JUNICHI OGAWA

季節のレクチュール #2・春 その1
Lecture des Saisons #2 – Printemps – 01

構成・文 松本 あかね
写真 有賀 傑

※レクチュールlecture:(仏)古くはレッスン、講話という意味を持つ言葉

春は許しの季節

「春という季節は、すべてを一度許すために巡ってくる」

——ヘンリー・デイヴィッド・ソロー

アメリカの思想家ソローのこの言葉を読んだとき、雪が溶けて姿を表した大地が、暖かい陽ざしに照らされて、ゆっくりと目覚めていくイメージが浮かびました。冬の厳しい寒さを耐え忍んだわたしたちを、まるで地球が許してくれているようだなぁ……としみじみ心に沁みた言葉です。

芽吹き、花が咲き、変化するのは自然界だけではありません。春は誰にでも平等に訪れます。わたしたち自身の中にも春は訪れるのです。

春のレクチュールでは、このソローの言葉にインスピレーションを受けて「春は許しの季節」というテーマで、「許しのレクチュール」を取り上げていきたいと思います。

JUNICHI OGAWA

JUNICHI OGAWA(小川純一)
セラピスト 大阪出身 鎌倉在住
都内でのケータリング活動を経て、東日本大震災をきっかけに、神奈川県の自然のなかへ拠点を移す。精神的な生活やスピリチュアルな知恵や知識を身につけていくなかで、スピリチュアルカウンセリングの力が開眼する。現在は、鎌倉「やまのスコレー」を構え、カウンセリングやワークショップを中心に、スピリチュアルな観点から暮らしを提案する。小冊子「MEME spirit&life magazine」も不定期で発行。
junichiogawa.com

春について、レクチュール
〜春をわたしの中に迎え入れる

Beltane ——ベルテーンの祝い

わたしは緑の地球の美しさと
星たちの間で白く輝く月と
水の神秘でできています

わたしは宇宙にいのちをもたらす
自然の恵そのもの
わたしからあらゆるものが生まれ、
すべてはわたしの元に戻っていきます

(『ハーブ占星術』ベルテーンの詩より意訳、抜粋)

「ベルテーンの祝い」について聞いたことがありますか。ケルトに古くから伝わる春の女神の祝祭です。古代の儀式なのでいろいろないわれがありますが、その中でもお気に入りなのは、「春の女神が火の妖精の女王ブリギットを呼び出し、夏を迎え入れる儀式を始める」というストーリー。ここでは少女のイニシエーション(通過儀礼)としての意味合いがあります。

四月の最後の日、少女たちはカモミールの花を浮かべた湧き水で身を浄め、白いドレスで装います。エルダーフラワーで作った冠をかぶり、花の咲き乱れる中で歌い踊り、春の女神の聖なる食べ物といわれる蜂蜜のケーキを食べ、女神と妖精に祈りを捧げます。場所によっては、恋愛解禁の日。初めて男の子とダンスを交わす日でもあります。少女が大人の女性へと成長していくイニシエーションとしての儀式です。

新しい自分を迎え入れる

ベルテーンは春を象徴する美しい儀式だと思います。春から夏は、自然界のエネルギーが一年のうちで最も活気づくとき。少女が女性としての喜びを目覚めさせていく姿を、この季節のエネルギーの高まりと重ね合わせているんですね。自然が冬に留まらず、春という新しい季節へ流れていくように、少女が大人になる自分を受け入れ、成長していくことを祝福する儀式なのだと思います。

春は過去の自分を許し、新しく進む自分を許すとき。自然だけでなく、ひとの心と体も新しく生まれ変わろうとするときです。ベルテーンの祝いでは、そのプロセスが象徴的にたどられているように思います。そしてこのセレモニーは、とにかく美しい。美しい「始まりと終わりの儀式」なのです。

輪になる ひとつになる

この儀式で僕がいちばん美しいと思うのは、少女たちが輪になって花を摘むシーン。輪になって何かをするというのは、それぞれ自分のすべきことをしながら、みんなでこの瞬間にしかない「今」を囲んでいるとき。それがひとつになる、つまり調和の状態なんじゃないかな。

