた具体的な言葉を憶えてないのかな。

——あ、正当化しました(笑)。

イラストの数が大量で見応えがあったという感想をたくさんいただけたのは憶えています(笑)。嬉しかった。数がたくさんあったらきっとおもしろいと思いつつ、あんまり多すぎても疲れちゃうだろうから、どうしようかなって悩んだんです。でも、壁に貼ったり床に置いたりしてリズムをつけたら楽しめるんじゃないかとか、什器が足りなかったなら、新調しなくても仕事場から持ってきたり友だちから借りたりすればいいんじゃないかとか。まわりの人たちのアドバイスや協力で、そうか、そういう方法もあるのかって、展示に対して難しく考えすぎていたことに気がついた。自分では思いもつかなかったアイデアをもらって、急にババッと物事が進みました。
いつもひとりで仕事をすることに慣れてしまっているから、人に協力してもらうということに二の足を踏んでいたんです。本づくりの仕事も共同作業ではあるんだけど、各自がやって持ち寄るみたいなことだから、自分のぶんの仕事は全部、自分でしているので。
仕事ってなんでもそうかもしれないけど、ないものが現れるってところがおもしろい。動かなければ存在しなかったものが、楽しくても辛くても、どんな経過を追ったにせよ、なにかが現れる。それでいくと今回、いろんな人に協力してもらうことで初めて現れることがあるとわかったんです。ひとりでやろうとせずに、みんなでやれば、大変じゃなく楽しいことができてしまう。

——撤収のとき、今後の仕事のやりかたが変わるかもしれないとおっしゃってましたよね。

そうでしたっけ?

——ええ! 忘れたんですか(笑)!? すべてひとりで背負わなくても、役割分担して他人にも任せることで、もっと楽な気持ちで取り組めることがわかったから、これから仕事のやりかたが変わるかもって。それを聞いて、川原さんの柔軟さに驚きました。これだけキャリアがあって自分のやりかたが確立しているであろうプロの方が、それを変えてしまうことができるんだ!と。

私、けっこう簡単に変えちゃうかも(笑)。

——それってじつは難しいことだと思いますよ。べつに日和見なわけではなくて、芯はあるんだけど、こっちのほうがよりいいよねってなったら素直にそうできる、というのは。歳を重ねれば重ねるほど、人の話が聞けなくなる人は多いです。

人の意見は新鮮だから、そうかあ、なるほどなって、すぐ思っちゃう。もしかしたら自分のなかにもともと、固定したくないっていう思いがあるのかもしれません。これはこうだと思ってしまった時点で、それだけになってしまうから。でも、誰がなんと言おうと、これはこうなんだ!と頑固に通すのもいいなと思います。

——きっと、根っこはそうなんじゃないでしょうか。自分の意見がないわけではなく、むしろはっきりあるんだけど、誰もそこにさわってくれるな!という感じではないんだと思います。

川原真由美(かわはら まゆみ)
イラストレーター、グラフィックデザイナー。1965年生まれ。東京藝術大学美術学部デザイン科卒業。広告制作会社サン・アドで10年間デザイナーとして働いた後、フリーランスに。書籍や広告のイラストレーションやグラフィックデザインを中心に活動している。著書に『あたまの底のさびしい歌』(著 宮沢賢治・川原真由美/港の人刊)『十八番リレー』(著 高山なおみ・川原真由美/NHK出版刊)など。2003年より2011年まで美術同人誌『四月と十月』同人。雑誌『考える人』で「『犬が星見た』をめぐる旅 高山なおみのロシア日記」を連載中。http://www.kawaharam.com

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