見えないものを語るインタビュー

友永淳子さん/友永ヨーガ学院院長 その3

「時代背景が変わっても人間の本質は変わらない」
生きるということ、死生観について。

同じようなことに喜び、悲しむ
人間に本質的な違いはない

──これまでさまざまな人が先生の元に学びにこられたと思いますが、時代によって人々の傾向に違いはありますか?

時代背景という非常に表面的な違いだけはあると思います。でも、本質的には違いはない。そう思ってます。同じようなことに苦しみ、喜び、悲しむ。だから何千年も前の教えが今でもものすごく新鮮ですよね。
人間の暮らしは、物質的にはものすごく知恵を生んで、便利なものに変わっているけれども、変わっただけ、どこか真実から遠いようなところもあって、おかげで悩まなきゃならない、そんな気もしないでもないですね。ケータイやインターネットを使っていろんなものが同時にわかり、いろんな自分を感じ、情報を得ているけれども、じゃあ何が自分にとって大事で、何を自分の生活に取り入れるべきで、どう自分から発信していくかということがすごく曖昧になっている。
じーっと自分に向き合う時間がないからなのかなって気がするんですね。長いことバスを待ったり、たくさん歩いたり、私の子どものころなんかは、田植えをしたり。そんなことで、自分と向き合う時間を以前は何かともっていたと思うんです。そういう時代に育った人と、次々にいろいろなものに心を変化させられる時代に育った人と、心の構成は自ずと違うかもしれないけれども、人間としての本質というのはそんなには変わらないと思います。
だって、なんでこれだけ便利になったのに子育てが楽にならないのか、とかね。オムツが使い捨てになったとか、託児のシステムが発達したとか、そういう手段や仕組みは変わっているけれど、でも自分の子どものことがわからないとか、どう育てていこうとか、親の悩みって変わらないんじゃないでしょうか。自分は1回しか生きられないから比較ができないけれども、みなさんの子育ての悩みを聞いていると、私と同じだなあって。

 

物事は必ず
「良きこと」のために起こる

それから、死生観についてもそう。私が50代の頃、死ぬのが怖いと年配の方から相談を受けましたが、自分も歳を重ねてそういうことが少しずつわかるようになってきています。
生きるってものすごい価値があるんだということは、その歳になってみないとわからない、そういう状況になってみないとわからない。当然のことを、なるほどなあと思います。お釈迦様が、80歳にならなきゃ80歳のことはわからないっておっしゃいましたが、まさにそのとおりで、だから生きる価値があるんだろうなと思います。
たしかに自分が最愛の人と別れなければならないことはすごく悲しいことだし、同時に自分がそこから離れてしまう、物理的に会えなくなる、自分自身の命が明日ない、そういうことを考えると気が遠くなるほど悲しくなるかもしれない。でも本当は何も変わっていないということを、お伝えしたいです。

私の経験ではね、戻ってきてみんなをまた見ることができるし、一緒に生活することもできるし、たぶん見守ることができると思う。そういうものを乗り越えられるものが、ヨガをすることにあると思います。静かにその日を迎え入れるということは、今日1日を終わるのと同じことだと。私が学んだ先生のなかに、飯島貫実先生という方がいらっしゃるんですけど、夜寝るときは死ぬときと同じなんだよ、それぐらい死ぬということはたいしたことではないとおっしゃっています。
私は両親とも、ドア開けて向こうへ行くみたいに、すっと魂が抜けるのがわかりました。とくに母親の場合は象徴的で、倒れて言葉を発することができず、ただチューブでつながれているという状態です。それで私が最期、母とふたりになったんですけど、母に突然ふわーっと生気が満ちてきたんです。ほんとに乙女のようにいきいきと楽しそうに、パーッとふくらむようにエネルギーが満ちて。直後、ゴーッと魂が抜けていきました。ただ「もの」になっていく感じ。魂が抜けるってこういうことなんだと、ほんとにすごいものを見せてもらいました。

──それでいくと、さっきのお話で先生がパタンと倒れてしまったときは、そういう感じだったんでしょうね。そこに魂がない感じ。

ほんと、その言葉ですね、あ、ここにいない、と。

──でもそれを確認できると、亡くなったことを受け入れられますね。

はい。ほんと物体です、もう執着がない。痛みがないですね。本当におつかれさまでしたっていう感じで。
貫実先生は、寝るのと死ぬのとは意識を閉じるという同じ状況だから、寝る前に、これで私は死にますと3回言って寝なさい、と。今日は、これでおしまい。朝、起きたときには命をもう1回もらって生まれてくるんだと教えてもらったんですね。言い換えれば、寝るときには寝ることに専念するということかもしれません。だから、朝起きるととっても元気だし、幸せな気持ちで起きられます。

大自然のなかから見れば、ひとつひとつの命なのにこんなにつながれるっていうのが人間の特色だと思いますよね。不思議な出会いがあって、それもじつは仕組まれたもので、特別な一期一会。必要があって、そのようになっている。見えないつながりを、実際出会えたときにもっと確かなものにしていく。嬉しいですね。
私がすごく尊敬している先生がそういうふうにおっしゃっています。物事というのはすべて起こるべくして起こり、ひとつとして偶然はない。必ず「良きこと」のために起こるとおっしゃるんですね。人生、なぜこんな大変なことが起こったんだろうって思わされることいっぱいですよね。でも、だからこそ、10年、20年経ったとき、私が今、ここでこうしてるということがあるんだろうと思うんです。

 ──「良きことのため」に、というのがいいですよね。

いいですよねえ。次に何が来るんだろうって、むしろわくわくする。そうありたいなと思います。

──その「良きこと」っていうのも、自分の捉え方しだいですものね。

そういうことだと思います。

友永淳子
友永ヨーガ学院学院長。群馬県高崎市出身。東京女子体育大学体育学科、明治大学法学部卒業。渡印、渡米によりヨーガ指導法を学ぶほか、至心流剣術師師範。

友永ヨーガ学院
シバナンダヨーガを基本とした友永ヨーガメソッドを推進するヨガ教室。1978年の発足以来、親子3代にわたる受講者も。東京・荻窪の本校のほか、現在は全国に友永ヨーガを学べる教室がある。なお、本校には足圧法(www.sokuatsu.info)のマッサージスペースも併設。足圧法を学ぶコースもある。www.tomonagayoga.org

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