許しの季節である春には、そうやってみんなでひとつになる時間をたくさん持つことが大切だと思います。

春のスピリチュアル・ハーブティ

新しく生まれ変わるわたしを祝福し、
後押ししてくれる春のハーブティをご紹介します。

※妊娠の可能性のある方は必ずお控えください。

前へ進むインスピレーションを授かる
カモミール&エルダーフラワー

カモミールとエルダーフラワーは、どちらもベルテーンに重要な役割を果たすハーブです。カモミールは身を浄めるお祓いに、エルダーフラワーは別名「妖精の住む薬樹」といわれ、古くはヨーロッパで魔法の杖を作るときに使われていたとか。今回ご紹介するのは、この魔女のハーブのような組み合わせです。

カモミール=
前へ進む勇気をくれる

カモミールというとリラックス効果が思い浮かびますが、じつは「次のステージへ向かう」、「そのための強さをくれる」、というテーマがあるといわれます。前へ進むということは、過去を手放し、向かう先に希望を見ること。そのときいちばん必要なのは、次のステージへ進む自分を受け入れ、流れに身を任せることだと思います。
 
常に同じ状態に留まらないのは、生き物として自然なこと。変化し続ける自分を受け入れることで、わたしたちは自然体でいられるのではないかと思うのです。その状態を「リラックスしている」というのではないでしょうか。つまり、わたしたちが次のステージへ進むために必要なリラックスした状態を授けてくれる、それがカモミールなのです。

エルダーフラワー=
インスピレーションを授かる

エルダーフラワーにも前進するという意味合いがありますが、「妖精の住む薬樹」という別名が示す通り、霊的なエネルギーが強く、インスピレーションをわかせてくれるハーブです。

次のステージへ進むときには、現実的に物事を考えるだけでは進めないときもあります。そこで大切なのは、自分を信じること。自分を信じることができたとき、神様がその先の道へのインスピレーションを授けてくれるのかもしれないと思うのです。

カモミールとエルダーフラワーは、ともに次のステージへ向かうわたしたちを後押ししてくれます。この二つを組み合わせれば、前へ進むためのインスピレーションを授けてくれるハーブティに。自然から目に見えないパワーをたくさんもらって、自分らしく新生活を迎えることができる、春にふさわしい飲み物です。

こんなときはお控えください

妊娠の可能性のある方、産前産後はお控えください。
体に少しでも違和感が現れたら、飲用を中止し、お医者さまにご相談ください。

参考文献
『孤独の愉しみ方——森の生活者ソローの叡智』 ヘンリー・デイヴィッド・ソロー
『ハーブ占星術』 エリザベス・ブルーク
『ケルトの植物』 ヴォルフ=ディーター・シュトルル

MEME

「本当の私と出会う」をテーマに、スピリチュアルな感性をもっと身近に感じるスピリット&ライフマガジン『MEME(ミーム)』。カウンセラーであり、アーティストである小川純一さんが自ら編集長になって立ち上げた小さな冊子です。

MEME spirit&life magazine issue #01
MEME spirit&life magazine issue #02

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《季節のレクチュール》の記事

  • 空気が澄み、月の美しい秋の夜は、心をきれいにしてから休みましょう。季節のレクチュール最終回は、「夜の瞑想」についてお話します。

  • 夕暮れは夜の始まり。灯りの質に気を配ることで、うっとりするような心地よい時間が生まれます。心がほぐれる灯りについて、レクチュール。

  • 一年に渡ってお贈りしてきたセラピスト小川純一さんの季節のレクチュール。締めくくりは、秋。夏の疲れと、秋のもの哀しさを癒してくれるハーブティのご紹介から始まります。

  • 最終回は、深い森の中へ。夏に命を茂らせる植物に力をもらい、レモングラスのハーブティで体を潤しましょう。

  • 夏のレクチュールその2は、小川純一さんによる鎌倉店案内。心も体も元気になる町の”パワースポット”をご紹介します。

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