川原真由美さんインタビュー その3

そのときに素直にそう思ったことが
正しいなって思えるようになったんです

一昨年前ぐらいから、いろんなことが許容量を超えてしまって。自分の身体はひとつしかないのに、それ以上のことをしなくちゃいけなくて、時間に追われて、ひたらすらこなすみたいなことを繰り返しているうちに、なにやってるんだろう、私?って。
それで1回、様子見しようと思って。仕事を少なくして、たっぷり時間をとって、止まってみた。そうしたら今年から自然となにかこう、やる気が湧いてきて。とくに今回、原画の話から始まったじゃないですか。返却された原画はどうしてるんですかって。で、見てみたいから展覧会やりましょうって、流れるように。じゃあやりましょうかって応えたのが、我ながらすごく不思議で。あの日帰ってから、あれ!? 私、言っちゃったな!って(笑)。私でもそんなふうに言うことあるんだなって、あとで不安になって、大丈夫かなあって、すごい思ったりしたんです、じつは。でもまあ、新しくつくるんじゃなくて、いままでのものを展示するってことが、ちょうどやる気が出てきたいま、自分の整理というか、自分のことをちゃんと見ることで、次に向かういいきっかけになるかもしれないなと思って。それにしても、すごく不思議でした。言いかた上手だなって。

──べつに、のせて言わせたわけじゃないですよ(笑)。

そう、そういうふうに言われたわけじゃないからよけいに、じゃあやってみましょうかって、つながった。やりましょう!って前屈みに言われたら、えー、ちょっと考えますって言って、考えちゃったらまた私、止まってたと思うんですけど。

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自分のことだけだったのから
どうしたらみんなが楽しめるかなって
広がって考えられるようになって嬉しい

──本当に思いつきで、その場で生まれた。用意してきた企画をもちかけたわけじゃないから、それでうまく運ばれたんでしょうね。

ね。私はけっこう慎重派だから、ちょっと考えてみますとか、ふつうは一拍おくと思うんですよね。それもなしに、じゃあやりましょうかと。で、あとから不安になって(笑)、という波が何度かあったんです。だけど最終的には、なんであのときやろうって言ったんだろうって、そのときの気持ちを考えると、なんかやってみたいって、あのとき思ったのはたしかだなと。以前だったら、またそのときの雰囲気でよく考えずに言っちゃって!っていうふうになりがちなんだけど、いまは、そのときに素直にそう思ったことが正しいなって思えるようになったんです。

──さっきの線の話みたいですね。ペンで引いたものが形としてとにかく残ってしまう。

ああ、本当ですね!! 自分で言ったことなのに(笑)。ほんと、そうですね。そう、そう思って、それにのってみようって思ったんですよね。そう思える強さもできたかな。以前だったら、いいんだろうか、どうなんだろうか、できるかな、大丈夫かなってことばっかり頭で考えて、一度言ったことを消してしまったりしてたのに。ちゃんとできるかどうかよりも、あのときやってみようって思った気持ち自体は嘘じゃないんだから、それを大事にしようと思えるようになったのは、ちょっと嬉しかった。展示がよくても、よくなくても、それが自分だと思えばいいんだ、しょうがないや、と思って。できなかったら謝ればいいや(笑)なんて、そこまで開き直って。

──でも、そのときの出会い、そのときの流れで物事が決まっていくのが、本来は自然ですよね。いついつにイベントをやらなきゃいけないから企画を考えるより、自然的発生のほうが絶対いいものができると思うし、自分が興味があるものこそが、やっぱり健全でしょう。

そうですね。今日のインタビューの話もね、それも、楽しいなって思ったんです。原画展をやることになって、じゃあまず原画を見てみようって、仕事場に来てもらいましたよね。そのときにDMをつくらなきゃ、サイトで告知しなきゃっていう話になって、インタビュー記事を掲載したらいいんじゃない?って言われて、ああ、そうかも!と。そしたら、見にきてくれる人に概要を知ってもらえておもしろいかもって、そこまで思えるようになっちゃった。できるかな、どうかなって自分のことだけだったのから、どうしたらみんなが楽しめるのかなって広がって考えられるようになって、嬉しい。今回みたいな発生のしかたは、すごく楽しいなって思います。

川原真由美{仕事の原画}展

イラストレーターでありグラフィックデザイナーでもある川原真由美さんによる、初の原画展を開催。高山なおみさんの著作や『暮しの手帖』『クウネル』などで、きっとみなさんも見たことのあるイラストを、たくさん展示します。

「川原真由美{仕事の原画}展」へ

川原真由美(かわはら まゆみ)
イラストレーター、グラフィックデザイナー。1965年生まれ。東京藝術大学美術学部デザイン科卒業。広告制作会社サン・アドで10年間デザイナーとして働いた後、フリーランスに。書籍や広告のイラストレーションやグラフィックデザインを中心に活動している。著書に『あたまの底のさびしい歌』(著 宮沢賢治・川原真由美/港の人刊)『十八番リレー』(著 高山なおみ・川原真由美/NHK出版刊)など。2003年より2011年まで美術同人誌『四月と十月』同人。雑誌『考える人』で「『犬が星見た』をめぐる旅 高山なおみのロシア日記」を連載中。http://www.kawaharam.com

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