アーユルヴェーダが教えてくれる新しい親子関係

教えてくれる人 池田早紀
構成・文 松本あかね
イラスト SAITOE

その⑤
子どものドーシャを調和する

前回、子どもたちには生まれ持った体質、個性があるというお話をしました。
アーユルヴェーダでは、それぞれの体質や個性は、
心と体に見出される風、火、水の要素といったドーシャのバランスから推し量ることができるといわれています。
またそうした体質や個性は固定したものでなく、季節など環境条件によって、常に変化し続けているため、
ある要素が増えすぎると体調を崩したり、気分に影響を及ぼしたりすることもあります。
今回は、増えすぎてしまったドーシャを調和させる方法を、具体的にお伝えしたいと思います。
過剰になっている要素を調和させるには、その属性と反対のものを取り入れる、というのが基本の考え方。
さあ、はじめましょう。

ドーシャを調和する方法

ヴァータの子ども
朝からご飯も食べずに走り回って遊んでいるヴァータっ子、
夜もなかなか寝付かずはしゃいでいるヴァータっ子には:

①スキンシップと音。
〜肌の温かさと、ぎゅーっと包み込まれる重みでヴァータの持つ移動性、軽性を沈静化していきます。また、耳からの刺激に敏感なので、話しかける声のトーンも低めに、ゆっくり、柔らかく。そう心がけていると増えすぎたヴァータのバランスが徐々にとれていきます。また、眠る時間が近づいてきたらTVの音、テンポの激しい音楽も切って、照明も暗く、穏やかな環境を作ってあげましょう。寝具もやわらかく落ち着いた色のものを選んで。

②温かいスープ。
〜温かく油脂分を含んだ飲み物は、増えすぎたヴァータを穏やかに調和してくれます。牛乳や、ポタージュスープなどを毎回お食事に取り入れると、乱れがちなヴァータも安定していきます。

ピッタの子ども
自分の思い通りにならないとすぐにかんしゃくをおこすピッタっ子、
ときに相手を叩いたり攻撃的になったりするピッタっ子には:

①甘いもの。
〜お弁当に甘く炊いたおかずを入れたり、飲み物にもハチミツを入れたり。甘味はアーユルヴェーダでは「冷性」の属性を持っているといわれ、増えすぎたピッタの属性「温性」のバランスをとってくれます。果物や牛乳も、ピッタを調和させるのにとても役立ちます。お母さんが自分の友だちのことを褒めたり、自分よりも妹弟が可愛がられているのが許せないのも、常に自分が一番でいたいピッタの子どもならでは。そんな時にはちょっと赤ちゃんっぽいかな? と思っても甘くやさしい言葉と態度で、ピッタを沈静化させてあげましょう。厳しさよりも甘さを。火に怒りで対応してしまうと逆効果に。

②水浴び。
〜暑さには弱いので、夏は頻繁にプールに行ったり、水遊びをしたりするととても体調良く、機嫌良くすごせます。

カファの子ども
雨に濡れた日や寒い日はずっとぐずぐずしているカファっ子、
引っ込み思案で仲間に入れずもじもじしているカファっ子には:

①暖める。
〜暖かく、柔らかい素材のお洋服で、いつも身体を居心地良く。夏でもおなかやおしりが冷たくて、それが原因で元気の出ないこともあります。一年を通じて、衣服は保温性があるもの、身体が冷えすぎないものを選んでください。

②「いつも」のもの。
〜新しい環境や変化が苦手なカファっ子は、「いつもと同じ」ということが安心感の土台になります。これを持っていると安心するというもの(手触りのよいタオルやぬいぐるみなど)を外出する時は持たせてあげるとよいでしょう。また集団から外れてひとりでいたとしても、そのまま見守って。本を読んだり、ぼーっとしたり。ひとりの時間がとっても充実しているのがカファの子どもなのです。

2つのドーシャをもつ子ども
最初にも触れましたが、ここに上がった3つのドーシャは、くっきりとわかれて現れるものではありません。そもそも自然界の一部である人間は、風も火も水も、すべての要素を備えています。ただそのうち、風が多いのか、火が多いのか、それとも水が多いのか、個々人の中でのその配合(バランス)が異なることを指して「体質」と呼んでいるのです。ですから、風と水、火と風など、2つの特徴を同時にもつお子さんもいるでしょう。

まずは子どもの特徴をじっくり観察しながら、あ、これは風だな、これは火だな、と感じることから始めてみましょう。
お子さんの様子を静かな気持ちで眺めてみること、
その子どもの内にある自然界の要素、ヴァータ(風)、ピッタ(火)、カファ(水)に焦点を合わせて観察することは、
子どもに対する新しい視点を授けてくれるでしょう。

調和のコツを日常生活に生かす

癇癪を起こしている子どもを「今、この子の中の火がボウボウ燃えている」、と捉えられたら、
お母さんの対応も、これまでとは違ってくるはず。
夕方のひんやりした空気が漂い始めた公園でぐずぐずしている子どもにはどうしてあげたらよいかも、自然に浮かんでくるでしょう。
毎日の暮らしの中で、お母さんがその子のドーシャのバランスの取り方、調和の仕方のコツをつかみ、
対応のヴァリエーションを広げていくことで、親子で過ごす毎日がスムーズに、楽しくなることを願っています。

profile池田早紀(いけださき)
2002年、心理学を勉強中に南インドでアーユルヴェーダに出会い、その体にも心にも快適な治療法に衝撃を受ける。2006年よりアーユルヴェーダ・カウンセラーとして国内外のさまざまなクリニックや医療施設で研修・施術の経験を積み、トリートメント、カウンセリングを行う。イベント、セミナーなども多数開催。現在は一児の母。

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